第3話 俺たち、たった今スポーンしたばかりなんですが!(第2部)
サンズは「やれやれ」とため息をつき、首を横に振った。
「なんだよ? こっちに来てからお前ら静かすぎないか。まだアイミちゃんとのデートのことで怒ってんのか? いいか、俺たちの目標をしっかり見据えなきゃダメだぞ」
彼は人差し指を立て、呆れた父親のような顔でチッチッと指を振った。
「そんな心構えじゃ、魔王なんて倒せないぜ」
そう言って背を向け、彼は呑気に歩き出し——周囲の村人がドン引きして見守る中、観光客のように木造の建物をパシャパシャと写真に収め始めた……。
だが、不意に……ドゴォォォォン!!
サンズの顔面が情けなく土ぼこりの中に激突した。マイクとイツロウが背後から彼に飛びかかったのだ!
「よし、押さえろ! そいつのスマホをひったくって売り飛ばすぞ!」エドワードが山賊のようなゲスい顔で両手を前に突き出しながら叫んだ。
サンズは芋虫のようにもがき、スマホを腹の下に隠し込んだ。
「やめて、お願い! もうこれしか残ってないんだよ!」サンズは必死に抵抗しながら泣き叫んだ。
激しい揉み合いの中、スマホが彼の手からツルリと滑り落ちた。
「いやだ! 俺のスマホ! それだけは勘弁してくれ! まだブラウザの検索履歴を消してないんだよぉぉぉ!」サンズはエドワードに向けて絶望的に手を伸ばし、涙ながらに懇願した。
サンズの背中を押さえつけていたマイクの手が、ピタリと止まった。彼の手にギリッと力が入る。
一筋の純粋な涙が彼の目尻に浮かび、頬を伝い落ちた。
「これは……必要な犠牲なんだ……」マイクは震える声で鼻をすすった。「実を言うと……俺もPCの履歴、消し忘れてきたんだ……」
エドワードとイツロウの動きが完全にフリーズし、汚物でも見るような深い嫌悪感に満ちた顔でマイクを凝視した。
「お前ら二人、マジで終わってんな……」イツロウが氷のように冷たく吐き捨てる。
エドワードはドン引きしながらも、手早くスマホを奪い取って自分のポケットに突っ込んだ。
チームは立ち上がり、服についた土ぼこりをパンパンと払った。
彼らの足元では、サンズが四つん這いになり、自分の不運を嘆いてポロポロと泣きべそをかいていた。
「お前はどうだか知らないが、俺も自分のスマホを持ってる。しかもすでに充電済みだ」エドワードは自分のスマホを見せびらかして言った。
彼は腕を組み、極めて真剣な顔つきに戻った。
「まずは金目のものを全部集めて売り飛ばすぞ……。資金を調達する方法はそれしかない」
マイクとイツロウは無言で頷き、ゴソゴソとポケットを探り始めた。
イツロウは色褪せたルービックキューブと、ボールペンを取り出した。
マイクはプラスチックのリコーダーと、スマートウォッチを取り出した。
彼らはそのあまりにも惨めな戦利品を、土の上に恭しく並べた。
周囲の通行人たちは大きく迂回しながら、彼らを『ヤバいガキの集団』を見るような目で見つめている。
「よし、インベントリの確認だ……」エドワードは顎に手を当て、軍師のように深刻な声で読み上げた。「リコーダー一つ、ルービックキューブ一つ、ボールペン一つ、スマートウォッチ一つ、そしてスマホ二台」
仲間たちは学者のような大真面目な顔で深く頷いている。
「生き残る確率を最大限に高めるには、役に立たないアイテムを捨てるしかない。リコーダーは残すぞ……」エドワードがキッパリと言い放った。「最悪の場合、ホームレスみたいに路上で哀れに小銭を乞う羽目になるからな!」
「いや、そもそも俺たち……今現在ホームレスだろ」残りの三人が、見事にハモった無感情な声でツッコミを入れた。
「俺の言いたいことは分かるだろ!」エドワードが顔を真っ赤にして激怒する。
それぞれがアイテムを選んだ。
マイクはボールペンを手にした。
サンズはルービックキューブを握りしめた。
イツロウはスマホの一つを手に入れた。
そしてエドワードはもう一つのスマホを保持し、究極のバックアッププラン(という名の物乞い用アイテム)としてスマートウォッチとリコーダーを懐にしまった。
彼らは最後に鋭い視線を交わし、村の中へと散らばっていった。酒場へ、商店へ、本屋へ、路地裏へ。
目的は明確だ。今夜を生き延びるための、なけなしの金を稼ぐこと。




