表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
EDEN  狂気と裏切りの楽園  作者: スルメ串 クロベ〜
88/126

2-23.苛立ち

21、22話の雪原舞の過去話を、前後編にまとめました。

それと7000PVありがとうございます!これからも、がんばります!

鈴蘭君がここでのことを話し終わると、真那ちゃんが飲み物を持って戻ってきた。

…自分の分しか飲み物を持ってきてない。

次は鈴蘭君が質問をする番なのだけど、聞きたいことは一つだけだった。


あたしがいたフロアに何人か移動させることはできるかどうかだった。

このフロアの食料や武器、それに日用品などは、ここか蔓木さんのところにあるのが全て。

あとは朝に来るものだけ。けれど、それだとすぐに足りなくなる。

だから少しでもないか、ということだった。


けれど、それはできない。

そもそも向こうのフロアに移動するには、あたしのGフォンを使うしかない。

けれど、他人のGフォンで扉を開くことはできないと思う。

前に、セーフルームを他の人のGフォンで開こうとしたが開かなかった。

メールや、電話は利用できるけど、機械に通すことができない。

このことから、鈴蘭君にGフォンを貸しても、開けることはできないだろう。

仮に開けられたとしても、1人しか行けないから、持ってこれる量は少量になる。

それに、ありそうな場所には怪物がいるので、1人で食べ物を抱えて怪物と戦うのは現実的とは思えない。


それらを説明すると、思ったよりもあっさりと引いた。

一つだけ質問してきた割に、簡単に諦めたことが気になったがすぐにわかった。

なぜなら、


「結さん。僕らは、上階へ上がろうと思っています。」

「!」


ここから出ていく気だったからだ。

それならどうして、食料を集める必要があったのか疑問に思った。

それは、ここに残る人のためだった。


…真那ちゃんが基地と呼んでいるこの場所には、2人を合わせて9人いる。

けれど、行動しているのは3人だけ。鈴蘭君と真那ちゃん、それと大葉という人。

それ以外の人は、みんな引きこもってしまっているそうだ。

食料はここに残る人のために集める気だったらしい。この人達も、結構お人よしだ。


「それでですね、上階に上がるためには条件を満たさないといけません。…結さん、取引をしませんか?」

「…あたしに条件を満たす手伝いをしてほしいってことだよね。」

「そうです。…僕と真那、それに大葉君だけじゃできません。ですので、どうかお願いします…」


そう言って立ち上がり、あたしに頭を下げてくる。

隣で呑気に飲み物を飲んでいた真那ちゃんも、ストローを咥えたまま頼み込んできた。


「わかった、手伝うよ。けど、あたし達も上階に上がりたい。だから、あたし達のことも手伝って欲しい。お願いします。」

「もちろんです。では、取引成立ですね。」

「やっほーい!ここから出られる!あっばっちん呼んでこないと!」

「大丈夫です、後で僕から話しておきますから。…っとだいぶ時間が経ってますね、今日はこれくらいにして休みましょうか。」

「うん。あたしは、どこにいけばいい?」

「ゆきぽんと同じところでいいじゃん?それなら様子も見られて一石なんとかじゃん!」


そう言われて、冷や汗が流れる。…それはできない。

あたしなんかと同じ部屋なんて、雪原さんに申し訳ない。

一緒にいるだけで彼女にはストレスになる。だから部屋は分けてもらわないと。


「…えっ…と、あたしは別のところがいいかな。まだ、起きてこないし…ほ、ほら!起こしたら悪いから…」

「それなら、後ほど空いている場所を教えますので、お好みの場所を使ってください。」

「ありがと。それまでは適当にぶらついてるね。」


そう言ってその場を離れる。

ここにいると、いつ雪原さんが現れるかわからない。

…今後は、できるだけ視界に入らないように気をつけよう。








連絡があるまで見て回るつもりだったけど、あたしは2階のソファーに座って過ごした。

というよりも、座ったら立てなくなった。1人で考える時間ができたのが失敗だった。

考えれば考えるほど、頭の中がぐちゃぐちゃになっていく。

これからどうするべきなのかは分かっている。…けど、どうしたいのかが分からない。


あたしが雪原さんの妹を殺した。

そう言われた時は、心臓を握りつぶされたかと思うほどショックだった。

今だって、そのことを考えると自分の頭を銃で撃ちたくなるほどだ。

やってはいけないことをした。だから、その罪滅ぼしをしないといけない…そんな焦燥感にかられる。

だから、雪原さんをここから出すため今後は行動する。たとえあたしがどうなろうとかまわない。


…けれど、別の思いも胸の中に渦巻いている。


「…なんであたしがこんな目に遭うの…知らない…あたしじゃない…」


自分ではない自分。覚えてない過去の自分。

その人がやったことなのに、何で何も知らない自分が肩代わりをしないといけないのだろう。

まるで赤の他人がやったことを、押し付けられている気分だ。

…そんなことを少しでも思ってしまう自分に嫌気がさす。


わからない。…そもそも、何であたしは妹さんを殺したの?

