第19話:始祖神の権能と、完全上位互換の『自作(オリジナル)』
激しく炎上し、崩壊を続ける神界の最奥。
黄金の扉を開け放った先にある玉座の間で、光り輝く巨大な異形の後光を背負った男――神界の絶対指導者『始祖神』が、冷酷な眼光で俺たちを見下ろしていた。
「地上のバグめ、よくぞここまで辿り着いた。だが、そこまでだ」
始祖神がゆっくりと立ち上がると、その全身から世界の構造そのものを軋ませるほどの、圧倒的なシステム魔力が噴き出した。
「我が名は始祖神。この世界のすべての理を構築し、因果を支配する絶対の裁定者なり。我が権能の前に、いかなるチートも、例外も、すべてはただのプログラムの一部に過ぎん。――消え去るがいい、『因果消滅』!」
始祖神が世界そのものを書き換える究極の権能を発動した。
俺たちの周囲の空間から色が消え、存在そのものが根本から消去されかける。ルナが「主……っ!身体が、消えて……!」と、悲鳴を上げることすらできずに消滅の光に包まれていく。
だが、俺は消えゆく己の手を眺めながら、フッと鼻で笑った。
「理のハッキングに因果の強制書き換え、か。なるほど、大層な名前をつけてるが……」
俺はパチンと指を鳴らした。
その瞬間、消滅しかけていた俺たちの身体が、一瞬で完璧に復元された。それどころか、始祖神が展開していたシステム領域そのものが、ドス黒い魔術回路によって逆に侵食され、凍りついていく。
「な……ッ!? 我が『因果消滅』が、上書きされた……!? バカな、世界を支配するシステムコードを拒絶できる存在など――」
「いや、拒絶してねえよ。ただ、お前が使ってるその『世界システム』のソースコード……」
俺は空中に、始祖神の権能の構築式をホログラムで引っ張り出し、退屈そうにそれを眺めた。
「俺が数百年前に暇潰しで作って、地上のゴミ箱(フリー素材サーバー)にポイ捨てした自作スキルの『劣化コピー』じゃん。変な改造されてバグだらけだし、見てて恥ずかしくなるな」
「な……に……っ!?」
始祖神の顔が、驚愕と、そして神としてのプライドを完膚なきまでに粉砕された絶望で引き攣った。
彼が万物の創造主として崇めていたシステムの根源は、目の前の男が「ポイ捨てしたゴミ」に過ぎなかったのだ。
「本物の『因果支配』ってやつを教えてやるよ。――『万物再誕・世界改変』」
俺が冷徹に告げた瞬間、始祖神の背負っていた光の後光が、文字通り「ガラス細工のように」粉々に砕け散った。彼の絶対的な神の力が、俺の放ったオリジナル(完全上位互換)の権能によって、一瞬にしてただの「無駄な魔力」へと強制ダウングレードされたのだ。
「あ、あ、ああ……我の、我が神としての権能が……すべて消えていく……っ!?」
玉座の前で、神界の絶対神はただの力なき老人のように崩れ落ち、ガタガタと震え出すのだった。




