◆【炎猿討伐】
◎旅路
龍泉の剣が光る。
龍泉「おっ、剣が反応している。」
蒼空「おぉ、君の剣にはやはり特殊な力が宿っているのだな。」
花鈴「ってことはまた神獣と戦うかもしれないってことか。嫌だなぁ。」
龍泉「あの時の雷撃も神獣が貸してくれた力なんだぜ。」
蒼空「強力な武器にもなるが、その力を得るために随分と苦労しているわけなんだな。」
龍泉「この前は魔族に操られていたけど、今回はどうだろうな。」
蒼空「なに、その神獣とやらを見つければ自ずと答えは出るだろう。今悩む必要はないさ。」
花鈴「・・・普通だな。」
蒼空「何?」
花鈴「普通な答えが返ってくるってこんなにも清々しいんだなと思ってさ。」
蒼空「普段は普通じゃないのか?」
花鈴「まあな。因みに神獣と戦うかもしれない状況にあってお前はどう思う龍泉?」
龍泉「俺は最強だから問題ないね。」
花鈴「・・・・・・。」
花鈴、ほらねと言いたげに蒼空を見ながら親指で龍泉を指差す。
蒼空「まぁ・・・良いじゃないか。その神獣とやらをとりあえず探そう。」
◎紙の里【白流】
村娘「あっ・・・。」
村娘、龍泉達を見つけて、不思議そうに見る。
蒼空「やあ、ここの里の長に会いたいのだが、君知らないかい?」
村娘、頷いて、道案内する。
花鈴「便利だなあいつ。」
龍泉「苦労かけてごめんな。」
蒼空「おーい、こっちだ。」
◎白流の里長の家
里長「よくぞいらっしゃいました。近頃は物騒になって来客も減っていたのでとても嬉しいです。歓迎しますぞ旅のお方たち。」
蒼空「ありがとうございます。早速なのですが、この辺りに神獣と呼ばれる守り神はいませんでしょうか?実はここにいる龍泉と言う男は魔を打ち滅ぼす伝説の剣に選ばれた勇者で、ここへは神獣の力を借りたくてやってきたのです。」
里長「神獣・・・炎猿様の事ですね。」
花鈴「炎猿?」
里長「ええ、この辺りの守り神様でございます。実は少し前から様子がおかしくなって、里を襲うようになったのです。おかげで村人も随分とこの地を離れて行きました。旅のお方が本当に選ばれし勇者と言うのならば、神獣様を沈めて頂けると助かります。」
花鈴「はぁー・・・やっぱりこの展開か。」
蒼空「わかりました。後は我々にお任せください。」
◎白流の近くにある荒地
花鈴「おそらくまた魔族に操られていると見て間違いない。だから狙うのは神獣に寄生している魔物であって神獣と真っ向から戦う必要はない。」
龍泉「この前みたいに魔物の核を狙えばいいんだな。」
蒼空「では、龍泉と花鈴が核を狙ってくれ。囮は俺が引き受けよう。」
花鈴「やっぱり便利だな。」
龍泉「頼りになるな蒼空。」
蒼空「何てことないさ。・・・・・・!?」
突然咆哮が周囲に響いた。
◎炎猿の巣
炎を身にまとった巨大な猿が苦しそうに暴れている。
岩の影からその様子を伺う龍泉達。
花鈴「あれが炎猿か。魔物の核は背中の左側だな。」
龍泉「よく寄生している魔物は焼け死なないな。ここにいても熱気がくるのに。」
蒼空「おそらく神獣ごとに特化した魔物なのだろう。それじゃ作戦通りに行こう。」
龍泉「おう、任せろ。」
花鈴「あんまり近づきすぎるなよ。」
苦しむ炎猿。
炎猿の視界に蒼空が現れ剣を抜く。
それに反応するように魔物の核が脈打ち炎猿に根を張ると悲鳴にも似た叫びを炎猿はあげた。
襲い掛かってくる炎猿。拳を振り上げ蒼空めがけて振り下ろす。
蒼空それをかわすが、炎猿の拳から爆炎が放たれ蒼空は吹っ飛んだ。
蒼空「うっ!!当たってもいないのになんて威力だ。」
炎猿が再び蒼空に狙いを定めて襲い掛かる。
その瞬間雷撃が飛んできて炎猿に直撃した。
悲鳴を上げる炎猿。
追い打ちをかけるように縄鏢が魔物の核を貫いた。
花鈴「やった!」
しかし、縄鏢が突き刺さるや否や縄が燃えて千切れてしまった。
花鈴「流石に引っ張り出すのは無理か。」
龍泉「いや、上出来だ!」
龍泉炎猿の至近距離で思い切り放電する。すると雷が縄鏢に吸い込まれるように収束し魔物の核を攻撃した。
悲鳴を上げる炎猿、同時にいつか見たムカデのような影が飛び出てきた。
蒼空「あれか!うおおおおおおおおおおお!!!!」
影を切り裂く蒼空。力尽きる炎猿。
花鈴「やったか?」
炎猿の体を炎が包む。そして全身が炎に変わると炎猿は龍泉の剣に吸い込まれていった。
蒼空、息を切らしながらその様子を伺う。
龍泉「ありがとうだってさ。」
そう言って龍泉は笑った。
溜息とともにその場に崩れ落ちる蒼空と花鈴。
◎白流
里長「ありがとうございました旅のお方。これでこの里にも活気が戻ることでしょう。大したお礼は出来ないのですが、これはこの里の特産物の紙になります。旅のお役に立ててもらえると嬉しいです。」
蒼空「お気遣いありがとうございます。それではお達者で。」
◎旅路
龍泉「これでまた最強に一歩近づいたな。」
花鈴「今日一番頑張ったのは蒼空だけどな。」
蒼空「関係ないさ。俺たちは3人で戦っているんだからな。」
龍泉、花鈴、無言で蒼空を見つめる。
蒼空「ん?どうした?」
龍泉「お前は良い奴だな。」
花鈴「私の負担も軽くなるよ。」
不器用そうに笑う蒼空。
旅はまだまだ続く。




