第23話 美女とポンコツ(第3部)
(くそっ! あの役立たずのエドワードめ、黙ってられないのかよ! どうやら、この運命の女に立ち向かわなきゃいけないのは、やっぱり俺一人らしい。)
彼女が俺の頭へ手を伸ばしてくる。……また髪の毛を掴む気だ。行動が読みやすすぎるぜ!
「この動きは見切ったぜ!」
ゴツンッ!!
「いっ、でぇぇっ!?」
「えっ……あ、あ、大丈夫、サンズ!? その……つまり、今のは一体何をしようとしたのかしら?」
(ば、馬鹿な。俺が完璧なタイミングでカウンターを仕掛けたのに、完全にブロックされただと!?)
俺のステータスがどん底で、この世界の制限のせいで魔力も使えないことは分かってる。だが、まさか俺の決死のタックルをいとも簡単に防ぐなんて……。
しかも、勢いよくぶつかったせいで、俺の方がダメージを食らって尻餅をついてしまった。ドスッ。
彼女は驚いたような顔で、上から俺を見下ろしている。……なぜ顔を赤らめているんだ? なぜ小刻みに震えている? なのに、その口元にはまだ凶悪な笑みが浮かんでいる。
「……なるほどな」
「はい?」
「俺の攻撃は、半分効いてるみたいだな。見ろよ、お前震えてるじゃないか。俺が痛みのあまり今にも泣きそうになっているというのに、お前は自分が窮地に立たされたことを認められなくて、羞恥心を感じているんだろ!」
エリザベスから徐々に凶悪な笑みが消えていく。そして、少し顔を背けた。……まるで俺を哀れむかのように? ん、口元を隠したぞ?
(あっ、分かった。俺を馬鹿にしてるんだ。)
カウンターを防ぐための卑劣な一手を準備してるに違いない。窮鼠猫を噛むって言うだろ。泣きそうな奴ほど失うものがないから怖いってこと、彼女も分かってるんだ!
……俺のこと、そんなに恐ろしいか?
「あ、あの……鼻血、出てるわよ……」
「えっ?」
鼻元をスッと撫でると、赤い血が数滴手に付いた。……エリザベスにタックルしようとしてぶつかっただけで、ガチで鼻血を出したのか、俺!?
(……俺の方が彼女を過小評価していたのかもしれない。)
「ティッシュ、いるかしらサンズ……? べ、別にあなたを助けたいから渡すわけじゃないのよ! 絨毯を汚されたくないから言ってるだけなんだから! そ、そうよ、絨毯のためよ!」
「どうやら、お前のことを見くびっていたようだな。警告しておく、次が俺たちの最後の戦いになるぞ!」
最高に威圧的なセリフを叩きつけた後、俺はティッシュをひったくって全力で逃走した!
一番驚いたのは、なぜか彼女が俺をあっさりと逃がしてくれたことだ……。
(きっと、これ以上俺とやり合うリスクを避けたかったに違いない! よっしゃ、日誌の続きにこの大金星を書き残してやるぜ!)
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