・プロトコル2:狂信の真実;パート1
皆さん、プロトコルをお楽しみください!
「……おい……ガキ。起きろ」
声は長いトンネルの奥から響いてくるようだった。ケイルは肋骨を突かれる感覚を覚え、胸に耐え難い痛みが爆発した。ゆっくりと目を開ける。
「……どこ……俺はどこに……?」
ケイルは乾いた喉で囁いた。体を動かそうとしたが、空間が狭すぎた。
「ふむ、かなりひどい打撲を食らったみたいだな」
声が再び響いた。「それに胸の傷も相当ヤバいぞ」
ケイルは顔を向けた。声の主は痩せた男だった。彼は混乱しながら瞬きした。記憶は頭の中で砕けた鏡のようだった。
「待て……」
ケイルは起き上がろうとした。「いやだ! 離せ! 戻らなきゃ! あいつらが必要としてるんだ!」
彼は叫びながら荷車の壁に体をぶつけた。他の囚人たちは怯えて縮こまったが、痩せた男は驚くほどの力でケイルの肩を押さえた。
「無駄だ、ガキ」
男は冷たい声で言った。「どれだけ叫んでも、外の奴らは気にしない。来るべきもののために力を温存しろ」
「どういう意味だ?」
ケイルの声は震えた。「俺たちをどこへ連れて行くんだ?」
「すぐにわかるさ」
ケイルは膝を抱えて縮こまった。現実が雪崩のようにのしかかってきた。あいつらは死んだ。自分の家族、生きる理由、笑顔……全て灰になった。
(なぜ俺はまだ息をしている?)
ケイルは血と汚れにまみれた自分の手を見つめた。(あいつらと一緒に死ぬべきだったのに)
彼は周りを見回した。荷車は満員だった。小さな声で神に祈る老女、無表情で虚空を見つめる少し年上の少年。
「王国は実験体を欲しがってるらしい」
腕に包帯を巻いた別の囚人が囁いた。「人工の双子能力をテストしてるんだとか。放射能地帯でネクサスを採掘してるとか」
「採掘の方に祈った方がいいぞ」
痩せた男が答えた。「研究所の話……あそこから生きて帰ってきた者はいない」
ケイルの心臓が凍りついた。研究所? 実験体?
突然、荷車が急停止し、全員が前に投げ出された。外で鎖と重い門の開く音が響いた。
「着いたぞ! 降りろ、ゴミども!」
「ここはどこだ?」
ケイルは震える足で降りながら聞いた。
痩せた男は上を見て、笑みもなく微笑んだ。
「ようこそ、新しい家へ、ガキ」
ケイルは視線を上げた。巨大な石と金属の要塞が山の斜面にへばりつくように建っていた。紫の煙を吐く煙突、空気を震わせるエネルギーの唸り——歯が痛くなるほどだった。
「三日の旅の末、ようこそ国境へ!」
衛兵がケイルの横で笑いながら言った。
「さっさと進め! 入れ!」
完全装甲の衛兵たちが電気棒を手に、囚人の列を押し始めた。
巨大な中庭に連れ込まれた。そこで書類を持った将校が彼らを二つのグループに分け始めた。
「貴様は左だ!」
筋肉質の男たちを指差す。「貴様は右!」
ケイルは観察した。左は「強靭で耐久力のある者」——おそらく重労働の奴隷。右は「弱者、若者、病人」。痩せた男が左に放り込まれるのを見た。
(生き残らなきゃ)
ケイルは思った。(重労働なら、逃げるチャンスがあるかもしれない)
彼は左の列に向かって歩き出した。
衛兵が金属棒で道を塞いだ。
「待てよ、ガキ」
衛兵は嘲笑いながらケイルを上から下まで見た。ボロボロのシャツから浮き出た肋骨、細い腕、中肉中背の体格。「お前はそっちじゃない」
ケイルは眉を寄せた。
「俺は仕事に耐えられる。見た目より強いぞ」
衛兵は乾いた笑い声を上げた。
「貴様がか? 見てみろよ。一息で吹き飛ぶぞ。向こうへ行け」
彼は「役立たず」のグループを指差した。
「なぜだ?」
ケイルは一歩前に出た。「石くらい運べる、俺は……」
平手打ちはあまりに速く、ケイルは手が動くのも見えなかった。衝撃で体が回り、膝をついた。
「早く行けと言っただろう」
衛兵が怒鳴った。「本気で躾ける前に、その棒きれみたいな脚を折るぞ」
ケイルは口の端から血を拭った。衛兵を憎悪の目で睨んだが、ここで勝てないことはわかっていた。
立ち上がり、右のグループへ向かった。そこには怯えた子供たち、脆い老人、負傷者しかいなかった。後ろで、マテウスより少し年上の小さな女の子が彼のシャツの裾を掴んだ。歯がカチカチと鳴るほど震えていた。
「行くぞ」
ケイルは自分の惨めさの中で湧き上がる守護本能を抑えきれず、少女に囁いた。
長い暗い廊下を連行された。空気は冷たく、化学薬品の臭いが強かった。足音と子供たちの嗚咽が混じり合う。
