表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
EDEN  狂気と裏切りの楽園  作者: スルメ串 クロベ〜
84/126

2-19.情報の精査

「さて、神代さんは僕にどんなことを聞きたいんですか?」

「ん〜色々あるんだけど…まずこのフロアであったことを教えて欲しいの。初日から。」

「それは構いませんが、神代さんはいつここに来られたんですか?」

「え?えっと…8日前かな…?」

「僕もその頃からここにいますが、あなたを見かけたことがないのですが…」

「真那もー!しろっちどこにいたの?」

「どこって、別のフロアだよ。昨日ここに来たから、こっちのこと全然知らなくて。」

「本当ですか?!」


未道君がいきなり立ち上がり、詰め寄ってくる。隣で寝ていた筒裏さんが驚いて床に落ちているし。

机の金具にぶつけて痛かったのか、頭を押さえながらどこかに行っちゃった…自由だな…

ってこっちに来たことって、そんなに驚く事なのかな?


「今までこのフロアに移動してきた人はいません。上のフロアへ行く手段はありますが、そっち側へは行くことができなかったんです。」

「でも南側から行けるんじゃないの?」

「ロックがかかっていて開けません。解除する手段も無くて、実質ないものとして扱われていました。」

「そうなんだ。…そっか、それでここの人が1人もこっちに来なかったのね…」

「ええ。そっち側に移動する手段がなければ行くことができませんから。」

「あたしは行けるけど、戻っても特にやることも…」

「行けるんですか?」

「うん。けど行けるのはあたしと、舞、りゅ…真壁さんの3人だけだから…。ってそういえば舞は?」

「真那が連れてきていた方ですよね?それでしたら」

「だいじょーぶだよ〜、真那が適当なとこに寝かせといたから。」


…せめて、ちゃんとした所で寝かせてあげてほしい。

でも無事ならよかった。気を失う前に様子が変だったし。


「ご心配でしたら、先に様子を見に行かれますか?」

「寝かせてるってことは、眠ってるんだよね?無理に起こすのは可哀想だから、大丈夫だよ。」

「分かりました。それと別フロアの件は、後程聞かせていただけますか?先に、このフロアのことをお話ししようと思いますので。」

「うん、いいよ。じゃあまずはあたしから聞かせてもらうね。」

「はい。ではお願いします。」


あたしがここに来てから知ったことや、聞いたことを鈴蘭君に質問していく。

ここで起こったことに関しては、蔓木さんの所で聞いた事と同じだった。


最初の日、気がついたらこの施設にいた事。

そして全員記憶がなく、怪物が現れて人が死んでいった事。

それを誰かが、1人で倒した事。

この辺りは聞いたことと一緒だ。


けど、鈴蘭君はそれ以上を知っていた。


「大雑把に言えば、神代さんのいうことで間違いありません。けど、それだと不完全な情報です。」

「そうなの?」

「はい。まず初日に怪物は2回出ました。その場にいた人が目覚めてすぐ。それと、夜の2回です。」

「2回?でも、初日の怪物は1人が倒したって…」

「それは間違ってません。両方とも、フードの女性…雨宮さんが倒しましたから。」

「そこは聞いてた通りだね。」

「…問題なのは、2回目です。怪物に1人が飲み込まれ、怪物に変化しました。…雨宮さんは…その場にいた人を囮に使って怪物を殺したんです。」

「…え?」


それは初耳だ。

怪物を殺したとは聞いていたけど、方法までは聞いてなかった。

…でも、何の意味もなくそんなことをするような人とは思えない。


「そうしないと、倒せなかった…そういう事じゃなくて?」

「…いえ、明らかに故意に人を囮に使いました。怪物に向かって投げつけていましたから。」


それは、どう考えても擁護できない。


「推測ですが、理由はあると思います。まず最初に飲まれた人は、自分から怪物に向かっていき飲み込まれてしまいました。ですがそれは、雨宮さんが囮に使った人が強要したものだったんです。何せ、怪物に飲まれるのを笑って見ているような奴でしたから。…もしかしたら、雨宮さんはそれが許せなかったのかも知れません。」