どうして?どん考えがあってそうしたのか、今のあたしには理解できない。

考えても、答えには辿り着けない。だってあたしは何も知らないのだから。

そうやって自問自答を繰り返し続け、無意に時間が流れていく。


「ここにいたんですね、探しましたよ。」

「…鈴蘭君。」

「休む場所ですが、2階を自由に使ってください。ソファーなどがあるので、眠る場所には困らないかと。」

「ああうん、わかった。ありがとね。」

「それと上階上がる件ですが、明日詳しく話しますのでよろしくお願いします。」

「…わかった。」

「……雪原さんと、何かあったんですか?」


体が跳ね上がる。

…まさか、全部知られた?あたしが人殺しだったことも全部…

じゃあ今ここにきたのは、事実確認のため?

そうやって思案を巡らせるが、


「結さん?」


彼の表情を見て、違うとわかった。

…どうやら、責めに来たわけじゃないようだ。

答えようと声を出すが、か細く震えた声しか出ない。


「ど…どうして…そう思った…の?」

「その、首元の怪我が気になったので…雪原さんに会いに行く前はなかったでしょう?」

「っ!いや、これは……えっと…」


上着のジッパーを上げていたから、見られてないと油断していた。

誤魔化そうとするが、何も浮かばない。

鈴蘭君は、黙ってあたしを見ている。


「言いづらいことでしたら無理には聞きませんが…関係を修復しておいてもらわないと、いざって時に動けなくなりますよ?」

「そんな事分かってるよ!!」


突然叫んだあたしに鈴蘭君が驚いている。

自分でも思わず出てしまったことに驚き、後悔している。

けど、言わずにはいられないほど溜まっていた。


「…すみません、余計なお世話でした。」

「謝らないで。悪いのはあたし、ごめん…」

「いえ、誰にでも機嫌の悪い時はありますよ。では僕は戻ります。何かあれば連絡してください。」


少し気まずそうに戻っていった。

上手くいかないからって、八つ当たりするなんて…本当に恥ずかしい。後で、謝ろう。

けれど、今は本当に余裕がない。色々なことがぐるぐる回って、何を考えてもまとまらない。

一体どうすれば…その時、ポケットのGフォンが震えた。


どうやら電話のようだ。

誰からだろう。ポケットから出し、画面の表示を見る。


「ッ!」


そこには『雪原 舞』の表示が。

今はやめて欲しかった。けれど、出ないわけにもいかない。

…震える指で、表示をタッチして電話に出る。


「…もし…もし…」

『あら?元気がないですね。何かありましたか?』

「……誰だ。」


喋り方から声まで別人。思わず、威圧的な声が出た。


『ああ、すみません!私です。蔓木です!』


瞬間さまざまな考えが、頭をよぎる。

雪原さんのGフォンをどうして蔓木さんが使っているんだ?

いつから…どこかで落とした?それとも奪われたのか?

……いや、もしかしたら…


『これあなた達が置いて行った鞄に入っていたので、必要かと思い連絡しました。』

「人のものを勝手に開けるのは、マナーが悪いんじゃない?」

『すみません。誰のものかわからなかったので、それでこれをお返ししたいと思いまして…今日の消灯後にお会いできませんか?』

「……」


電話口の声色はこちらを心配しているように感じる。

でも、絶対に何かある。ただ渡して済むはずがない。

この人は信用できない。行ったら、殺されるか…いや、それよりも悲惨な目に遭うかもしれない。

けど、断ることはできない。上階に上がる際には、Gフォンが必要になると思う。今の内に取り戻しておかないとまずい。


「わかりました。時間になったら連絡してください。」

『ええ。…ところで、何か落ち込んでいたようだけど…何かあったのかしら?』

「ありません。何も…」

『そう?私はてっきり…友人が心配なのかと思ったのだけど。』

「っ!」

『心配しなくても、真壁君は無事よ。あなたに会う時は彼も連れていくから、それじゃあまた。』


電話が切れる。

…そうだった、蔓木のところにはりゅ…真壁さんいるんだった。

最初、雪原さんのことを言われたのかと思って驚いたが、違っていたようだ。

誰かが蔓木に報告したのかと…この状況だ、裏切る人がいてもおかしくない。

とにかく消灯後に会いに行かないと。

準備のため移動移動しようとしたが、ふと足が止まる。


…あれちょっと待って。鈴蘭君が蔓木について言っていたこと…

蔓木は、男性を洗脳する能力を持っているかもしれない。

もしそうだとしたら、今真壁さんが向こうにいるのはまずい。

今すぐ連れ出さないと大変なことになる。…最悪殺さないといけなくなる。

けれど、すぐには無理だ。今向かったところで何もできずに捕まるだけ。

…この後会った時に、何とかして蔓木の元から連れてくるしかない。

それまで、正気でいて…


会いにいく前に、準備が必要だ。

流石に手ぶらで会いにいくのは危険だから、ある程度武器を持っていかないと。

…できれば誰か連れていくべきだけど、今頼れる人はいない。

鈴蘭君や真那ちゃんをあたしの都合で連れ出すわけにはいかない。

あたしが何とかするんだ。…全部あたし1人で、何とかしないと…


軽い頭痛を覚えながら、準備のために鈴蘭君の元へと向かった。






「聞いちゃったぞ〜?」

モチベーションになりますので、感想コメント、いいね、評価お待ちしております。

下の星もお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