第10話 踏ん張れ、まだ最初のクエストだぞ!(第3部)
冷たい石棺の裏に背中を預け、ピッタリと隣り合ってしゃがみ込む。彼らは乱れた荒い呼吸の音を殺すために、両手で自分の口を強烈に塞いだ。
ホラーゲームの絶対的な黄金ルール『暗闇に隠れてやり過ごす』を忠実に実践しているのだ。
アンデッドの足音が遠ざかり、ようやく道がクリアになったかと思われた……その時。重いブーツの足音と共に、人間の声が響いてきた。
『おお、最高だ、助かった!』と二人の臆病者たちはパァッと顔を輝かせ、希望に満ちて立ち上がろうとした。
「やめ、やめてくれぇっ!」
二人の動きが完全に凍りついた。聞き覚えのある声だ。彼らを置き去りにしたパーティーの剣士と弓使いだ。歴戦の冒険者であるはずの彼らが、恐怖のあまり絶叫していた。
「誓って言う、あいつらがどこにいるかなんて知らないんだ!」
「なら、どうやってターゲットを見失ったのか説明しろ!」見知らぬ、氷のように冷酷な声が吐き捨てる。
「だから分からないって言ってるだろ! 俺たちのすぐ後ろにいたんだ、本当だ!」
「お前たちには不幸なことだが、我々のリーダーは『言い訳』を一切受け入れない主義でね」
ズバチュッ!!
肉に刃が深々と突き刺さる、鈍く生々しい音が響いた。二つの重い肉の塊が、ボトッ、と無機質な音を立てて石の床に崩れ落ちた。
「よし、他の者たちは捜索を続けろ。イツロウ・ブルトを見つけ出し、始末しろ!」
「「了解!」」
鋲を打ったブーツの足音が、ゆっくりと暗闇の奥へと遠ざかっていった。
石棺の裏側では、鉛のように重い沈黙が、果てしなく長い一分間を支配していた。
エドワードは目玉がこぼれ落ちそうなほど丸くしたまま、ギギギ……と錆びた機械のようにゆっくりと首を友人の方へ向けた。
「なあ……お前、最近暗殺者に命を狙われるようなヤバいことでもやらかしたのか?」エドワードはウィスパーボイスで囁いた。
イツロウは答えない。恐怖で完全に脳が麻痺し、瞳孔を開ききったまま、彼は人差し指の爪をガリガリガリッ!と狂ったように噛みちぎり、念仏のように聞き取れない声で祈りを捧げていた。
エドワードは大きく息を吸い込み、石棺の端まで這って進み、慎重に頭を出した。通路には誰もいない。ただ、剣士と弓使いの血の海が広がっているだけだった。
「ゲホッ……コホッ……」
微かな咳き込む音。エドワードは目を大きく見開いた。彼らはまだ生きている!
彼は前へ飛び出そうとした……が、イツロウが彼のジャケットの裾を暴力的な力で掴んだ。
「お、お前、まさかあのクソ裏切り者どもを助けるつもりじゃないよな!? あいつらがあの暗殺者とグルだったのが分からねえのか!?」イツロウは絶望的な力でエドワードを後ろへ引きずり戻しながらどもった。
エドワードは鋭い動きで友人の手を振り払った。
「当然助けるに決まってるだろ。だけど、完全に治すつもりはない。他のパーティーが来るまで生き延びられる程度の最低限の処置だ。俺は寝覚めの悪い思い(人殺し)なんてしたくないんだよ」
彼は二人の負傷者のそばにしゃがみ込んだ。震える手で微弱な回復魔法を詠唱し、服の切れ端を破って開いた傷口を圧迫した。血がとめどなく溢れるのはなんとか止まった。
「よし、この状態なら下手に動こうとはしないはずだ。待てよ、待てよ……」
エドワードの動きがピタッと止まった。彼は自分の血まみれの両手を見た。足元に転がる二人の体を見た。そして、完全に理解した。
『ヤバい! 客観的に見たら、俺たちが自分のパーティーを背後から襲った「サイコパスの襲撃者」そのものじゃねえか!』
「ここからズラかるぞ! もう二度とあのクソみたいな法廷には戻りたくねえ!」
エドワードはイツロウの襟首を荒々しく引っ掴み、通路へと強引に引きずり出した。小柄なブルネットの少年は、壊れたおもちゃのように一歩ごとに足をもつれさせながら、情けないパニックの叫び声を上げた。
筋肉に乳酸が焼けつくような盲目の逃走劇の末、彼らは巨大な廃墟の広間にある太い柱の裏にスライディングで滑り込んだ。
その場所は陰鬱だった。石壁には松明がパチパチと音を立てていたが、アーチ状の天井の中央からは、自然光の大きな光の柱が差し込んでいた。
イツロウは胸を激しく上下させながら、上を見上げた。その光の筋を見た瞬間、彼の顔がパァッと明るくなり、一気に血色が戻った。
「エドワード、上を見ろ! あの光には見覚えがある、た、助かったぞ!」イツロウは天井を指差して叫んだ。
「本当だ、これは良い兆候だ! 外の光が見えるってことは、出口が近いかもしれない!」
希望に満ち溢れたイツロウが、柱の陰からひょっこりと顔を出した。
ヒュンッ!!
一本の黒い短剣が空気を切り裂き、彼の前髪をひと房削ぎ落とし……イツロウの鼻先からわずか二ミリの石の壁にズバァァンッ!と深く突き刺さった。
イツロウの全身の血が絶対零度に凍りついた。彼は勢いよく後ろにのけぞり、恐怖で目を限界まで見開いたまま、ゴキブリのように柱に背中をピタリと張り付けた。
パチ……パチ……パチ……。
ゆっくりとした、リズミカルで、そして信じられないほど傲慢な拍手の音が、巨大な広間に鳴り響いた。
「認めよう、素晴らしい回避だ。もし君の背がもう少し高かったら、確実に脳天を貫いていたはずだからな」
つい数分前、身長の低さで言い争っていた二人にとって、これほど皮肉な命の助かり方はなかった。
その足音は、彼らが隠れている柱のちょうど反対側でピタリと止まった。
「イツロウ・ブルト。その柱の裏で震えているのは分かっている。たとえ人違いだとしても、君の命を奪うつもりだがね」その男は、挑発的でエレガントな三流悪役の口調で囁いた。「ある依頼人が、君のその小さな首にどっさりとヴェンヌの懸賞金をかけたんだ。自己紹介しておこうか。私の名はゾルネリウス。悪名高き暗殺組織『三日月』のリーダーだ」
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