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未来探偵ゼノンと七つの事件  作者: 八海宵一
「04 分子分解銃(通称、ピコピコ銃)の謎
37/47

#10

      *


 ゼノンはシロノスの言葉に首をかしげ、しばらく唇に指をあてて考えたあと、口を開いた。

「デュークの頭が吹き飛んだ理由はよくわかったよ。でも、どうして、君は彼がいないほうが世の中のためになると思ったんだい?」

「アイツがいると、ピコピコ銃のせいで世界戦争が勃発するからよ」

「世界戦争? その根拠は?」

「アイツの手よ」

「手?」

 私たちは一斉に、デュークの手を見た。

 特に特徴のない手。しいていえば細くて華奢な手だった。

「この手がどうしたっていうんだい?」

「納豆くさいでしょ」

「は? 納豆?」

 そこにいる全員が首をかしげた。

「アイツ、ネバネバ納豆サンドを触った手でアタシに触ったのよ!」

「そのことと、世界戦争がどうつながるんだ?」

 たまりかねたボッシュが尋ねた。

「アンタ、バカ? こんな無神経なヤツがこのまま銃開発したら、世界戦争になるに決まってるじゃない! 納豆触った手でふつう触る? アタシは明日、博覧会に展示される銃なのよ?」

 極論だ。

 あまりの極論にめまいがした。

「アタシをキタナイ手で触れるヤツは、平気でキタナイ金儲けをする。銃会社がキタナイ金儲けをし始めたら、銃が普及して治安が悪くなる。治安が悪くなると国民は、国に不満を持ち、国はそのはけ口として、戦争を始めるのよ」

 大昔のことわざに似たようなのがあったような気がする……。風が吹けば、桶屋がなんとか。

 そもそも、納豆をキタナイと表現するのはいかがなものだろう。

 冷静にそんなことを考えていると、ゼノンが真剣な面持ちで、再び首をかしげた。

「君はデュークの行動を利用して、光線を発射したんだよね」

「ええ、そうよ」

「だったら、なぜ明日の展示会場でそれをしなかったんだ? そのほうが、世間に与える影響は大きかったじゃないか。彼が会場で自殺防止装置を発表するのは、まず間違いなかったし、そこでも同じ行動をとっただろうから、殺害は可能だったはずだ。イベントは世界中にむけて生放送もされただろうから、銃社会について考えさせ、普及を抑止させるなら、そっちのほうが効果的だっただろう?」

「……」

 シロノスが沈黙した。

「こっちでなければならない理由が、なにかあるんだね?」

「……」

 沈黙。

 不気味なほど静かな反応に、ゼノンは納得したようすでうなずいた。

「なるほど、ぼくがその理由か」

「……ええ、その通りよ」

 高性能電脳回路がやっと答えた。

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