第20話:絶対神の終焉と、次元の向こうの『本番』
「ば、化け物め……! 我を、この世界のシステムをここまで蹂躙するとは……!」
床に這いつくばり、ただの力なき老人へと成り下がった始祖神が、血を吐きながら俺を睨みつける。
その身体は、俺が発動した完全上位互換の権能『万物再誕・世界改変』の余波に耐えかねて、足元からサラサラと光の粒子になって崩壊し始めていた。
「終わりだ。お前がフリー素材を勝手に神格化して作ったこのおままごとも、ここで閉店だよ」
「フ、フフハハ……! 終わりだと? 違うな……これが『始まり』だ……!」
消滅の間際、始祖神は狂ったように笑い声を上げた。
「我はただの管理人に過ぎん……! この世界のシステムを、外側の脅威から守るための……ただの防壁だったのだ……! その防壁たる我を、お前は壊した……。さあ、来るぞ……! 歪みの向こう、この世界の『外側』にいる、本当の――」
言い切る前に、始祖神の肉体は完全に光のチリとなって霧散した。
神界の絶対神の、完全なる消滅。
「主……やりましたね……! 本当に、神を倒してしまうなんて……」
ルナが感動と、未だに信じられないといった面持ちで俺の駆け寄ってくる。
だが、俺は彼女の言葉に生返事をしながら、怪訝に眉をひそめて、始祖神が消え去った玉座の背後の空間を見つめていた。
パキ……。
「え……?」
ルナの安堵の表情が凍りつく。
始祖神が消えたはずの空間に、先ほどのラインハルトの時とは比較にならない、禍々しい『漆黒の亀裂』が走ったのだ。
そこから溢れ出してきたのは、神聖魔力でも、魔王の魔力でもない。この世界のどの属性にも登録されていない、完全に未知の「狂気的なプレッシャー」だった。
ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ……。
亀裂の向こうから、巨大な、まるで世界そのものを睨みつけるような『単眼』がこちらを覗き込んでいるのが見えた。
「これは……何ですか……!? 始祖神なんて比べ物にならないくらいの、おぞましい気配が……っ!」
「なるほどな。あのじいさん、一丁前に世界の『サーバーのファイアウォール』の役割だけは果たしてたってわけか」
俺はフッと口元を吊り上げた。
どうやら、この世界のバグ(俺)を排除しようとしていた神を消したことで、世界そのもののセキュリティが完全にガバガバになり、外宇宙の『本物のイレギュラー』を呼び込んでしまったらしい。
目の前の漆黒の亀裂が、さらに大きく広がり始める。
俺は腰の剣の柄にゆっくりと手をかけ、楽しげに目を細めた。
「退屈なモブ掃除はここまでだ。ルナ、ここからが本当の『本番(2巻目)』らしいぞ」
世界の崩壊と、新たなる敵の胎動を前に、俺の最強の魔力が、かつてないほど激しく狂い咲いた――。
(第1部・神界編 完/第2部・外宇宙侵略編へ続く)




