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訪問者?

商談の後、次の日の夕方には村に到着していた。

行きも帰りも、何事もなく無事にたどり着いた。


村に帰ると、ジルがお出迎え♪


嬉しそうに尻尾を振っているジル。

ただいまの挨拶をした後、家に入る私達にジルが待ったをかける?


はて? なぜ止める? 何か在ったのか?


しばし考え込むが分からない?


ジルは、何か待っているのか、尻尾をフリフリさせている。


え~と、なんだっけ?


「お土産 」


ナナがぼそりと言う。


「お土産? お土産? あー! 」


忘れていた! 確かにお土産を買ってくると約束していた。

ジルが期待を込めた目で、私達をというか、私を見ている。


しまった! 自分たちの買い物と、思わぬ商談で一杯一杯になっていて、ジルのお土産をまるっきり忘れていた。

どうしたものか?


私が、少し考えていると、ナナがジルに近づいていた。


「ジル、後でね? 」


ジルは、小首を傾げると、少しして首を縦に降る。

どうやら、今はもらえないと理解したようだ。

ジルは、リリとナナと一緒に舘に入っていった。

その時ナナが、私に目配せする。

本当に出来た子供だ。


私は、ナナに関心しながら、ジルにどう言い訳するか考えることにした。

下手な言い訳は、ジルに通用しない。

さて、どうしたものか?


結局、ジルには数日後に来るラットが、お土産を持ってくると言っておいた。

その後ジルは、嬉しそうに尻尾を振って、家の前で待つ事になった。


そんなにお土産が楽しみなのか?


ちょっと、ジルが可愛く見えた。

真実を知った時の、ジルが恐ろしいが?


そして数日後、ラットが数台の馬車で物資を運んで来た。


ラットは相変わらず、小太りで、愛想笑いに揉み手をして、私に挨拶してきた。


「どうも、お待たせしまして」


以前の下手な関西弁のような話し方ではなくなっていた。

関西弁のような話し方は、実際には関西弁で話していた訳ではなく。

あくまで、そういう風に聞こえただけである。


リリがラットを見て、一言。


「あっ、鼠さんだ!」


「わては、鼠やない! 種族が鼠族なだけや!」


「ふ~ん、でも鼠そっくりだよね?」


「だから、鼠ちゃうねん!」


ラットが、必死に説明するも、リリはラットを鼠だと言い続けた。

終いには、ラットが折れて。


「もう、鼠でいいだす」


「やっぱり、鼠なんだ♪」


流石に、ラットが可哀想だったので、私がリリに説明する。


「いいかいリリ、彼はね。…………………なんだよ。わかった?」


「ふ~ん、でも鼠だよね?」


あー、もういいや。鼠で良いよな?


そんなやり取りの後、私はラットに、他に商品を持って来ていないか、尋ねる?


「フフフ、実は若旦那に、見せたい物があるんだす!」


おお、さすが商売人! では、見せてもらおうか? 貴様の取って置きの商品を!


(取って置きとは言ってないが?)


「若旦那、これだす!」


ラットが、自信を持って商品を並べていく。


因みに、今、私達が居るのは舘の書斎である。


「おお、これは? こんな物が?」


「どうだすか?これなんか妹はん達に似合いますやろ?」


「って、アクセサリーじゃないか?」


「ありゃ、お気に召さんやろか?」


広げられたのは、沢山の装飾品。

ラットが、あれこれ説明しているが、別に欲しい物でもない。

しかし、ジルのお土産を買わないといけないし?


「まぁ、これにするかな?」


手に取ったのは、赤い石の付いたネックレス。


「ほうほう、流石にお目が高い!」


ヨイショするラットを無視して、私はネックレスの鎖の部分を皮のベルトに変えてもらうよう提案する。


「なんに、使うんでっか?」


「家の番犬の首輪だよ♪」


「はー、なるほど~」


ラットは、すぐに皮のベルトを準備してくれた。

なんでも、持ってるのか、こいつは?

これで、ジルのお土産が準備出来た。


その後は、ラットと雑談。

ラットは、とにかく喋る! 聞きもしないことを、永遠と話つづけるのだ。

多少うんざりしてきたので、話題を変える。

私はラットに、どうしても聞いておきたいことがあった。


「ところで、ラットさん? この前言っていた、戦争の件は、どうなりそうですか?」


「ああ、それはだすなぁ~……………」


ラットの話を、要約すると。

大規模な戦闘はなさそうだと、小規模な散発的な戦闘が有るくらいで、死傷者も多く出ないだろうと。

私達が、それほど心配することはないらしい?


それを聞いて、少し安心した。

ノーマンなら、きっと無事に帰って来てくれる、そう信じよう。


ラットは、鼻から伸びている髭を触りながら。


「まぁ~、ノーマン様なら心配ないでしょ」


と、笑ってくれた。


その後、ラットは、何が気に入ったのか、十日に一度は、村を訪れるようになっていた。


「どうも、どうも、お元気だすか?若旦那?」


「おまえ、暇なのか? しょっちゅうくるじゃないか?」


「いやいや、若旦那のことが気になって、気になって、心配で来たんだすよ♪」


「そうか~、信用出来ないんだよな~」


ラットは、腹をぽんぽん叩きながら、笑っている。


ほんと、なんか、憎めない奴だよ、こいつは?


ラットは、村にくる度に、私に何か売り付けようとするが、私は何も買わなかった。


それでも、やって来るのである。


そんな、ラットとのやり取りを、楽しみしている自分がいる。


楽しいのかな、私は?

うん、きっと楽しいのだろう。


最近、気の張った状態が続いていたから、余計にそう感じる。

こんな日常も悪くない。


因みに、リリとジルは、ラットが来ると、


「今日は何? 何を持ってきたの?」


「ガウ、ガゥガゥガウ?」


ラットの持ってくる装飾品が気になるようで、ナナもチラチラ見ている。


ジルの首には、赤い石の付いた首輪が巻かれている。


余程気に入ったのか、ラットにお辞儀していた。

ラットは、喰われるかと心配していたが?


そんなこんなで、日々は過ぎていた。


ノーマン達が村を出てから、約半年が過ぎようとしていた。


季節も冬から、春に変わる頃、その使者は村にやって来た。







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