第24話 一体どういう作戦だ?(第3部)
エドワードがエリザベスをボコボコにしてやろうと、自慢の『サンドブラスト(ただの砂かけ)』を放とうとしたその時だった。だが、領主のパニック具合があまりにも本気だったため、さすがの彼らも無視できなかった。
3人は顔を見合わせ、自分たちの拒絶に脳がバグっている「若くて純真無垢」な令嬢を袋叩きにするのをやむなく断念した。
屋敷の半分以上を猛ダッシュで駆け抜けた後、彼らはようやく、どこか防空壕のような狭い部屋に逃げ込んだ。
それにしても、逃走中、執事やメイドとは誰一人としてすれ違わなかった。使用人の姿が完全に消えているのだ。
これはどう考えても、あまり良い兆候ではなかった!
「いいだろう。君たちには少し正直に話そう」と、領主が息をつく。
「おう、一体どうなってんのか最後まで説明しろや!」とエドワードが吠える。「言っとくがな、お前の娘をシメるのを邪魔するために俺たちを逃がしたんなら、代わりにテメェに八つ当たりしてやるからな!」
『娘をシメる』という言葉を聞いた瞬間、領主は思わず「プッ」と吹き出し、それからゴホンと咳払いをして息を整えた。
「エドワード君、今は冗談を言っている場合ではないんだが……確かに君たちには少し笑わせてもらったよ」
「ああん? 俺の発言のどこが面白かったってんだ?」
イツロウはこの手の笑い方を知っていた。妙なことだが、エドワードが「娘をシメる」と言い放ったあの瞬間に領主が笑った理由について、ものすごく嫌な予感がし始めていた。
「なあ、ナハトヴァルト卿……」イツロウは渇いた喉を鳴らした。「一体何が起きてるんだ? なんで俺たちをエリザベスから引き離した?」
「妙な質問だね、イツロウ君。死神から遠ざかるのは当たり前のことだろう?」
「し、死神? どういう意味だよ?」
領主はピタリと動きを止め、目を丸くしてイツロウを見つめ返した。完全にショックを受けている顔だった。
(俺、なんか変なこと言ったか?)とイツロウは内心焦る。
「なるほど……君たち、本当に何も知らなかったんだね。順を追って説明しよう。私の娘、エリザベス・フォン・ナハトヴァルトは、『神子』として生まれたのだ」
(神子!!?)
「彼女はただの才能ある人間などではない。文字通り、神々の寵愛を一身に受けているのだ。彼女が生まれた年、世界中で丸1年間まったく魔法が機能しなくなったほどだよ。まるで、世界の力の均衡がすべて彼女に吸い取られ、崩壊してしまったかのようにね」
長い沈黙が落ちた。3人は微動だにしない。ただ一つ、全員の頭の中に共通する思いが響いていた。
(嘘だろ?)
「だから、その超常的な力を抑え込むために、彼女をただ一つの場所に幽閉しなければならなかった。それがここだ。気づいたかどうか分からないが、君たちがこの領地に入った時、極めて強力な魔法障壁を通り抜けたはずだ。幸いにも、あの障壁の目的はただ一つ……『彼女』を外に出さないためだけのものだよ。もしあの障壁が破られでもしたら……」
(そ、その先は言うな! 頼む! これ以上、この理不尽な異世界の現実と直面したくねえ!)
「我々の知るこの世界は、終わりを迎えるだろう」
領主の説明が終わった時、3人はようやく悟った。自分たちが今まで生き延びてこられたのは、本当にただの『運』だったのだと。
彼らは再び、完全に理不尽でバカげた障害の壁にぶち当たっていた。この奇妙な『クエスト』の本当の意味が、今、完全に繋がったのだ!
「ありえねえ!」とイツロウが叫んだ。「じゃあ俺たち、あいつに攻撃を仕掛けようとして、マジで死にかけたってことか!?」
「えっ、冗談じゃなかったのかい?」領主は心底呆れ果てた顔で答えた。「君たち、あの能力で本当に彼女に挑むつもりだったのかい!?」
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