第18話 今日はオフの日!(第1部)
スディスタの村に新しい一日が訪れた。小鳥はさえずり、子供たちは土埃を舞い上げて元気に遊んでいる。
商人たちは商談に花を咲かせ、スディスタと大都市ヘスティリアを結ぶ街道では、活発な馬車の音が響いていた。
酒場は活気に溢れ、猫たちは日向でのんびりと眠っている……。
しかし、何かが足りない。
何かがおかしい。
書店は開いているというのに、文句を言うクレーマーの客もいなければ、あの4人の悪ガキ(ニート)どもに出くわしたという被害者も一人としていないのだ。
夕方、店を閉める頃、アンネステリアの頭の中には一つの使命しかなかった。
あの屋根裏の寄生虫どもを、物理的に叩き起こすことだ!
「ほら、起きなさいあんたたち! いつまで朝寝坊してるつもり!?」
バンッ!!
アンネステリアは彼らの相部屋のドアを蹴破る勢いで押し入った。窓の鎧戸を乱暴に開け放ち、吸血鬼を退治するかのように容赦なく直射日光を彼らの顔面に浴びせる。
「アンネステリア、頼むから……その鎧戸閉めてくれよ、眩しくて眠れないだろ」とエドワードがドラキュラのように布団を被って文句を言う。
「それが目的なのよ!」と彼女は憤慨した。
エドワードはゆっくりと目をこすり、大きなあくびをしてから両腕をぐーっと伸ばした。
エドワードに比べると、他の3人は少しばかり眠りが深い(というより死体のように動かない)ようだ。
「エドワード、まさか一日中ここに引きこもってるつもりじゃないでしょうね。ここでのボス(家主)が誰なのか忘れないことね」
「俺たちに『危ないからここに残ってくれ』って泣きついてきた自称ボスが言うセリフかよ……」
エドワードのギロリとした鋭い三白眼に射抜かれ、アンネステリアは思わず「ヒッ」と小さな悲鳴を上げて後ずさりしそうになったが、すぐに気を取り直した。
この4人をもう2ヶ月近くもタダで泊めているのだ、この程度の威嚇で赤面している場合ではない。
「ま、まあいいわ。でも今のところ、あんたは私の屋根の下にいるんだから、私のルールに従いなさい」
「はいはい」
エドワードが心外だと言わんばかりに顔を背け、再び夢の中へとダイブしていったため、アンネステリアは、とりあえず次の標的へ移ることにした。
「さて、イツロウ? あんたはいつも早起きじゃない。起きて朝の散歩でもどう?」
「グオー……スピュー……カー……ピー……」
「イツロウ、あんたひょっとして、私を避けるためにわざとらしいタヌキ寝入りしてるんじゃないの?」
アンネステリアは耳を澄ませた。彼女の持ち得る最も優しく思いやりに満ちた声で問いかけたのだから、少しは情けをかけて返事をしてくれるだろうと期待して。
イツロウは薄目を開け、透き通るような明るい茶色の瞳で、死んだ魚のように彼女を横目で見た……。
「はい、完全にタヌキ寝入りしてました」
面倒くささ100%の平坦なトーンで彼はあっさり自白した。
アンネステリアの『美しくて優しい大人の女性』としてのプライドが、音を立てて粉々に崩れ去る。この小僧どもがこれほどまでに無関心な態度をとるなんて、思わずふて腐れたくなってしまう!
だが、まだマイクがいる!
彼のド変態な性格は重々承知しているが、アンネステリアにとっては、その下心を利用してでも相手をさせる(働かせる)つもりだった。
「私の愛しのマイクちゃん! レストランでちょっとしたデートなんてどうかしら?」
「……絶対にお断りだ」
「なっ……なんでよ! ちょっと待って……あんた、泣いてるじゃない!」
マイクは、シーツをギリギリと千切れるほど強く握りしめ、顔を極力無表情に保ちながらも、目から一筋の『血の涙』を流していた。
アンネステリアがマイクの額に手を当てると……オーブンで焼かれているように、燃えるように熱かった。
「ちょっと、ものすごい熱があるじゃないの!?」
「デートの誘いを受けて……これから心ゆくまでハッスルできると思うと、自分のこの動かない体が不甲斐なくて、悔し泣きが止まらないんだ……!!」
「絶対にお断りよ!」
「なっ……なんでだよぉぉ! 下半身は元気なんだよぉぉ!」
「あんた完全に重病人じゃないの! 結局のところ、ここでおとなしく寝てるのが一番合理的よ!」
マイクは不満げに「グヌヌ……」と小さく呻き、「フンッ!」と音を立てて寝返りを打ち、再び毛布の中に丸まって潜り込んだ。
「もういい加減にしなさいよ! エドワード、イツロウ! ベッドから出て何か活動しなさい! もう1週間近くこんな調子じゃないの!」
彼女はヒールで床をガンガンと踏み鳴らし、拳を握りしめた。わざと音を立てて、二人の忍耐力を試そうとしたのだ。
「あれ、アンネステリア、ここで何してるの?」