ようやく廊下の奥の金属ドアが開いた。
「入れ」
衛兵が彼らを押し込んだ。
ケイルはつまずきながら中に入った。部屋は廊下と正反対だった。完全な白。白い床、白い天井、白い壁。人工的な光が強すぎて目を刺した。家具も窓もなく、ただ白い空間だけ。
囚人たちは羊のように中央に固まった。ケイルの後ろの少女がさらに強くシャツを掴んだ。
「何が起こってるんだ?」
誰かが聞いた。
ケイルは周りを見回し、心臓が激しく鼓動した。(これは牢じゃない。これは……)
減圧音が響いた。壁に小さな穴が開き、誰かが叫ぶ間もなく、濃い煙が部屋に流れ込み始めた。
「息を止めて!」
ケイルはシャツで鼻を覆いながら叫んだ。
無駄だった。ガスは重く、数秒で全員を包んだ。後ろの少女が咳き込んで崩れ落ちた。
「起きろ!」
ケイルは彼女を抱えようとしたが、自分の脚も言うことを聞かなくなった。
白い世界が回転した。ケイルの視界の端が暗くなった。意識を失う直前、保護服を着た人影たちが部屋に入ってくるのが見えた。顔のない怪物たちのように。
目が覚めた時、最初に戻ってきたのは痛みだった。瞬きして視界を合わせようとした。もう荷車の中ではなかった。立ち上がろうとしたが、脚がぐにゃぐにゃだった。小さな窓のない独房の冷たい床に横たわっていた。壁は内側から光を発しているようだった。
「……ん……」
隅から小さなうめき声がした。
ケイルは苦労して首を回した。壁に寄りかかり、膝を抱えて縮こまっているのは、荷車にいたあの小さな女の子だった。
「……おい」
ケイルはかすれた声で囁いた。「大丈夫か?」
少女は答えなかった。ショック状態のようだった。ケイルが近づこうとした瞬間、ドアが横に滑った。
衛兵が入ってきた。荷車にいた者とは違う。顔の半分を覆うマスクと、暗い染みのついた革のエプロンを着けていた。
「立て! 今すぐだ!」
マスク越しにくぐもった声で衛兵が唸った。
ケイルは体を起こそうとしたが、衛兵は我慢しなかった。素早く近づき、腕を掴んで乱暴に引きずり上げた。ケイルはよろめき、ほとんど倒れかけた。
「お前もだ、ネズミめ!」
衛兵は少女の脚を蹴って立たせた。
「触るな!」
ケイルが叫んだ。
衛兵はただ笑い、二人の背中を廊下へ押しやった。
今度の廊下は普通ではなかった。暗く、天井の赤いランプが明滅し、耐え難い悪臭が充満していた。二人は一つの部屋に投げ込まれた。中央の金属テーブルに、二つの小さなコップに入った粘つく紫色の液体があった。
「飲め」
衛兵はケイルの顔に警棒を突きつけ、命じた。「体を洗浄するためだ」
「俺はこんなもん飲まな——」
ケイルが言いかけた瞬間、警棒が背中に叩き込まれ、彼は膝をついた。
「飲め。さもなくばこのガキに二倍飲ませるぞ」
衛兵は冷たく脅した。
ケイルは少女を見た。彼女は無言で泣いていた。選択の余地はなかった。震える手でコップを取り、一気に飲み干した。甘ったるい味がした。少女も恐怖に駆られ、同じように飲んだ。
ほとんど即座に、世界が回転した。赤い光がぼやけ、床が消えたかのようだった。
「おやすみ……」
それがケイルが意識を失う前に聞いた最後の言葉だった。
再び目を開けた時、骨の髄まで冷気が染み込んでいた。腕を動かそうとしたが、鎖が止めた。冷たく粗い石の寝台に横たわり、手首を重い鉄の鎖で拘束されていた。
「何が……何が起こってるんだよ!?」
ケイルは鎖を引っ張った。「どこだここは!? 離せ、このクソ野郎ども!」
首を最大限に捻った。隣の石の寝台では、小さな女の子も縛られていた。目覚めていたが、恐怖で麻痺したように天井を見つめていた。
「落ち着け、落ち着け……随分と元気だな」
部屋の奥の影から声がした。柔らかく上品な声だったが、衛兵の叫びより遥かに鳥肌が立った。
ゆっくりとした足音が石の床に響いた。暗闇から人影が現れた。白衣を着た長身の男で、顔に化粧を施し、指の間で道具をくるくると回していた。
「さて……君たちが俺の新しいお友達か」
男は微笑みながら言った。
ケイルの胃がむかむかした。
「てめえは誰だ!?」
ケイルは鎖に逆らいながら叫んだ。「俺たちに何の用だ、この狂人!?」
男は罵声を無視した。落ち着いてケイルの寝台に歩み寄り、書類をめくり、眉を寄せた。
「ふむ……興味深い」
科学者は眼鏡を直しながら呟いた。「被験体749。ケイル。検査結果では、ネクサスの適性はゼロだな」
