#04
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「まず、話しておかなければいけないのは、その倒れている人間が誰かということでしょうね。彼はデューク・パイソンです」
「デューク・パイソン?」
聞いたことのある名前だったので首をかしげていると、すぐにゼノンが答えた。
「大手銃メーカー、パイソン社の社長ですよ。彼はぼくの親友で――」
「ちょっと、待て」
ボッシュがゼノンの言葉をさえぎった。
「お前に親友なんているのか?!」
「失礼だぞ、多細胞ゴリラ。ぼくにだって親友の一人や二人、いるにきまってるだろ! ねえ、シュナイダーさん」
ねえ、といわれても……。
私はノーコメントで咳払いをした。
「話を続けてください」
「……ええと、どこまで話しましたっけ……ああ、そうだ。デュークについての説明が途中でしたね。さっきも話しましたが、彼は大手銃メーカーの社長で、明日から始まる大博覧会のイベントのため、ここに宿泊していました。ぼくは彼からイベントの助言を頼まれていたので、昼前にここを訪れ、彼とイベントの内容について、あれこれ話をしていました。どうも彼はイベントで新型ピコピコ銃の売りこみをしようと考えていたようで、ぼくに、いろいろと銃の機能を披露しては、効果的なアピール方法についてなにかアイデアを出してほしいと言っていました。ほら、彼の右手にあるのが、その銃です」
確かに首から先のない死体には、見たことのない新型銃が握られていた。大まかな形状は、これまでの分子分解銃――つまり、ピコピコ銃に似ているが、さらに丸みを帯びていた。カラフルにカラーリングされ、それがかえって毒々しく見えた。
私は死体を観察し、もう一度、ピコピコ銃を見た。
通常、分子分解銃(ピコピコ銃)は、トリガー(引き金)に指紋認証システムがついていて、誰がいつ、どこで、なにに向けてトリガーを引いたがわかるようになっている。トリガーログ(引き金記録)は警察の管理サーバに発射と同時に転送され、記録は厳重に保管されるので、こうした事件が発生しても、通常は、すぐに犯人の特定ができるようになっている。新型の試作品であっても、それは同じだ。分子分解光線が発射できるようになっている以上、トリガーログの登録は必須になっている。
私はトリガーログにアクセスするため、閲覧許可と検索システム利用の申請をカードフォンからした。




