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黒桜:星を愛した幽霊の物語  作者: Riv Sansty


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知られざる恩恵

人を守る方法は、一つではない。

言葉で支える人もいる。

抱擁で支える人もいる。

助言を与える人もいれば、

ただ隣に居続ける人もいる。

しかし、

中には別の道を選ぶ者もいる。

影の中へ足を踏み入れる道を。

闇を愛しているからではない。

大切な人たちに闇が届かないようにするためだ。

それは危険な道。

簡単な答えなど存在しない道。

そこで必要になるのは、

優しさだけではない。

時には牙も必要になる。

そして時には、

狐のような笑みを浮かべながら、

誰にも見せられない決断を下すこともある。

東京・銀座。マヒナのアパート。午後9時。


マヒナの家ではパーティーが最高潮に達していた。謎めいた少女の家は、天井にイルミネーションが飾られ、リビングにはマットレスが散乱し、テーブルにはお菓子が山積みになった、まさに聖域と化していた。皆は映画を観ていたが、あまり集中している様子はなかった。黒いシルクのパジャマを着て、ぶどうジュースのグラスを手に肘掛け椅子に座っていたマヒナ(カイトは相変わらず彼女をじっと見つめていた)は、肘掛け椅子の肘掛けに置かれた携帯電話が振動するのを感じた。それは涼太郎からの着信だった。


「あら、びっくり」と彼女は小声で呟いた。そして、はっきりとこう言った。

「みんな、ちょっとすぐ戻るわ。電話に出るから。」


彼女は自分の部屋へ行き、電話に出た。そして、ベルベットのような声で言った。

「もしもし、サトジーニョ!電話してくれてびっくり!」


「星奈!電話に出てくれて本当に嬉しいよ」電話の向こうから亮太郎の声が聞こえた。「君の助けが必要なんだ」


「ちょっと手伝って?光栄だわ!教えて、教えて。何が必要なの?」


亮太郎は真比奈に全てを説明した。真比奈は一言も遮らずに聞き入った。彼女の顔からいたずらっぽい笑顔は消えなかったが、その瞳には危険な、氷のように冷たい光が宿っていた。話し終えると、真比奈はわざとらしく「ふむ」と呟いてから言った。

「ええ、状況は理解しました。でも、何に助けが必要なのか、まだよく分かりません」


「あのイカれた女を何とかしたいだけなんだ」亮太郎はため息をついた。「それに、俺や愛子、君たちを脅迫しないでほしい」


「分かりました…ちょっと待って」


真比奈はパソコンに向かい、Torブラウザで自分のウェブサイトにアクセスした。そこでエルケの名前を入力すると、彼女のデータが表示された。容姿、年齢、大学の専攻、そして犯罪歴まで。彼女は「ビンゴ」と呟き、電話を折り返して言った。

―つまり、エルケを自分の人生から消し去りたいってことね?


―その通りだ―と涼太郎は答えた。―何を企んでいるんだ、マヒナ?


―落ち着いて、サトジーニョ。明日か、もしかしたら二日後には、彼女は二度とあなたの人生に現れないわ。


―ただ…何か無茶なことはしないでくれ、マヒナ。


―しないわ。約束する。


こうして電話は切れた。その後、マヒナはパソコンの横にあるロッカーに行き、長い間使っていなかったラジオのスイッチを入れた。特定の周波数に合わせ、通信機に向かって話しかけた。


―もしもし、もしもし、ブラックドラゴン!キツネよ!聞こえる?


応答まで少し時間がかかったが、すぐに低い声が返ってきた。


―聞こえる、キツネ。何か用か?



「ねえ、ダーリン」マヒナは説明した。「あの小娘が私の友達を脅していて、他の友達にも危害が及ぶ恐れがあるの。だから、あの子を何とかしてほしいの」


彼女は、その子の住んでいる場所、よく行く場所、そしてバイクのナンバープレートまで伝えた。電話の向こうの男は黙って聞き、彼女が説明を終えるとこう言った。「任せてくれ、キツネ。すぐに片付けるよ」


「本当にありがとう」マヒナはくすくす笑いながら言った。「でも、暴力は使わないでね?難しいのはわかるけど、頑張って」


「約束はできないぞ、キツネ」電話の向こうの金属的な声が言った。


マヒナは視線をそらし、ラジオのスイッチを切った。通信機をテーブルに落とし、深呼吸をして、寝室のドアの方、友達の方を見た。


「正しい選択をしたといいんだけど」と彼女はほとんど聞こえないほどの声でささやいた。

真昼星奈という人物は、

とても不思議な存在だ。

友人のためにパジャマパーティーを開く。

誰かの笑顔のためなら大金を使う。

亡き母を思い出しながら涙を流すこともある。

だが同時に、

多くの人が決してかけない電話を平然とかけることもできる。

だからこそ、

彼女は単純な善人でも悪人でもない。

光だけの存在ではなく、

闇だけの存在でもない。

その境界線の上に立っている。

この章で、

涼太郎は助けを求めた。

そして真昼は応えた。

問題は、

彼女が行動するかどうかではない。

彼女が行動することは最初から分かっている。

本当に重要なのは、

大切な人を守るために、

人はどこまで踏み込めるのかということだ。

そして、

その一線を越えた時。

それはまだ優しさと呼べるのだろうか。

それとも、

もっと複雑な何かなのだろうか。

その答えは、

これから先の物語の中にある。

また次の章でお会いしましょう。

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