「検査!? いつ俺たちを検査したんだよ!?」
ケイルは極度に怯えて叫んだ。
「そんなことは気にしないで、かわいい子!」
男はサイコパスめいた笑顔で言った。
彼はケイルを軽蔑と好奇心が入り混じった目で見下ろした。
「君は生物学的に無価値だ」
次に科学者は少女の寝台に向き直った。笑顔がさらに広がり、捕食者のものになった。
「しかしこちらは……ああ、違うね」
彼は鎖が許す限り縮こまる少女の顔に手を這わせた。
「君とは違って、この子はかなりの潜在能力がある。数値が脈打っている。珍しい双子能力か? それともネクサス注入との高い適合性か?」
科学者は注射針を掲げ、薄暗がりで刃が光った。
「まずはこの子から始めようか? このかわいい子の中身を見てみよう」
ケイルの心臓が一瞬止まった。アナが死ぬ光景が脳裏をよぎった。
「こら、この狂人!」
ケイルは鎖を全力で引き、両手首が裂けて血が流れ始めた。「あの子に何をする気だ!? 離れろ! 俺を見ろ! 俺にしろ!」
科学者は少女の腕の数センチ手前で止まり、肩越しにケイルを退屈そうに見た。
「君に? ふふ」
低い笑い声が漏れた。「君は何も提供できないよ、少年。君はただの観客だ。さあ……黙りなさい」
再び少女に向き直り、刃をゆっくりと下ろした。
「このクズ野郎! やめろ!」
ケイルの声は叫びで壊れた。「やめてくれ、お願いだ!」
ケイルは泣き出した。
科学者は止まった。刃が宙に浮いた。ゆっくりと首を回し、フクロウのようにケイルを苛立たしげに見た。
「黙れと言ったはずだが。邪魔だぞ……」
「俺にしろ!」
ケイルは鎖を引いて金属が肉に食い込み、血が腕を伝うまで続けた。「あの子 대신に俺が受ける! 頼む! あの子を放っておいて俺を使え! もう失うものは何もない!」
「なぜそこまでこのガキを守りたいんだ!? あいつはただのクズの残りカスだぞ!!」
「わからない……でも俺もクズの残りカスだ! だから俺にしろ!」
暗い部屋に沈黙が落ちた。科学者は驚いて瞬きした。そしてゆっくりと、ぞっとする笑みが顔に広がった。針を下げ、ケイルの寝台に歩み寄り、皮肉たっぷりにゆっくりと拍手した。
「ああ……面白い」
彼は首を傾げた。「英雄がいたようだ。大抵の者は自分の命を乞うが、君は……痛みを乞うのか」
ケイルの顔に近づいた。
「どれだけ耐えられるか、見せてもらおうか、少年」
科学者は部屋の奥の金属作業台へ行き、ガラスが触れ合う音を響かせた。戻ってきた時、手には太い注射器があり、中には不自然な液体が入っていた。黒い物質に紫のフィラメントが自ら動く、光の粒子のように。
「これは不安定な粗悪ネクサスの濃縮物に、断片の王国のエッセンスを混ぜたものだ」
彼は天気の話でもするように説明した。「通常なら数秒で内臓を溶かす。君の『英雄気取り』がどこまで体を保つか見てみよう」
警告もなく、針をケイルの首に突き刺し、プランジャーを押し込んだ。
それは痛みではなかった。溶けた溶岩を注入されたようだった。ケイルの体は鎖に逆らって激しく痙攣した。骨が内側から砕かれるような音がした。血管が拡張し、鼻、耳、目尻から血が流れ出した。
人間の理解を超えた苦痛だった。
「ケイル!」
少女が泣き叫び、少年がもがくのを見ていた。
しかしケイルは死ななかった。爆発もしなかった。
体が液体を吸収していた。首の血管が黒くなり、紫になり、そして元に戻った。叫びを止め、荒い息を繰り返し、血と汗が石の寝台を濡らした。
科学者は一歩後退し、初めて目を見開いた。書類を見て、ケイルを見て、空の注射器を見た。
「驚くべきだ……」
狂人は囁いた。「少年……君は初めてだ。何年ぶりかの、ネクサスエネルギーを拒絶しなかった被験体……反応したぞ」
彼はケイルの顔を強く掴み、血走った目を覗き込んだ。
「君は何者だ、少年? 一体何なんだ?」
ケイルは血を床に吐き、ぼやけた視界で男の顔を睨んだ。
「俺が聞きたい……」
ケイルは弱々しく、しかし憎悪に満ちた声で唸った。「お前は何者だ……この病人? サイコパス?」
科学者はケイルを離し、白衣で手を拭い、低く笑った。
「俺か? 俺が?」
彼は部屋を歩き、影に向かってジェスチャーした。「少年、寝物語を聞かせてあげようか? 俺のお気に入りの実験用ネズミのための、子守唄だ」
みんな、Xで僕のアカウントをチェックしてみて!ほぼ毎日キャラクターアートを投稿してるよ!@shawdon77




