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第23話

 私と従者のミンは映画館にいた。真っ暗な広い部屋、静寂。まるで深海にいるかのよう。


 これからホラー映画が始まろうとしていた。キャー怖いー! ゾンビが続々と登場して街を襲うやつだ。


 私のなかで期待が高まり俳優達の名演に心を踊らせる。周囲のお客さんもこそこそなにやら小声で話している。その声がせいひつとしているのでよく聞こえる。


 みんな楽しみなのだ。私は隣のミンにこう聞いた。辺りをうかがいつつ。やつはいないでしょうね……。ドMもとい、オルストラスは……。


「ミンは怖いの平気だって聞いたけどそうなの?」


 ミンは地味めな黒と白のメイド服を着ててそばかすが多目な女性だ。しかしなかなか辣腕で評価が高い。彼女はニッコリして言った。清楚な感じがする。


「私はホラーが大好きです。小説も映画もよく楽しみます! 怖くてもそれが面白く感じてしまいます。どうしてでしょうか? 耐性が出来たのでしょうかね」


 私は「ふーん」と言った後、コーラをがぶり。ポップコーンパクパクゴックン。


 そしてスクリーンに映画が投影された。墓場の地面からゾンビ達のボロボロでカビた手がニョキッと出てくる。


 私は「キャー」。ミンは「わー!」。そして夜の街を徘徊するゾンビ達。それとも知らず娼婦が声をかけ近づいて悲鳴をあげ晩御飯にされる。


 肉を食いちぎるシーンがリアリティーがあって怖い。私の手をミンが握った。ギュって。ミンたら怖いんじゃない。しかしこんなに硬い手だったけ?


 そしてミンを見るとオルストラス! がいる。ミンはどこに行ったのよ!? 私は手をふるもオルストラスは離さない。そして微笑む彼。まるでバラの花。


 ミンは別の席に移動させられていただけだった。ホッとした。

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