アンネステリアの背筋が完全に凍りついた。トラブルの代名詞とも言えるその声……すっかり忘れていたが、ここには『歩く災害』サンズもいたのだ。
「あ、あら……そういえば、急にお客さんが待ってるんだったわ!」
「こんな時間に? 普通なら店閉める時間だろ?」
「わ、私がそんなことするもんですか! 今日は特別に長く店を開けることにしたの! そ、そうよ! 残業よ、サービス残業!」
「手伝おうか?」
「結構よ!!」
アンネステリアは脱兎のごとく部屋を飛び出した。この史上最悪にカオスな脅威を前に、完全なる戦略的撤退である。
「フン……腰抜けが」と、エドワードが布団の中からボソッと呟いた。
――それからたっぷり1時間後、4人の少年たちが再び眠りについたのを見計らい、アンネステリアは再び行動を開始した。
次の作戦は、エドワードとイツロウを起こさずに一人ずつリビングへ運び出すこと。ただし、病気で可哀想なマイクと、あの恐ろしいサンズは絶対に起こさないように。
彼女はゆっくりとドアを開けた。ギギギ……と大きな音が鳴る。
しかし、マイクの地響きのような凄まじいイビキには到底敵わなかった。
アンネステリアは靴を脱ぎ、忍者のように音を立てないようにすり足で進んだ。最初のターゲットはエドワードだ。
だが、毛布をゆっくりと剥がそうとした瞬間……彼女は胸を撃ち抜かれた。
そこには、普段の憎たらしさが嘘のように、この上なく従順で、とびきりキュートなエドワードの無防備な寝顔があった。
(……かわいい!!)
アンネステリアは心の中で絶叫した。
頬にツーッと垂れた小さなよだれを見て、彼女は母性と愛おしさのあまり変な声を出しかけた!
(落ち着け、落ち着くのよ私……この性悪な小悪魔相手に、こんなに胸を高鳴らせるなんて……そうだわ! こいつが私にどれだけ酷い態度をとってきたか、思い出すのよ!)
彼女はエドワードの脇の下にそっと手を入れた。驚くほど軽い。まるでチワワか赤ん坊のようだ……。
アンネステリアはそのまま彼を抱え上げ、ゆっくりと部屋の出口へ後ずさりし、足でそっとドアを閉めた。
エドワードの顔を見下ろした瞬間、彼女はつまずきそうになった。彼は居心地が悪そうに、恥ずかしそうに顔を半分背けていたのだ。
(かわいすぎるぅぅ!!)と、彼女は心の中で身悶えした。
「あのさ……アンネステリアさん……。もしそんなに誰かとデートしたかったなら、マイクの体調が良くなるのを待てばよかったじゃないか……。俺みたいな未成年(ピチピチの15歳)に対して、寝込みを襲ってそういうことするのって……完全に小児性愛者の犯罪行動だぞ……」
「えっ、ち、違うわよ!!」
彼女はパニックになって叫んだ。
アンネステリアは慌ててエドワードを床に放り出した。するとエドワードは、まるで純潔を奪われそうになった悲劇のヒロインのように、体を丸めて悲鳴を上げ始めた。
(そんなゴミを見るような目で私を見ないでよ、エドワード! 私はショタコンなんかじゃないわよ! お願い、生き地獄だわ!)
アンネステリアは口をぽかんと開けたまま、言葉を発することもできずに完全にフリーズした。
「早く……済ませてくれ……」エドワードが涙目で震える声で言う。
「そんな誤解を招くようなこと言わないで、エドワード!!」
エドワードは顔を背け、自らの運命を受け入れた……少なくとも、そういう風に演じていた。エドワードはただ、自身最高のアカデミー賞モノの演技(被害者ムーブ)を披露しているだけだったのだ!
(バカな女だ。こんな絶好の強請り(ゆすり)のチャンスを見逃すわけないだろ。さんざん俺たちをタダ働きでこき使ってくれたんだからな、このビッチが! 慰謝料としてベッドを要求してやる!)
エドワードは内心でゲスい笑みを浮かべ、ほくそ笑んでいた。
アンネステリアは沈黙した……。
(あれ? あいつ、そんなに気まずいのか……。まあ、あいつが罪悪感で追い詰められてるのを見るのは楽しいが、ちょっとやりすぎたか?)とエドワードが訝しんだその時。
ギュッ……。
アンネステリアは、床に座るエドワードを、その胸に柔らかく、力強く抱きしめた。
彼女の呼吸はゆっくりで、エドワードの頭の上で静かに、安心したように息を吐いていた。
(な、なんだよこれ!? クソッ! 近すぎる! 柔らかい! めっちゃいい匂いする! こんなに近いのは初めてだぞ!)
エドワードの思春期全開の脳みそが、完全にショートしてパニックを起こす。
「私ね……ずっと、可愛い弟が欲しかったの」
アンネステリアが、慈愛に満ちた声でポツリと呟いた。
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