第12話 ついに自由の身! 俺たちの冒険者ライフが始まるぜ!(第2部)
その時、書店の前に馬の蹄の音が止まった。
「エドワード・ニシムラ様、イツロウ・ブルト様、マイク・タロー様宛てに、冒険者キットのお届けです!」
配達員が名簿を手に、通りから大声で叫んだ。
熱狂するアイドルのファンのように、名前を呼ばれた三人は大きな木箱へ向かって我先にと押し合いへし合いを始めた。
「どけよ! 俺が呼ばれたんだ! 早く俺の美しい白の羽織が見たいんだよ! 普通のやつとは違う、特注デザインなんだからな!」イツロウが叫ぶ。
「はいはい、そうかい! 俺には青銅のカイトシールドが待ってるんだよ! 俺はこの世界のキャプテン・アメリカになる男だ!」マイクが言い返す。
「お前ら黙ってろ! さっさとこの箱を中に運ぶのを手伝え!」エドワードが怒鳴った。
箱を運び込み、アナステリアが受領書にサインを済ませると、彼らはリビングで急いで箱を開けた。
装備を身に着けてみると……結果は悪くなかった!
「うおおっ! 見ろよお前ら、この装備マジですげえぞ!」
マイクはカーキグリーンの丈夫な革製胸当て(チェストプレート)を身につけていた。彼の左腕には、中央にライオンの頭が刻まれた重厚な青銅のカイトシールドがしっかりと固定され、見事なタンク役(盾役)の風格を漂わせている。
「全くだぜ!」
イツロウは標準的な初心者冒険者の服装だったが、例の特注の白い羽織が彼を際立たせていた……肩幅のサイズが少し大きすぎて、極道のヤクザか着物に着られている子供のようだったが、まあ許容範囲だ。腰には短剣を下げている。
「俺たちもついに、本物の冒険者だ!」
そして最後にエドワード。彼もイツロウと同じく基本的な軽装を身にまとい、脚の防具に短剣を一本スタイリッシュに固定しているだけだった。
3人の友人は、アナステリアの驚愕の視線を浴びながらキメ顔でポーズを作った。彼女は彼らが去ってしまう悲しみを隠しきれていなかったが、それでも彼らの成功を喜んでいるようだった。
突然、その大騒ぎで目を覚ましたサンズが、よだれを拭いながら昼寝から起き上がってきた。彼はすぐに、友人たちの素晴らしい冒険者装備に気づき、目を星のように輝かせた。
「おっ、すげえ! ついに装備届いたのか! 俺も着がえ……」
サンズは目を見開いたまま言葉を失い、完全にフリーズした。
箱の中身は……スッカラカンに空っぽだった。
彼は数歩よろよろと後ずさりし、震えながら首をギギギと回して、鏡の前で満足げに自分の姿を見とれ続けているエドワードを見た。
「え、エドワード……俺の装備はどこ? 俺の荷物はまだ来てないの?」
「ん? ああ、お前の分は買ってねえよ」
「な……はあっ!? なんでだよ!!」
彼らの背後で、マイクとイツロウは「プククッ!」と必死に嘲笑を漏らしながら、こっそりと忍び足で部屋から出て行った。
「なんで、だと? ふざけてんのか? お前に何も買わない理由は少なくとも1001個はあるが、よくもまあ『なんで』なんて図々しく聞けるもんだな?」エドワードが冷酷に吐き捨てる。「念のために聞くが、お前、今まで魔法をいくつ習得した?」
サンズはガクンと肩を落としてうつむき、諦めの混じった弱々しい声で答えた。
「……ゼロ」
「だろうな。お前には平民の村人Aみたいな初期服を買ってやったぞ。グループの役に立たないうちは、クエストには連れて行かねえ。百歩譲って連れて行ったとしても、クエストが終わった後に俺たちの素材袋を持たせる(荷物持ちの)くらいだな」
数分後。サンズがまだアナステリアの膝にすがって『装備買ってえええ!』と泣きじゃくっている間、残りのメンバーは大都市ヘスティリアへ向かうための荷造りを終えていた。
「おいサンズ、さっさと動け! 乗合馬車がもうすぐ来るぞ!」エドワードが叫ぶ。
リビングのドアが勢いよく開いた。
サンズが現れた。彼はまだ不貞腐れた顔をしながら、アナステリアの手をしっかりと握っていた。奇妙なことに、書店員の彼女もお出かけ用のよそ行き服を着ている。
「なあ、アナステリアさん……なんで着替えてるんですか? 忠告しときますけど、このお荷物野郎とデートするつもりなら、別の馬車に乗ってくださいね」エドワードが二人を指差して言い放つ。
「ち、違うわよ! 彼を外に連れ出すためにこうしただけよ、じゃないとあなたたちの出発に乗り遅れそうだったから!」彼女は慌てて弁解した。
「正直、こいつを置いていっても大した損失じゃないんですけどね……」とエドワード。
サンズの顔がピクッと引きつり、その瞳にサイコパスのような真っ暗な光が宿ると同時に、額に太い青筋がピキキッ!と浮かび上がった。
「おーい! 馬車が来たぞ! 乗るぞー!」外の歩道からマイクが叫んだ。
慌ただしく別れを告げた後、小柄なグループは馬車に乗り込み、スディスタ村を後にした。
目的地は、ヘスティリアのギルドセンター。
――ヘスティリアのギルドセンター。
その場所は相変わらず威圧的でお役所的な素朴な作りをしており、長いデスクが並び、4人があの強制的な『フラッシュバン適性検査』の時からよく覚えている奇妙な機械が置かれていた。
(一人を除いて)新しい装備を誇らしげに身につけた彼らは、王様のように自信に満ちた足取りで一つの窓口へと向かった。
窓口の担当は可愛らしいエルフだった……待てよ、あいつは初めて彼らの能力を覚醒させたあのエルフじゃないか!
