第11話 野郎ども VS ゾルネリウス(第2部)
――数分後。
ゾルネリウスは太いロープでぐるぐる巻きにされ、芋虫のように簀巻き状態にされていた。息を切らした一行は、彼を取り囲む。
「よし、単刀直入に聞くぞ。俺たちのダチを暗殺するように依頼したのは誰だ!」エドワードがプロの尋問官のように追及する。
「何も喋らん!」暗殺者は顔を背け、吐き捨てた。
エドワードとイツロウが尋問を担当している間、マイクとサンズは武器を構え、暗闇に目を光らせて後方警戒にあたっていた。
「吐かせる方法ならいくらでもあるんだぜ。手荒な真似はさせないでくれよ!」エドワードが凄む。
彼は脅しのために、近くに転がっていた古い木製のスツールを拳で勢いよく殴りつけ、「バキッ!」と派手な音を立ててみせた。
「どうしても口を割らないなら、洞窟からゴブリンを一匹捕まえてきて、こいつの口に無理やりキスさせてやろうぜ!」イツロウが底冷えするような歪んだ笑みを浮かべて提案する。
「言ったはずだ、何も喋らないと。私には暗殺者としての誇りと名誉がある!」ゾルネリウスは顎を上げて強がった。「だが、あまり調子に乗らないことだな。私の仲間の残りが必ず戻ってくる。奴らが来れば、お前らなど皆殺しのエントロピー(大殺戮)だ!」
まさにその瞬間、慌ただしい足音が石畳を打った。小柄なシルエットが、明るい大広間に猛スピードで駆け込んでくる。
「お兄様! 今助けるわ!」
女性の声だった。新参者はゾルネリウスと全く同じ暗い長マントを羽織り、フードを目深に被っている。
「残りの仲間は偉業団のやつらに捕まっちゃった! 完璧な罠だったのよ! ――キャッ!」
彼女の言葉は、布が激しく擦れる音と不意打ちによって遮られた。
「エドワード! こいつ、しっかり捕まえたぞ!」
暗がりの影から飛び出したマイクが、背後からその若い女をガッチリと羽交い締めにしていた。
彼の丸太のような太い腕が彼女を包み込み、身動きを完全に封じている。
「私の妹からその汚い手を離せ! さもないと!」ゾルネリウスがロープの中でもがきながら狂ったように絶叫した。
「さもないと、何だ?」
イツロウが暗殺者に顔を近づけ、特許取得済みのサイコパス・スマイルを浮かべた。
エドワードは腕を組み、悪魔のような共犯者の笑みを唇に浮かべた。二人は一言も言葉を交わすことなく、完全に意気投合していた。
「おやまあ、なんてことだ。これ以上ないほどの最高のタイミングだな。偶然ってのは本当に恐ろしいねぇ」エドワードは、わざとらしく天使のような優しい声を作って言った。
「全くその通りだな」イツロウは、微塵も天使らしくないドス黒い声で同意した。
部屋の奥では、マイクが拘束を強めていた。猛烈に暴れる若い女を不器用な大きなグローブの手で必死に押さえつけ、その横でサンズが革のベルトで彼女の手首を縛ろうと四苦八苦している。
「離せ、このドワーフども!」女が悲鳴を上げる。
「頼む、妹にだけは危害を加えないでくれ! 代わりに私を痛めつけてくれ!」ゾルネリウスが頬に大粒の涙を伝わせて懇願した。
『ほう、血も涙もない冷酷な暗殺者かと思いきや、実は妹思いの純粋な心の持ち主ってわけか』エドワードは心の中でニヤリと笑った。『完璧だ。最高の交渉材料になるぜ』
「よし。俺たちが何者か、お前なら知ってるよな?」エドワードは暗殺者の目の前にしゃがみ込んで話し始めた。「お前の妹を拘束しているあの男、マイクっていうんだが……あいつはな、女性に対する『重度の性的嫌がらせ(セクハラ)』で告発された男だ。お前の妹がこれからどうなるか、想像にお任せするぜ……ウィヒヒヒヒ……」
ゾルネリウスと妹の瞳孔が、恐怖で同時に限界まで開ききった。
ゆっくりと、震えながら、少女は首を回してマイクと視線を合わせた。
「え、エドワード!? 俺のこと何て言った!? お前、頭おかしいんじゃないのか!?」マイクは顔を真っ赤にして裏返った声でどもった。
しかし、暴れる女を押さえつけようとパニックになっている彼の大きな手は、無意識のうちに囚人の肋骨や腰のあたりを不器用に行ったり来たりしている(視覚的に最悪である)。
「まさか、そんな非人道的なことしないよな!? この悪魔ども!」ゾルネリウスが血の涙を流して泣き叫ぶ。
イツロウは天を仰ぎ、背筋が凍るような冷酷で野太い笑い声を上げた。
「ハッ! 犯罪者相手にこの世界に生ぬるいルールなんてねえんだよ! 俺たちはただ『正当防衛だった、魔物に襲われた』って主張すればいいだけだからな!」
「マイク、お前マジで最低だな! 本屋の店長にも同じことしようとしてた癖に! 今度はこの子相手にヤるつもりか!?」サンズが彼を指さし、わざとらしく一語一語を強調して事態をさらに真っ黒に染め上げた。
「ちげーよ! この子を抑え込むためにはこうするしかないんだ! アスリートみたいに暴れ回るし、どうせ俺たちと同い年くらいだろ!」マイクは滝のような汗をかきながら必死に弁明した。
