表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
17/70

第17話:神霊の暴走と、冷徹なる世界断裂

「お、俺を……覚えていないだと……!? 認めん、認めんぞぉぉぉぉ!!」


ラインハルトの絶叫が荒野に響き渡る。

精神の崩壊と同時に、彼の身に宿っていた神界の魔力が完全に暴走を始めた。始祖神から与えられた制御不能の『神格』が、彼の肉体を内側から無理やり作り変えていく。


メリメリ、ベキベキベキ――!


「アガ、ガガガガッ……! 壊れる、俺の、身体が――いや、力が、力が溢れるぞぉぉぉ!」


黄金の鎧は弾け飛び、彼の背中からは純白の翼ではなく、ドス黒い異形の触手が無数に生え出た。皮膚は岩のように硬質化し、その巨体は瞬く間に十メートルを超える異形の怪物――『神魔獣』へと変貌を遂げる。


「フハハハハ! 見ろ、この圧倒的な力を! これぞ神界の禁忌! お前も、この世界も、すべて道連れにして消し去ってやるわぁぁぁ!」


理性を失い、ただの破壊の衝動と化したラインハルトが、大地を爆裂させながら猛然と突進してきた。その巨大な足跡からは、地上の法則を腐らせる神聖汚染の毒霧が噴き出している。


「主、危ない! あれは存在そのものを崩壊させる自爆特攻です……!」

「熱くなるなよ、見苦しい」


ルナが悲鳴を上げる中、俺はただ一歩、前に踏み出しただけだった。


腰の剣を抜くことすらしない。

俺はただ、右手の親指の爪を、人差し指の腹でパチン、と軽く弾いた。


――『次元因果断裂ディメンション・ゼロ』。


その瞬間、世界の『音』が消えた。


ドォォォォォォォン……。


ラインハルトの巨体が俺の目の前、わずか数センチのところで完全に停止する。

突進の衝撃波も、撒き散らされていた毒霧も、彼の狂気に満ちた絶叫も、すべてがその場で凍りついたように静止した。


パキ。


小さな音と共に、ラインハルトの巨体の中心を貫くように、空間そのものに一本の「縦の亀裂」が走った。それは彼だけでなく、彼のはるか背後に広がる荒野、さらには地平線の彼方の雲までをも真っ二つに叩き割る、完全な次元の断裂線。


「が、あ……? な、に……が……」


ラインハルトの琥珀色の異形の目が、信じられないものを見るかのように見開かれる。

次の瞬間、彼の巨体は左右綺麗な二つに分かれ、光の粒子にすらなれず、存在の根本から消滅して虚空へと吸い込まれていった。


割れていた空間が、何事もなかったかのようにピタリと閉じる。

後に残されたのは、ただ真っ直ぐに、遥か彼方まで地平線が切り裂かれた新しい「道」だけだった。


「ふぅ。さて、これで本当のザコ掃除は終わりだな」


俺は軽く手の埃を払うように叩き、振り返った。


「あ……、あ、う……」


ルナはもはや、腰が抜けたようにその場にへたり込んでいた。

神界の禁忌、世界を滅ぼしかねない暴走個体を、ただの「デコピン」のような動作一つで、空間ごと、概念ごと消し去った男。彼女の目には今や、目の前の主が、始祖神すら遥かに凌駕する『真の絶対者』として映っているようだった。


「立てるか、ルナ。いよいよ、あの歪みの向こう――神界の連中に、ちょいと挨拶しに行くぞ」


俺はへたり込む新ヒロインに手を差し伸べ、不敵に微笑んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