2-18.合流
雨宮さんと別れ物資を抱え歩き出す。
早く舞と合流して、筒裏さんに物資を渡すためにも早く基地を見つけないといけない。
雨宮さんと別れてから、基地があると予想していた広間まで来た。
おそらくここだろうと思っていたけど、違っていたのかもしれない。
なぜなら分厚い防火シャッターが道を塞いでいたからだ。
しかも、操作するパネルが壊れていて開けることができない。
…困った。絶対ここだと思っていたのに。
他の場所にいるにしても、1店ずつ入って探すのは時間がかかる。
連絡先も聞いてないから、連絡もできない。まいった…
「遅ーい!やっと来たのね…まったく!」
上から声が聞こえた。
見てみると、3階に筒裏さんがいた。どうやって3階に行ったんだろう?
筒裏さんが誰かに連絡すると、閉まっていたシャッターが開いた。
開いた先にGフォン片手にパネルを操作をしている少年がいる。どうやら内側からなら開けることができるようだ。
それなら外の操作パネルが壊れているのも理解できる。おそらく仲間以外の人が入れないようにあえて壊したのだろう。
そう考えていると少年が話しかけてくる。
少し幼さが残る顔立ちをしているが、落ち着いた雰囲気を感じる。
年下に見えるが、雰囲気だけなら年上にも感じられる。
少年もこちらに気付き近づいてくる。
「こんにちは。色々とお話がありますが、ひとまず中へどうぞ。」
「いいの?それじゃあお邪魔するね。」
「ええ。…話の前に、着替えとシャワーを済ませたほうがよさそうですね。案内しますからついてきてください。」
少年に促され広間へと入る。そのすぐ後、シャッターが下ろされた。
少年の後に続いて移動する間、広間内を見ておく。
1階は服屋の奥に、フードコートがある。
数人がそこで食事をとっていた。どんなものを食べているのか見てみると、サラダなどの普通のものだ。
ただ、量がものすごく少ない。それに鮮度が低いのか、萎びている物が多い。
食べている人も物足りないのか、表情が暗い。
2階は家具売り場と、スポーツジム。
家具売り場は、寝具の類がなくなっている。多分どこかへ運び出しているのだろう。
それとジムにシャワー室が併設されており、お風呂がない代わりにここで汗を流しているそうだ。
運動で使っている人は誰もいない。…まあそんなことをしている余裕がないのかもしれない。
そして3階。
暗い雰囲気で最初は何かと思ったけど、壁際に設置された券売機や広々としたカウンターなどでわかった、映画館のロビーだ。
普通ならもっと楽しそうな気分になる場所のはずだけど、人がいないせいか暗さと相まって鬱屈としてくる。
外に出ていた筒裏さんがあたしたちを見つけると、嬉しそうに走ってきた。
少年はその様子を呆れながら見つつ、パネルを操作してシャッターを下ろしている。
「しろっち、待ちくたびれたんだけど!何してたの!!」
「し、しろっち?」
「え?神代だから、しろっちじゃん。で、何してたの!」
「真那さん、神代さん困ってますよ?それに僕に話をさせてもらえるかな?」
「えー!いいじゃん!しろっち真那のこと助けてくれたから、仲良くしたいんだけどー!」
「まあまあ、後でゆっくりと話す時間があるから。ここは譲って欲しい、お願い。」
「ぶー!ぶー!真那が先に会ったんだから、先に話してもいいじゃん!ねえ、しろっちもそう思うでしょ?」
「え?いや、あた」
「ほら!しろっちも言ってんじゃん!」
「まだ何も言ってないんだけど?!」
それを聞いて目の前の少年はため息をついた。
「…ねえ真那。今日の回収担当は君じゃないよね?どうして外に出ていたのかな?」
「ぴぇ?!…え、えと…ほ、ほら!ばっちん疲れてるかなーって…思って!」
「大葉君、君が勝手に出て行ったと言っていたけど?」
「あぅ…えっと…あの…あ、あれが〜…うう……ごめんなしゃい…」
「はぁ…じゃあ反省するためにも、ここは譲ってもらえるかな?」
「ひゃい…」
半泣きになっている筒裏さんと少年の3人で、長机を挟んで設置されているソファーに座る。
どうやらここで話をするようだ。抱えている箱は、邪魔にならないようにソファーの後ろに置いておく。
…なぜか筒裏さんはあたしの横に座っている。あたしの服の裾で涙を拭くのはやめてほしい。
その様子を見て、少年が頭を抱えている。
「…すみません、真那がご迷惑をおかけして。」
「気にしないで。ちょっと筒裏さん、あたしの服で鼻かむのはやめて。」
「ずびぃー!…ふえ?何か言った?あっ痛い!頭ぐりぐりしないで!ご、ごめん!ごめんなさい!」
「……本当にすみません。」
「後で洗うからいいよ。それよりも…」
「そうですね。あなたには色々と聞きたいことがあります。そちらにもあると思いますので…情報交換をしませんか?」
情報交換。願ってもないことだ。
このフロアのことは蔓木さんのところで聞いたけど、分かってないことがまだたくさんある。
それにその情報が正しいとは限らない。間違った情報をそのままにしておくのは避けたい。
「まずは自己紹介から。僕の名前は未道 鈴蘭ここのまとめ役をしています。」
「あたしは神代 結、よろしく。」
「真那は真那だよー!よろしく、しろっち!」
「あはは…よろしくね。それで、情報交換だけど、むしろこっちからお願いしたいの。」
「そうでしたか、それはよかったです。では先にこちらから話ましょう。」
「いいの?」
「ええ。あなたに信用してもらうためにも、こちらから話すべきかと思いまして。」
「分かった、それじゃあ聞かせてもらうね。」
未道君のことはまだあまり知らないけど、彼のことは信用できそうだ。
真っ直ぐに真剣な眼差しを向けてくる様子から、それがすごく感じられる。
あたしもそれに影響されたのか、自然と背筋が伸びる。
聞きたいことが多い。一つずつ聞いていくしかなさそうだ。
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