第6話 ますます絶好調!(第2部)
「ああ、そうだった……」老人はズレたモノクルを直しならが呟いた。「ええと、被告人はニシムラ・タロウ、マイク・クジラ、エドワード・イツロウ、そしてサンズ・ブルト……」
「違います、裁判長。綴りを申し上げます。E、D、W、A、R、D……」書記官がゆっくりと読み上げ始めた。
「もういい! 被告人が誰かはもう分かっている!」エリエナがイライラしたように袖を振り払い、冷たく言い放った。
普通の法廷なら、検察官が裁判長にこんな態度をとれば即座に法廷侮辱罪で罰せられるだろう。しかしここでは……。
裁判長のしわくちゃの顔が、カッと真っ赤に染まった。彼は「ウヒヒ」と気持ち悪い小さな笑い声を漏らし、左の鼻の穴からツーッと一筋の鼻血を垂らしたのだ。
『あー……なるほど。この街の最高裁判官は、ファム・ファタール(魔性の女)に罵倒されるのが大好きな、ドMの変態ジジイってわけか……』エドワードは瞬時に察した。彼はこのファンタジー世界の不条理さに底知れぬ疲労を覚え、頭を抱えて鼻筋をつまんだ。
四人は無言で顔を見合わせた。
「ウヒヒヒ……コホン。それでは、裁判を開廷する!」裁判長はレースのハンカチで鼻血を拭きながら、甲高い声で宣言した。
バン! バン! バン!
書記官がバサリと長い羊皮紙を広げた。
「ここにいる被告人たちについて、その素性が不明であるため、各個人の罪状はグループ全体(連帯責任)のものとして扱われる!」
サンズが口をポカーンと開け、バネ仕掛けのように椅子から飛び上がった。
「おい、そんなの不公平だ——!」
グシャッ!
マイクの巨大な手が、プロレス技の『アイアンクロー』のようにサンズの顔面をわしづかみにし、そのまま乱暴に椅子に押し戻した。
「静かにしろ!」マイクは血走った目で睨みつけ、口元に人差し指を立ててシィーッと威嚇した。
「エドワード・ニシムラ! かつてこの地域で最も偉大な魔術師であったマクスウェル・ヴァネステリアに対する恐喝および嫌がらせの罪!」
エドワードは腕を組み、大理石の彫刻のように動じない。
「サンズ・クジラ! 呪われたアーティファクトの密売、および未成年への贈賄未遂の罪!」
サンズはマイクの巨大な手で顔面を塞がれたまま、ズゴゴゴとくぐもったうめき声を上げた。
「マイク・タロウ! 共犯、およびスディスタの司書アナステリア夫人に対する悪質なセクハラ(性的嫌がらせ)の罪!」
マイクの口の端には一筋のヨダレが光っていた。そして壇上では、あろうことか裁判長が全く同じようにヨダレを垂らしながらマイクを熱く凝視していた(地獄のような空間である)。
「最後に、イツロウ・ブルト! 窃盗、詐欺、アトラス騎士団に対する名誉毀損、および騒乱罪!」
イツロウは金メダルを確信したオリンピック選手のような落ち着き払った態度で、優雅に前髪を撫でつけた。
「よし」裁判長が言った。「弁護側に発言を許可する」
エドワードが立ち上がった。彼はゆっくりと計算し尽くされた足取りで歩みを進め、法廷の中央にピタリと立った。
「裁判長。俺たちのグループの完全な無罪を主張します」
観覧席から再びブーイングの嵐が巻き起こる。
「異議あり——」エリエナがバンッ!と拳を叩きつけて立ち上がりかけた。
「最後まで言わせろ!」エドワードが法廷バトルゲームの主人公のような、芝居がかった手振り(異議ありのポーズ)で彼女の言葉を力強く遮った。「証拠が欲しいのか? なら、公平な取引を提案しよう。自白剤(真実の薬)を持ってこい。被害者と目撃者全員にそれを飲ませ、俺からの質問に答えさせる。その後、俺たち被告人も同じ薬を飲み、そちらの質問に答えてやる」
ブーイングがピタリと止んだ。
代わりに困惑のざわめきが広がる。観衆は怪訝そうに眉をひそめた。なぜ弁護側が、そんな自爆のような取引を提案するのか?
「断る!」老マクスウェルが半ば立ち上がりながら激怒した。「これは我々に対する侮辱だ!」
「私も同意見だ!」若い騎士も軽蔑の目を向けて腕を組む。
「私は……別に構いませんよ……?」アナステリア夫人が頬をゆでダコのように真っ赤に染め、モジモジとドレスの布地を弄りながら、マイクを熱っぽい目で見つめて呟いた。
「ど、どういうことだ、構わんとは!?」マクスウェルが激しくむせ返る。「このチンピラどもは狡猾なんだぞ! そちらの書記官の記録によれば、昨日サンズ・クジラは呪われたアーティファクトを売ったと自白しているではないか——」
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