第4話 野郎4人、異世界でまさかの警察沙汰!(第2部)
「なあ、マイク……」エドワードがジト目で目を細め、唐突に尋ねた。「お前、本屋で一体何をやらかしたんだ?」
かっこいいポーズで固まっていたマイクのこめかみに、一瞬でツーッと滝のような冷や汗が流れた。
「だってそうだろう? 俺たち四人の中で、お前が明らかに一番幸せそうな顔をしてる。逮捕された後も、十分前まで虚空を見つめながらデレデレとヨダレ垂らしてたの、俺はハッキリ見てたぞ……」
イツロウがアホみたいに大きく口を開けた。
「そ、そういやそうだ! まるで何かとてつもなくエロいことを妄想してるみたいな……」イツロウは言葉を切り、顎を落として絶句した。
マイクの唇が一直線に硬く結ばれた。ハムスターのように頬が微かに膨らみ、顔がみるみる赤くなっていく。
爆笑をこらえようと床を必死に睨みつける彼の肩が、小刻みに神経質な痙攣を起こし始めた。
エドワードが怒りでワナワナと震える指を彼に突きつけた。
「な、なんで笑いこらえてんだよ!? お前がとんでもないやらかしをした時のそのクソ忌々しい癖、俺は知ってんだぞ!」
イツロウは慌てて手錠をかけられた両手で顔を覆った。ヒッと息を呑み、絶望的なほど目を丸くして仲間たちを見る。
ただでさえ自分は騎士に対する名誉毀損に巻き込まれ、エドワードは老人への嫌がらせで捕まっているというのに……。もしこの巨漢のバカが、それ以上の最悪の事態を引き起こしていたら……。
マイクはビクッと首をすくめた。
「俺には……黙秘権がある……」と、床に向かってボソッと呟く。
「出たよ、善良な市民ヅラ! この卑怯者が! この中世ファンタジー世界に、そんな俺たちに都合のいい法律が存在するわけねえだろうが!」エドワードは藁の上でバチンと跳ね上がるように激怒した。
ドンッ!
槍の柄が、馬車の屋根に激しく打ち付けられた。
「黙れ! お前ら、少しは大人しくできんのか!」衛兵の一人が雷のような怒鳴り声を上げた。
「それに、取り調べの前は黙秘権を行使することを強くお勧めするぞ」ともう一人が呆れたように付け加えた。
エドワードの肩がガクンと床まで落ちた。彼は即座に平身低頭で頭を下げ、急に借りてきた猫のように素直になって自分の膝をさすり始めた。
「あ……えっと……この世界が、もう十分に文明化されてるなんて知らなかったもんで……」彼は蚊の鳴くような震える声で呟いた。
護送の道中は、明け方まで重苦しいお通夜のような沈黙の中で続いた。
───
ギギィィィッ!
馬車が急ブレーキをかけ、四人の少年たちは盛大な音を立ててダンゴ状にお互いの上に折り重なるように吹っ飛んだ。
「おい、頭おかしいんじゃねえの!?」マイクが金属の壁に思い切りぶつけた頭をさすりながら猛抗議した。
「黙れ!」深いクマを作った衛兵が怒鳴りつける。
彼は道中ずっと、サンズのグズグズとした泣き言と、マイクのオーガのような轟音イビキに耐え続けなければならなかったのだ。
エドワードは首をすくめた。
「ひぃっ! 申し訳ありません!」彼は素早く友人を庇い、これ以上状況を悪化させないよう慌てて土下座の勢いで謝った。
しかし、サンズだけは小さな鉄格子の窓から顔を押し付けるようにして身を乗り出していた。
彼は地平線を見渡した。
巨大な城壁、果てしなく続く畑、風車、そして絶え間なく行き交う馬車や農民たちの姿。彼の顔がパァッと明るく輝いた。
「なんだこれ……。これってもしかして、大都市ヘスティリアじゃないか?」彼がアホ面で呟く。
「「「「だろうな……」」」」
三人の仲間と衛兵たちが、見事に声を揃えて呆れ果てた深いため息をついた。
馬車は都市の巨大な門をくぐり抜けた。




