第14話
ここはドデーンと広い真っ白な部屋。男五人がかりでも持ち上げられるか謎のグランドピアノやいくらするのか聞きにくいチェロやバイオリンなどがあちこちに置かれている。
私はそんな部屋でピアノに向き合い曲を弾く。子供である私には難題だ。しかし、母の強い要望で実践中。
隣には三角眼鏡の女性の先生がクレームをよく発する。声がまるでアヒルみたいな感じ……。
注意される度に噴いてしまう。令嬢なのにスピットを飛ばすなんていいのかしら。
ぷっ! ぶふっ! あ、またクレームに反応しちゃった。いけないいけない。先生は怪訝な顔で言った。目がつり上がっていて怖いっちゃー怖いが……アヒルだし。
本人には言えないがあだ名はアヒル先生に決定している。その人は楽譜の一部を人差し指で示しこう口にした。
「ここのテンポがおかしいざんす! もう一回やるように! ってあなた、前から私が話すと噴くわね、なんでなの?」
私は奇病にかかっていると言うことを告げた。そんな病気ないしきっと激怒するだろうと思ったがあっさり受け入れてくれた。アヒル先生チョロい!
私は次の曲を弾く。指がステップを刻む。あるときは速力を早く、別の時はスローテンポに。
もし冒険者として失敗したときはピアノで食いつないでみせるわ! と強い動機で力強く旋律を奏でる。
開いていた窓にはチュンチュン鳴くスズメ……もとい、チュン子がとまり首をかしげている。かわいい!
そこで「こら! 楽譜見なさい!」とアヒル先生。流石に怒られた。
今日はアヒルとスズメに見守られピアノのレッスン。ドMとは……ええと……美しい王子様とは会わず。
まあ、破滅から遠ざかっていると感じ落ち着いた。さあ、ピアノで元気よくいきましょう!




