第8話 異能を持つ4人の悪友たち (第2部)
「次は、イツロウ・ブルト……。おお、とても興味深いわ。あなたのプロファイルは支援役にピッタリね! クラスは『僧侶』よ! でもそれ以外は、エドワードとほぼ同じで……」
「プククッ……ギャハハハハ! 聞いたか!? こいつのステータス、マジでゴミじゃねえか!」
エドワードは見えない目で震える指をでたらめな方向へ突き出し、無理やり腹を抱えて笑い転げた。
『お前も全く同じゴミステータスだろうが、このアホ……』マイクとサンズは呆れて首を振った。
「でも待って、僧侶でこれは前代未聞よ!」
エドワードの笑い声がピタリと止まる。彼は突き出していた震える指を、力なくスーッと下ろした。
残りのメンバーは動きを止め、息を呑んで耳を澄ませた。
NPCのこういう驚きのリアクションは、得てして固有スキル(チート)のフラグだ! しかも今度こそ、間違いなく使えるスキルに違いない!
「あなた、固有スキルを持ってるわ! 名前は『天の導き』! 私、こんな強力そうなスキル見るの初めてよ!」
イツロウは微動だにしなかった。無表情のまま、警戒するように少しだけ眉をひそめている。
『このテンプレスクリプトで俺が騙されると思ったら大間違いだぞ』イツロウは冷ややかに思考を巡らせた。
グループの誰もが嫌というほど理解していた。この不条理な世界でそんな奇跡が起こるのは、本物の異世界主人公だけだ。
そして自分たちにとって、この世界は決して『選ばれし者たちの物語』などではないのだ……必ず裏がある。
「えーっと、それで? 何が問題なんだ?」
「問題って?」
「いや……そのスキルの代償とかさ」
「お兄さん、さっきも言ったけど、私このスキルを見るのは初めてなのよ。だからこのスキルについて何も知らないの……本当に、何一つね」
法廷のような静寂が落ちた。このグループに、本物の主人公(チート持ち)が実在したのだ!
エドワードは絶望して膝から崩れ落ち、血の涙を流して泣き叫び、イツロウは腕を組んで後光が差すほどの極上のドヤ顔を浮かべた!
「さて、次ね。マイク・タロウ! ええと、どれどれ……。あなた、魔力がゼロ!? ど、どうしてこんなことが?」
「えっ? 魔力ゼロ? ほんの少しも?」
「で、でも安心して! その代わり、身体能力が規格外よ! スピード、敏捷性、攻撃力……本当に桁外れだわ! そしてクラスは……『民兵』ね。まあ、誰でもなれる平均的な初期クラスだけど……でもポジティブに考えて! 友達のクラスと違って、このクラスは転職可能だし、とっても汎用性が高いのよ!」
マイクの巨大な肩がガクンと落ちた。顎が胸につくほど項垂れ、この世界の厳しい現実(モブ確定)に真っ向から打ちのめされた。
誰も笑わなかった。この気の良い大男の落ち込みようを前に、お葬式のような敬意に満ちた沈黙がその場を支配した。
「最後は、サンズ・クジラ……。あら可哀想に、神様はあなたに肉体的な才能を全く与えなかったのね。身体ステータスがほぼゼロに近いわ……でも、これは……ええっ!? 莫大な魔力量を持ってるじゃない!? 底が見えないわ! あなたのクラスは『上級魔術師』よ。もしかしたら、あのマクスウェル・ヴァネステリアを超えるかもしれないわ!」
「えっ、マジで? 俺、いけちゃう? そりゃあもちろんいけるよね! 昔からママに『お前は特別な子だ』って言われてたし!」
サンズは人差し指で自慢げに鼻の下を擦り、後頭部に手を当ててアホ面全開の満面の笑みを浮かべた。
マイクは顔を上げ、心から彼を祝福した。
だが、エドワードとイツロウの背筋には滝のような冷や汗が伝っていた。この歩く災害(大バカ)にそれだけの火力を与えるとか……グループ全員が誤爆で死ぬリスクしかないだろ。
しかし意味深な視線を交わした後、二人は肩をすくめた。今回ばかりはこのお荷物に全ての危険な汚れ仕事を押し付けることができるなら、それも悪くない。
「よし、お前らには独特の力と長所があるようだが……同時に独特の欠点もあるようだな。まあいい、兵舎に戻るぞ。駆け足!」
教官の声は相変わらず絶対的な単調さだった。彼は踵を返し、四人を連れて帰路についた。
兵舎に戻った彼らは寮の部屋を割り当てられ、「偉業団」の15日間の訓練プログラムのマニュアルを受け取った。
プログラムを通して、四人の悪友たちはこの王国の戦闘システムについて学んでいった……。
魔法を習得するには、物理学や化学といった基本的な科学の理解が必要不可欠であることが判明したのだ。
エドワードとイツロウは、すぐに何十種類もの初級魔法や支援魔法を暗記した。
——だが、そこまでだった。彼らの悲惨な魔力量では、一発撃っただけでMPゲージが一瞬で空っぽになってしまうのだ。
『魔法のレベルは上がるのに、最大ステータス(MP)が上がらないとか……この世界、マジで不条理すぎるだろ!』息を切らした手を睨みつけながら、二人は定期的に愚痴をこぼした。
一方サンズは、分厚い本を前にして滝のような汗を流し、脳みそからプシューッと煙を出していた。結果は? 習得した魔法は「ゼロ」。
物理の基礎知識が、彼のツルツルの脳みそを完全に素通りしていたのだ。サンズへのハイプ(期待)は、彼自身の『学力崩壊』という分厚い壁に激突して木端微塵に粉砕された。
彼には本当に、文字通り「何も」なかった。
結局のところ、魔法が一切使えない男が最も役に立った。マイクは全ての体力測定で他をゴリラのように圧倒した。
教官は彼に、王国の偉大な騎士にも劣らない重装備を与えたほどだ。
初期クラスなど、本当に当てにならないものである。
「見事だ、若者たちよ。お前たちはこれで『偉業団』として任務に就く準備が整った。おめでとう、青二才ども(レ・ブルー)!」
「あー、教官。厳密に言えば、訓練を合格したなら俺たちはもう『青二才(新人)』じゃないですよね?」
「青二才じゃないだと? お前らは間違いなく青二才だ。初日の訓練と同じ、その『青い』制服を着ているだろう。『青二才』は偉業団の連中につけられる正式な通称だ」
『くだらないオヤジギャグかよ……この世界、やっぱり俺たちの常識と真逆を行ってるな(絶望的にセンスが古い)』エドワードは目を細めて呆れ果てた。
「無駄話は終わりだ。任務の要請が来るまでは自由行動とする。せいぜい楽しむことだな。一ヶ月後にはお前たちは自由の身だ……もっとも、初任務を終えて生きていればの話だがな。無事任務を遂行できれば、莫大な報奨金が支払われる。任務の規模にもよるが、大体1000万から3500万ヴェンヌってところだ」
「「「「さ、3500万!?」」」」
四人は眼球がこぼれ落ちそうなほど瞳孔を限界まで開かせ、顎を床まで落として声を揃えて叫んだ。
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