「同い年だからって自分の性欲を正当化しようとしてんじゃねえ! 妹からその汚い手を離せ、このロリコン野郎がぁっ!」ゾルネリウスが石畳に唾を吐きながら激怒した。
現場は完全なカオスと化していた。少女が四方八方に身をよじるため、マイクは逃がすまいとあちこちのホールドを強めざるを得ず、その光景は誰が見ても極めてアウトで、いかがわしいものになっていた。
「分かった! 分かったから! 全部話す! だから頼む、誰か他の奴が妹を拘束してやってくれ!」ゾルネリウスが号泣しながら叫んだ。
「お願い! この変態、もう何度も私の胸を触ってきたわ!」妹もギャーギャーと悲鳴を上げる。
「触ってねえよ!!」マイクが裏返った絶叫を上げた。
エドワードとイツロウが主導したこの卑劣極まりない心理的拷問のおかげで、若い女はすっかり気力を失って大人しくなり、兄と背中合わせにきつく縛り上げられた。
ついに、回答の時間がやってきた。
「……正直に話そう。私にイツロウ・ブルトの暗殺を依頼したのは、セアリウス・ゴルトステリアだ。彼個人に強い恨みを持っているようだった、あの若き騎士だ」ゾルネリウスは項垂れながら吐き出した。
「でも、私たちの計画は失敗したみたい。今頃、暗殺団の残りのメンバーは偉業団に全員逮捕されているはずよ」妹も敗北の深い溜息をつきながら付け加えた。
四人の友人は顔を見合わせ、目をパァッと輝かせた。パズルのピースが完璧にハマった。自分たちの完全な潔白を証明するための、鉄壁のアリバイをついに手に入れたのだ。
「なるほどね、合点がいった。完璧だ。だがその前に、お前らの契約書を渡してもらおうか。この情報を証拠として使うなら、あのバカ騎士のサインが入った紙の証拠を持っていくに越したことはないからな」エドワードは堂々と手を差し出して言った。
ロープで縛られたゾルネリウスは、片眉を上げて冷ややかに彼を見た。
マイクが慌てて暗殺者の革ジャンの内ポケットをまさぐり、折りたたまれた羊皮紙を取り出してエドワードに手渡した。
二人の囚人の口に汚い布切れを強引に突っ込み、猿轡を噛ませた後――。
「よし、用は済んだ。一目散に出口を探そうぜ」
「なあエドワード、こいつら今のうちに先に気絶させておいた方がよくないか?」サンズが顎で暗殺者たちをしゃくりながら尋ねた。
「名案だな。マイク、やれ」
「なんで俺なんだよ!?」ガタイのいいタンクは両手を振って後ずさった。
「俺たち三人の中で、お前が一番パワーがあるからだろ」
「そうだけど、もしこれが俺たちの責任になったらどうするんだよ!? もし『捕虜への無慈悲な暴行を禁ずる』みたいな法律があったら!? もっと面倒なことになるだろ!」
マイクは目を泳がせながら、必死に拒否した。たとえ相手が暗殺者でも、無抵抗の人間に暴行を加えることなど、彼のプライド(と保身)が許さないのだ。
だが、残りの三人が激しく議論を交わしている間に……。
イツロウは、一秒たりとも躊躇していなかった。
彼は足元にあった巨大な岩を両手で持ち上げた。自分自身にかけた筋力バフの効果が、ちょうど最高潮に達していたのだ。彼はそのまま、二人の暗殺者の頭蓋骨めがけて、無慈悲に岩をフルスイングで振り下ろした。
ゴンッ!! ゴンッ!!
アドレナリンの波に飲まれたイツロウは、あまりにも、あまりにも力を込めすぎていた。
二人の囚人は白目を剥いて前のめりに崩れ落ち、その後頭部には見る見るうちに巨大な紫色のタンコブがボコッと膨れ上がり、傷口から一筋の鮮血がツーッと流れ出した。
「バッカ野郎! なんでそんなに全ギレのフルパワーで頭殴ってんだよ!?」三人は飛び退きながら絶叫した。
「こ、こんなにクリティカルヒットすると思わなかったんだよ! ヤバい、死んだか!?」イツロウは極度のパニックになり、持っていた殺人凶器の岩をドンッと床に落とした。
エドワードが膝から滑り込み、二人の頭に震える手を当て、出血が止まるまで基本の回復魔法を呪文のように何度も何度も必死に繰り返し唱えた。
彼は立ち上がり、額の冷汗を拭いながらゆっくりと後ずさる。
「まあ……たぶん、これで脳震盪ですんでるだろ……」
イツロウも一歩下がり、湯気が出ている自分の両手を見つめた。
「ってか、警察(偉業団)が来る前に、俺たちはもうズラかるからな!」彼は踵を返し、泣き叫んだ。
四人の頭の中には、ただ一つの極めてシンプルな確信だけが響き渡っていた。
『このままこいつらの死体(仮)と一緒にいたら、絶対に全員共犯者としてブチ込まれる!』
しかし、あのバカ騎士の署名が入った決定的かつ最強の「紙の証拠」は、今やエドワードのポケットの中でしっかりと温められている!
全員が一目散に逃げ出すという、完全なる見苦しい敗走劇。
かくして、彼らの偉業団としての初クエストは、誰一人としてまともに戦うことなく、偶然と暴力と泥臭い脅迫によって幕を閉じたのであった!
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