第5話 俺たちのポンコツ担当がまたやらかした……(第3部)
男の笑顔がさらに深くなった。彼は水差しを手に取り、なみなみと三つのグラスに水を注いだ。
「さあさあ、遠慮しないで。君たちも一口どうだい?」
『絶対にこの水だけは飲んじゃダメだ!!』
マイク、エドワード、イツロウは、表面がゆらゆらと揺れる透明な液体を親の仇のように睨みつけながら、心の中で絶叫した。
「いや、結構です。俺たちはあまり喉が渇いてな——」エドワードが引きつった笑顔で、指先でグラスを押し返そうとした。
「奇妙ですね……」エリエナの氷のような声が、彼の言葉を鋭く遮った。「あなた方には、この水差しの中に『自白剤』が薄めて入れられていることが、はっきりと分かっているようですね。もし喉を潤すことを拒否するのなら……あなた方が重要な情報を隠蔽しようとしていると判断せざるを得ませんが?」
窓からの光が反射し、彼女の眼鏡のレンズがキラーンと真っ白に光った。
完全に罠が閉じられた。
沈黙は『隠蔽』の証拠。水を飲むことは『有罪の自白』。完全なる詰みである。
マイクは必死に頭を抱え、額から滝のような大粒の汗を流した。
『もし喋ったら、俺たちは間違いなく即刑務所行きだ……。でも、もし黙秘し続ければ、この取り調べはもっと長引いて、エリエナさんの美しい胸の谷間をさらに長く拝み続けることができる……!』
マイクの血走った視線は、猛毒入りのグラスと、冷酷なファム・ファタールの厳格な胸元の間を、車のワイパーのような猛スピードで行ったり来たりしていた。
バンッ!
エドワードが机に両手を叩きつけて腰を浮かせ、取調官の二人に向けてビシッと人差し指を突きつけた。
「情報を引き出すために、俺たちに無断で自白剤を盛るなんて、あんたたちにはそんな法的権利はないはずだぞ!」
エドワードは、被疑者の権利を主張する生意気な現代の高校生としての自信を完全に取り戻して叫んだ。
四角い顎の男は、心底困惑したように片眉を上げた。
「クスリ……? 権利……? 何のことだそれは?」
エドワードの腕がピタッと宙で止まった。突き出した人差し指がプルプルと情けなく震える。
ゆっくりと、本当にゆっくりと、彼は手を下ろした。
彼の脳が、ようやく全ての点と点を結びつけたのだ。
現代の司法制度、黙秘権、被疑者の権利……ここは中世レベルで発展が止まっている野蛮なファンタジー世界だ。彼らがやり込んだMMORPGのようにはいかない。人権などという甘い概念は存在しないのだ。
彼は空気が抜けた風船のように、ズシリと重い体を椅子に沈めた。
「……黙秘権を行使します……」彼は消え入りそうな声で、意味のない言葉を呟いた。
エリエナが勢いよく立ち上がり、勝ち誇ったような冷笑を浮かべて四人の少年を見下ろした。
「捜査への協力を拒否するというのなら……衛兵! このチンピラどもに手枷をかけなさい!」
『迷子の男子高校生四人を罠にハメてドヤ顔するとか、大人としてプライドってもんがねえのかよ……』エドワードは鋼鉄のガントレットに腕を乱暴に掴まれながら、内心でギリギリと歯軋りをして深くうつむいた。
───
ガチャンッ!
重厚な鉄格子の扉が、けたたましい音を立てて閉められた。
彼らの初めての留置場での夜は、兵舎の狭く薄暗い独房で過ごすことになった。明日の理不尽な裁判を待ちながら、虫が蠢いていそうなカビ臭い藁のベッド(二段ベッド)に押し込められている。
監獄の静寂は、すぐに打ち破られた。
「サンズ、お前ってヤツは本当に筋金入りの大バカだな!!」エドワードの怒声が、湿った石壁に反射して響き渡った。
サンズは体育座りのまま、頑なに独房の埃っぽい床から目を逸らそうとしなかった。
「なんであのクソみたいな水を飲んだんだよ!? いいか、あれは『良い警官と悪い警官』のテンプレそのものだっただろ! なのに、明らかに状況にそぐわない態度で優しくしてくる奴から、平気で水を受け取るバカがどこにいるかよ!」エドワードは独房の中を檻の中の獣のように歩き回りながら激怒した。
彼がピタリと立ち止まる。彼のまぶたが怒りでピクピクと神経質な痙攣を起こしていた。
マイクはサンズの隣で床にしゃがみ込み、隅で見つけた小さな白いチョークの欠片を握っている。
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