「…理由はどうあれ、あんまり褒められたことじゃないよね…」

「そうですね。…けど、ある意味それがいい結果を生みました。」

「?どういうこと?」

「ほとんどの人が、雨宮さん1人に怪物を押し付けようとしていました。言い方は悪いですが、寄生しようとしていたんです。」

「…気持ちはわかるかも。何も分からないのに怪物まで出て、けどそれを倒せるような人が現れたら、頼りたくなるかも。」

「ええ。ですが囮を使ったやり方を見た人達は、雨宮さんに頼るのをやめて各々で何とかしようとしました。多分次は、自分がそうなるかも知れないと思ったのでしょう。」

「それで広間にシェルターを作って、集団生活をしてたんだ。」

「はい。1人だと、怪物に太刀打ちできませんから。」

「じゃあなんで鈴蘭君たちは、蔓木さんのところから出て行ったの?」

「…それは」

「あいつ、クソ野郎だからだよ!本当に嫌い!!」


あたしの膝の上で寝てた筒裏さんが飛び起きた。


「まあ、あんまり信用できない感じはするけど…」

「それだけじゃないの!あいつ、真那みたいな女の子を利用しようとしてたんだから!」

「…それはどういう意味?」

「ちょっと真那!」

「あそこの男連中の…処理?っていうのをさせられそうになったの!」

「!それって…」

「男子は大変だから、お前は役に立たないんだから…体でって。…そいつらに真那乱暴されて…それで…それでっ!」

「真那。無理しなくていい。説明は僕がするから、雪原さんの様子を見てきてあげて。」

「……うん…ごめんね、スー君…」


涙を堪えながら席を立つと、通路へと走っていった。

…筒裏さんの言っていたことが本当だとしたら…


「…すみません。真那がどんな目に合ったかは、話したくありません。」

「気にしないで。昨日向こうのシェルターに行ったけど、そこにいた女の子達は…」

「…生き残るためにそうしてるのかもしれません。けど、中には逃げられなかった人もいるのかもしれません。」

「随分胸糞悪い話だね。向こうにいる奴は全員、そんなのばっかりってこと?」

「分かりません。蔓木が指示しているのか、誰かが勝手にやっているのか…それを調べる前にあそこを出たので。」

「…そうだったんだ。じゃあ、蔓木の連絡を拒否してるのはそれが理由?」

「?いえ、僕は拒否してませんよ。情報や、取り決めの連絡を取るので。」

「そうなると蔓木は嘘をついていた事になるよね。何でそんな嘘を…」

「僕を信用させないためじゃないですか?自分は連絡したいけど、相手が応じてくれないなんて言い方をしていますし。」

「あたし達を仲間にする気だったし、他が信用できないと思わせようとしたって事?」

「ええ。それにあなたや、雪原さんは有名ですから、何としても味方にしておきたかったんだと思います。でも、言い過ぎると疑われるので、匂わせる程度にしたのでしょう。」

「はぁ…聞けば聞くほど、怪しくなってくるんだけど。って、あたしと舞はそんなに有名なの?」

「ええ。聞いた話になりますが、雪原さんはアイドルですし、あなたは医学の分野で有名と聞いています。」

「らしいね。あたしはまだその事思い出せてないから、実感がないんだよね。」


それが本当かどうかは舞に聞くとしよう。

そういえば、舞はまだ起きないのかな?

そう考えている時、筒裏さんが飲み物を持って戻ってきた。泣き止んでいたけど、目元が赤くなっている。

けれど立ち直れたのか、少し怒った顔で頬を膨らませながらジュースを飲んでいる。

…自分の分しか持ってきてないのはいいけど、あたしの膝を枕にして飲むのはやめてほしい。


「僕も記憶がないので同じです。お互い、早く思い出せるといいですね。」

「そうだね。で、筒裏さん。舞の様子は?」

「えー?特に変わりなかったけど?あーでも、うんうん唸ってたから…もしかしたら起きるかもよー?」

「そうなの?じゃあ一回様子を見に行こうかな。ちょっと休憩してもいい?」

「構いませんよ。雪原さんは2番シアターにいます。真那さん、案内してあげて。」

「えぇー!今戻ってきたばっかじゃん!そうだ、ばっちんに連絡して」

「真那?」

「あっ冗談です…すぐ行かせてもらいますぅ…。」

「案内はいいよ、大丈夫。あそこに案内板があるし。筒裏さんは休んでていいよ?」

「本当!?はぁーしろっちマジで神じゃん!それと真那のことは、真那って呼んで?スー君も名前で呼んであげたら?」

「流石に年上の女の人を呼び捨ては……えっと…じゃあ結さん…と呼ばせてもらいます。」

「あれ、スー君照れてる?照れてるの??顔真っ赤じゃん!めずら「真那」あっごめんなさい!調子乗りました!」

「ふふ。じゃあ真那ちゃん、鈴蘭君。ちょっと行ってくるね。」


戯れあっている2人を残して、舞の元へと向かった。



















「ねえ、あれでよかったの?」


真那がジュースを飲みながら訪ねてくる。

…この太々しさには本当に感心する。

時々イラっとするが、彼女のおかげで何度も救われた。真那はムードメーカのような存在だ。

こんな状況でも、明るくいられる彼女は本当に尊敬するし、強い人だ。…アホなだけかもしれないが。

他の人もそれが理由で、真那にあまり強く当たらないのだろう。


「ええ。すみません、つき合わせてしまって。」

「真那はいいけど…でも、本当にしろっちって悪い人なの?」

「…ええ、僕の記憶に間違いがなければ…」


神代結…探偵である姉さんが調べていた人。

たまたま資料を見る機会があったから、ある程度知っていた。

経歴や実績を見る限りは天才。今まで治療できなかったALSを治療したのは、本当に偉業だ。

…ただ、黒い噂があまりにも多い。


少なくとも、同級生が4人消えている。資料によると、神代結に嫌がらせをした2週間後に失踪している。

近隣でも行方不明者が数人いたが、ほとんど彼女の通っている学校…もしくは病院近くに住んでいた。

姉さんは確証を持てていなかったが、関与はしている可能性があると言っていた。

そんなことを知っていたからか、真那から連絡を受けた時は思わず断ろうかと思ったほどだ。

ただ実際会って話してみると、普通の人という印象。いや、普通というよりも…この人は…


「そうは見えないけどなー。」

「記憶がないからかもしれません。雪原さんが一緒にいるのもそれが理由でしょう。」

「そうなの?」

「そうでないと、あの2人が一緒にいるのはありえない事ですよ。」


そう、絶対にありえない。

神代結と雪原舞が行動を共にするのは絶対にありえない。

なぜなら…







「ぐぅ…!ま、舞…苦…し…」


…何でこうなったのだろう。

舞があたしの上にまたがり……首を絞めている。

舞の細い手が、あたしの首を締め付ける。

いや、握り潰すの方が正しいかもしれない。指がめり込んで、肉をつぶし、骨が軋んでいる。

普段の彼女からは考えられないような力が込められており、振り解くことができない。


真っ赤な目をした彼女が、あたしを見下ろし、怒りと憎しみのこもった声で言った。


「…お前だけは絶対に許さない…」

「なん…で……」

「神代結…妹を殺したお前だけは…絶対に許さない……」

モチベーションになりますので、感想コメント、いいね、評価お待ちしております。

下の星もお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