第3話:規格外の豪邸と、元・聖女への『お仕置き』
転移魔術によって一瞬で移動した先は、王都の一等地、広大な敷地にそびえ立つ俺の邸宅だった。
白亜の壁に、見たこともない最高級の魔導具が並ぶリビング。
「な、何よこれ……。王宮よりも豪華じゃない……」
エルフレデは、鎖に繋がれたまま、呆然とその光景を見上げていた。
かつて国のために戦っていた頃の彼女は、質素倹約を強いられていた。だからこそ、主人公の「圧倒的な経済力と生活水準」を見せつけることで、読者に優越感を与える。
「今日からここがお前の職場であり、檻だ。エルフレデ」
「職、場……? 私に、ここで何をさせる気?」
彼女は身構えた。どんな過酷な労働や、屈辱的な仕打ちが待っているのかと、怯えるような目を俺に向ける。
「決まっている。お前には『お仕置き』として、俺の身の回りの世話をしてもらう。まずは、その薄汚れた服を着替えろ。そして、俺のために極上の食事を作れ。奴隷らしく、徹底的に俺に尽くしてもらう」
「……っ、そんなこと……!」
彼女は反抗的な目を向けようとするが、俺の背後にそびえ立つメイド長(実はレベル99の元・伝説の暗殺者)が静かに圧力をかけると、それ以上は何も言えなくなった。
だが、ここからがなろうの必勝パターン、【ストレスフリーの反転】だ。
用意された「奴隷の服」とは、最高級のシルクで編まれた、帝国の王女すら滅多に着られないような美しいドレスだった。
さらに、彼女に与えられた部屋は、ふかふかの高級ベッドと、彼女の好きな花で満たされた、奴隷部屋とは名ばかりの超VIPルーム。
「……な、なによこれ。これが『お仕置き』だって言うの……?」
ドレスに着替え、豪勢な風呂で汚れを落としたエルフレデは、鏡に映る自分の姿を見て困惑していた。
かつて宿敵だった男に買われ、地獄のような日々が始まると思っていたのに、与えられたのは、これまでの過酷な戦場生活では考えられないほどの「破格の待遇」だったのだ。
リビングに戻ってきたエルフレデの前に、俺は自ら用意した最高級の魔導食材を使った料理を並べる。
「お前が作った料理は、毒見が終わるまでお預けだ。まずは、お前がこれを食べて、俺のために安全を証明しろ」
「それって……ただの、先にご飯を食べさせてくれてるだけじゃない……!」
「黙って食え」
エルフレデは戸惑いながらも、スープを一口口に含む。その瞬間、彼女の瞳が輝いた。
「おいしい……。こんなの、食べたことない……」
極上の料理と、予想外の優しさに、彼女の頑なだった心が、読者の望む通りに「じわじわとチョロイン化」していく。
かつてあれほど憎しみ合った宿敵が、胃袋と環境から、あっけなく攻略されていく瞬間だ。
「……勘違いしないでよね、ディアス。私はまだ、あなたのことを許したわけじゃないんだから」
ドレスの裾を握りしめ、顔を真っ赤にしながらそう呟くエルフレデ。
俺はそんな彼女を冷たく見下ろしながら、心の中で、帝国を潰すための次の計画を練っていた。
(第4話へ続く)