「こんにちは、若き冒険者の皆様。何かご案内しましょうか? それとも、このセンターに登録されている数多くのギルドのいずれかに加入をご希望ですか?」
彼女の声は相変わらず甘く、聞いていて心地よかった。
エドワードは自信満々に窓口のカウンターに肘をつき、イケメン風のポーズをとった。友人たちの興奮した視線と、サンズの後頭部を貫くような殺意に満ちた視線を背中に浴びながら。
彼は身分証を置き、トランプのディーラーのようにスタイリッシュに滑らせた。
エルフは水晶玉を使ってカードの確認を始めた。
「俺たち、冒険者ギルドに入りたいんです。できれば、この大都市ヘスティリアのギルドがいいですね」
「それは不可能です」
「それから、優先クエストについても教えてもらえ――はい?」
ズコーッ!!
エドワードは派手にズッコケそうになり、ギリギリでカウンターにしがみついて威厳を保った。
「ヘスティリアのギルドに加入するには、少なくとも『レベル50』が必要です」
「は?」
「皆様は全員『レベル1(底辺)』ですので、新規加入者向けのリストはかなり限られております」
「何の冗談ですか?」
「ですが、全レベルを受け入れている冒険者ギルドを一つご提案できます。というか、皆様がこの地域で加入できるギルドは『それしか』ありません」
エドワードが姿勢を正し、グループも少し希望を取り戻してゴクリと唾を飲み込んだ。
「『スディスタ・ギルド』にご加入いただけます」
アナステリアは、はち切れんばかりの笑顔と喜びを隠すのに必死だった。「キャッ!」と小さな歓喜の声を漏らしてしまい、マイクとイツロウが一斉に彼女を振り返ったため、慌てて目を逸らして天井を見つめる。
エドワードは沈黙した。
「このギルドでは確かに大規模なクエストはありませんが、初心者には最適です。さらに、討伐するモンスターが不足している時には、村での簡単な肉体労働などのサブタスクも多数提供しています。それでは、5名様全員でスディスタ・ギルドにご加入でよろしいですね?」
グループの士気は一瞬で海抜ゼロメートル以下(マリアナ海溝レベル)まで急降下した。サンズだけは、自分も同じ状況に巻き込まれていることをすっかり忘れて、「プギャーッ!」と腹を抱えてケラケラと嘲笑っている。
「いいえ、私は彼らの付き添いなだけです。実を言うと、私はすでにそのギルドに登録されているんですよ」アナステリアが嬉しそうに答えた。
「ああ、思い出しました! スディスタの書店員さんですね?」
「はい」
「では、書店の経営や雑用を手伝ってくれる『便利な奴隷』をついに見つけたんですね?」
エルフのその残酷な推論が終わった瞬間。
エドワード、マイク、イツロウの三人は、ギギギ……と錆びた機械のようにゆっくりとアナステリアの方へ首を回し、深海魚のような死んだ目で彼女を睨みつけた。
当の彼女はといえば、スーパーのレジで子供たちを待たせている母親のように、彼らの絶望を完全に無視して受付嬢との世間話を楽しんでいた。
『こいつ、俺たちのこと完全にハメやがったな(ずっと掌の上だった)』
サンズのアホみたいな笑い声にかき消されながら、三人の少年は心の中で完全にハモり、血の涙を流した。
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