第25話
ここは街のパン屋さん。そこに従者のミンと共にご来店。ドアベルのカランカランという音が楽しげに鳴る。
なんとも心地の良い音。まるで鳥の美声だ。鳥ってかわいいのよね。私大好き。見てると心が和みうっとりしちゃう。
外見とはいかに大事か。私もつり目でなかったら友達百人できたのに……はあ……つり目って大損よね。まったく……。
そこでミンが思索し彫像のように動かない私にこう言葉を投げる。
「モリシス様、入り口にちょりつせずにパンをみましょう。大丈夫ですか? 何か悩みがあるのですか?」
私はハッとしてミンに「ごめんごめん。ボーッとしちゃったの。今いくわ」と返す。
店内は小麦の焼けた匂いに満ちていた。ああ、美味しそうなパンたち。まあ、こんがり焼けちゃって。
店内ではお客さんたちがあんパンやらドーナッツやらを掴むやつでとりトレーにのせていく。
お客さんの数は私たちを入れて十人程。お洒落な女性ばかりだ。着飾った服は色とりどり。真っ赤なドレスの女性とミンが会話している。誰だろう……うわ!
まさかのルクエシス! 乙女ゲームの主人公じゃない! 墨のように黒く長い髪が綺麗だ。私はこわばる顔をはがんさせ「ルクエシスさん、ごきげんよう」と挨拶。
彼女は無敵の笑顔で「モリシス様、こんにちは。会えて嬉しいです」とか言っちゃってる。
私は「どんなパンが好きなの?」と突っ込む。それにルクエシスは「今日はピザを食べたくて……買いに来ちゃいました!」と言う。
確かに彼女のトレーにはノートぐらいのサイズの三角形が三つ乗っている。黄色いとろけたチーズや生地が美味しそう! 私も買おう。
ルクエシスはお会計を終えた後こう口にした。おずおず。なんか緊張している?
「こ、公園でご一緒に食べませんか? その……もしよければ……?」
ということで三人で仲良くベンチに腰掛け完食。ああ、美味しかった! ルクエシスにも嫌われてないみたいだし……良い一日だったなあ。




