第10話:10万の軍勢を一撃で消し去り、俺たちの本当の蹂躙が始まる
「放てェーーーッ!!」
新勇者レナードの絶叫と共に、10万の連合軍から放たれた無数の矢と攻撃魔術が、夜空を埋め尽くす流星群となって俺の邸宅へ降り注いだ。
同時に、法皇国の『対魔結界』が激しく発光し、屋敷の空間全体を圧迫する。
「勝った! これで終わりだディアス!」
レナードは勝利を確信し、下俗な高笑いをあげた。
だが、次の瞬間、放たれたすべての攻撃が、邸宅の手前で目に見えない「壁」に衝突したかのように、完全に静止した。
「な……に……!?」
レナードの笑い声が凍りつく。
俺はテラスに立ち、ただ退屈そうに指を一つ鳴らした。
――『因果超越・概念消滅』。
ドッ、という静かな音。
空を覆っていた巨大な魔法陣(対魔結界)が、まるで最初から存在しなかったかのように、文字通り『世界から消去』された。
「ば、馬鹿な! 法皇国の絶対結界が、指先一つで……!?」
兵士たちがパニックに陥り、ガタガタと武器を落とす。
だが、俺の攻撃はまだ始まってすらいない。俺は眼下に広がる10万の軍勢を見据え、静かに右手を振り下ろした。
――『天罰・星崩し(メテオ・ストライク・ゼロ)』。
夜空が、一瞬で真紅に染まった。
雲を突き破って現れたのは、直径数キロメートルに及ぶ、超巨大な【燃え盛る隕石】。それが、10万の軍勢の頭上へと正確に自由落下していく。
「ひ、ひぃぃぃぃ! 怪物だ! 奴は本物の魔王だぁぁぁ!」
「助けてくれ! 勇者様、助けて――」
逃げる暇など、1ミリも与えない。
圧倒的な質量の暴力が、地表へと激突した。
ズドォォォォォォォォォンッ!!!
大気が爆ぜ、大地が津波のように波打つ。
一瞬にして10万の軍勢を消し飛ばし、ただの灰へと変えた。
俺の結界に守られた邸宅だけを綺麗に残し、周囲数キロメートルは、一瞬でクレーターの並ぶ荒野へと姿を変えた。
たった一撃。10万の軍勢、完全消滅。
「あ……あ……」
クレーターの土砂にまみれ、奇跡的に(俺が意図して)生き残らされた新勇者レナードが、腰を抜かして臨終間際の魚のように喘いでいた。
「さて、レナード。約束通り、お前の相手は彼女だ」
俺の背後から、まばゆい聖魔力をまとったエルフレデが、静かに舞い降りた。
その手には、俺が創造して与えた神殺しの聖剣が握られている。
「エ、エルフレデ……! 頼む、助けてくれ! 俺が悪かった! お前をハメたのは上層部の指示で――」
「往苦しいわよ、レナード」
エルフレデの目は、氷のように冷たかった。
「ディアス様に牙を剥いたその罪、万死に値するわ。……さようなら、無能な偽物の勇者」
閃光が一閃。
レナードの首が宙を舞い、彼をそそのかした無能な帝国の上層部ごと、その系譜は完全に途絶えた。
◇
だが、これはほんの始まりに過ぎなかった。
レナードの首が転がった瞬間、上空の引き裂かれた雲の隙間から、黄金の光を放つ巨大な『門』が出現した。
法皇国が裏で手を引いていた、上位世界の存在――『神の使徒』たちが、俺の規格外の力を危険視し、ついにその姿を現したのだ。
「人間風情が、神の理を超えた力を持つなど傲慢なり。ディアス、そして裏切りの聖女よ。神罰を受け入れるが良い」
天から降り注ぐ、先ほどの10万の大軍勢など比較にならないほどの神聖なプレッシャー。
エルフレデは一瞬その威圧に息を呑んだが、すぐに俺の前に進み出ると、不敵な、そしてゾクゾクするほど美しい不敵な笑みを浮かべた。
「ふふ、今度は『神』が相手ですか。面白いわ。ディアス様、次の標的が決まりましたね。あの生意気な神々の座を、私たちの手で引きずり下ろしてやりましょう」
かつての宿敵は、今や俺の最強の忠臣。
俺は彼女の腰を引き寄せ、天空の神々を見上げて、極上の笑みを浮かべた。
「神だと? 面白い。俺を裏切った世界ごと、まとめてすり潰してやる」
裏切られた元・宮廷魔術師と、没落した元・聖女。
二人の、世界そのものを支配するための真の蹂躙劇(神界編)が、ここから幕を開ける――。
(第11話へ続く)




