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第96話

 え、幻聴、鹿がしゃべるなんて?? 気のせいかしら。凝視してみると向こうもこちらを一瞥した。え、まじか。しかし、味な誘引の仕方ね。草でもって。


 鹿は「私に脈は無さそうですね」とのたまう。喋った。がちで。えええ。私は頭を抱え、思案する。あんまりもてないあまり……だから、なし、その思考回路。


 私は恐る恐る鹿に近づきそっと手を伸ばす。ちょっとあの毛並みに障りたい。けっして変な意味ではない。純粋に好奇心からだ。


「セクハラは勘弁願います」


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