第10話 踏ん張れ、まだ最初のクエストだぞ!(第1部)
「よし、ここからは各自のパーティーごとに分かれて進むぞ! 当然だが、このダンジョンの踏破率はまだ30%だ。残りの70%は完全に死の危険が潜む未知の領域だからな! それぞれ別々のルートを進め。迷子になりやすいから十分に気をつけろ!」
隊長は、日の光がさんさんと降り注ぐ安全な入り口の重厚な扉の取っ手に、命綱のようにしっかりと両手をしがみつかせたまま、大声で命令を飛ばした。彼は暗闇の方へは一歩たりとも進もうとしない。
そんな中、イツロウとエドワードが配属された四人組のリーダーであるフルアーマーの騎士が、二人に近づいてきた。
「よし、お前ら二人。若い魔術師と僧侶だな、俺について来い。剣士として前衛は俺が張る。俺とそこの弓使いの援護を頼んだぞ」
彼の顔に刻まれた歴戦の傷跡と、相棒が持つ使い込まれた弓を見て、エドワードとイツロウは少しだけ息を吹き返した。二人はゴクリと唾を飲み込む。
足手まとい(お荷物)にだけは絶対に見られたくなかった。幸いなことに、彼らの初期魔法はしょぼすぎて魔力をほとんど消費しない。
「わ、分かりました! 背後からしっかりついて行きます!」イツロウは、大柄な騎士の影に寄生虫のようにすっぽりと隠れながら答えた。
「援護は俺たちに任せてください!」エドワードも少し胸を張って、いっちょ前に付け加えた。
『偉業団の仕事が全然楽な金稼ぎじゃなかったとしても、まだ1000万から3500万ヴェンヌの報酬って約束があるしな……』彼はそう考えて必死に自分を安心させた。
騎士は剣を抜き、薄暗い通路の一つへと足を踏み入れた。残りの三人もそれに続く。
「なあ、ポジティブに考えようぜ、イツロウ。あの装備を見る限り、二人はかなりレベルが高そうだ。これならいける! それに、悪く言うつもりはないが、マイクとサンズが一緒でもどうせ役には立たなかっただろうしな」エドワードはイツロウと肩を並べて歩きながら小声で言った。
「特にサンズがな」イツロウが即座に同意する。
だが、唐突に!
「気をつけろ、強い敵の気配だ! 戦闘準備!」
騎士がバンッ!と盾を構えて臨戦態勢に入る。エドワードとイツロウの心臓が喉から飛び出そうになった。
彼らにとって、これが人生初の本格的な戦闘だ! 兵舎での教えを思い出しながら、二人は震える拳を強く握りしめた。
「やはりな、ゴブリンが三匹だ! 気をつけろ、奴らは卑劣で狡猾な生き物だぞ!」
「「了解!」」
金属音が響き渡る。騎士が雄叫びを上げながら二匹のゴブリンの棍棒の攻撃を盾で受け止め、その隙を突いて弓使いが矢の雨を降らせていた。
一方、男子高校生コンビの方には、ヒロイズムの欠片もなかった。
ベテラン二人が敵の主力を抑えている間、エドワードとイツロウは残った一匹のゴブリンと対峙していた。
緑色の小柄な怪物は、壁から壁へとピョンピョン飛び跳ね、「ギャハハ!」と甲高い奇声を上げてゲーマーを煽るように二人を馬鹿にしながら、石を投げつけてくる。
「うぜええ! チョロチョロ動くな! ちゃんと狙えないと魔法が撃てねえだろ! イツロウ、デバフでそいつの動きを鈍らせろ!」エドワードは両手を振り回し、安定した標的を探しながら叫んだ。
「俺が今何をしてると思ってるんだよ!?」
イツロウは必死に両手を向け、「ソウル・シール!」や「ドロップ・スピード!」と叫び続けていた。
しかし、ふにゃふにゃの情けない魔法陣は壁や天井に虚しく激突するばかりで……肝心のゴブリンには一つも当たらなかった。エイム(狙い)が絶望的に下手くそなのだ。
「おい、そこの僧侶! こっちにバフをかけてもらえると助かるんだが!」遠くで戦う騎士が叫んだ。
「は、はい、ただいま! ゲイン・スピード!」イツロウはパニックになりながら唱えた。
息を切り、膝をガクガク震わせるイツロウは、この破滅的な魔法の連続詠唱で、すでに酸欠で倒れる寸前だった。
多動症気味のゴブリンが長い舌を出し、左からのフェイントを交えながら、無防備なエドワードに向かって一直線に突進してきた。
「や、やべっ!」
ボグシャッ!!!
回避しようとしたエドワードは、苔むした石の上で派手に足を滑らせた。
彼の体は勢いよく後ろに倒れ、そのまま勢い余って跳ね上がった足が……凄まじい破壊力でモンスターの股間(男の急所)にクリーンヒットした!
ゴブリンの目玉がピンポン玉のように眼窩から飛び出た。怪物は武器を落として地面に崩れ落ち、股間を両手で強く押さえながら、声にならない超高音のうめき声を上げてダンゴムシのように丸まった。
「完璧だ、隙だらけだぜ!」
イツロウが前に飛び出し、その小さな怪物に容赦なく襲いかかった。
急所を潰されて悶絶し、身動きの取れないゴブリンの背中に向かって、ストリートファイトのような卑怯な蹴りの雨が「オラオラオラァ!」とあられと降り注ぎ、ついに怪物は完全に意識を失った。
肩で息をしながら、イツロウとエドワードは「パーン!」と勢いよくハイタッチを交わした。彼らの記念すべき(そして最も卑怯な)初キルである!
「信じられん……あいつら、ゴブリンよりも卑劣で狡猾じゃないか……」
「騎士道精神の欠片もないな。まるで路地裏のチンピラだ……」
正々堂々と二匹の敵を打ち倒して息を切らせていた騎士と弓使いは、その光景を深い嫌悪と哀れみが入り混じった表情で見つめていた。
「なんだよ? 勝ちは勝ちだろ!」イツロウが二人を指差して叫んだ。
その間、エドワードは経験値(XP)とドロップアイテムを確実に取りこぼさないよう、気絶したモブの息の根を、その辺に落ちていた石で物理的にガンガン叩いて止めていた。
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