43.蜈ィ縺ヲ縺梧?縺
引きちぎられるような痛みと、焼かれているような熱に耐えセーフルームを開けて中に転がり込む。
今まで体感したことのない激痛と、狂った視界でまともに目の前が認識できない…
そのせいで地面をのたうち回ることしかできない。
「ガァアア!!ああ!…ぐぅ……!!あが!」
体が悲鳴をあげている。細胞ひとつひとつが焼かれて、引き裂かれている感覚…
痛い!…痛いいたたいた熱痛い痛い…!!全身が引きちぎられているようだ!
あたしの内側から何かが、あたしを変えようとしている…!
「うぐガア…!ああ…グ…くソ…!あたシは…!」
口から漏れ出る声に違和感を感じる…まるで怪物のようだ…
そう意識した瞬間、恐怖で全身が氷のように冷たくなるのを感じる…
あたし………このまま……怪物に……?
嫌だ……絶対に………!!
「っつ!グ…ゲホ!ガハ!……どう…スれば…!」
……ふト、雪原さンにもラッた鞄が目に入ル…
栄華さんが言ってイタ…絶対に正気ヲ失くスナって…
それと…今みたイニ、大量に出血シている時は……なんデモイいから食えっテ…
アタシは鞄を引き裂キ、中の食べ物ヲ片っ端から口に入レタ…
味なんてワカラナカッタ…いや……血の味シカシなかった…
全テ食ベ終エタ時……意識を失った……
………?!
「うぐ…!ゲホ!ゴホ!」
どのくライ寝ていたか…全身汗だくで、起きタ。
痛みと熱はいまだに続いている…
……一体いつまデ?……あたしが怪物ニナルマデ?
っ!ああ!熱い!痛い!苦しい!
嫌だ!もう嫌だ!家に帰りたい!ここから帰してよぉ!……もう楽になりたい…
その時だった…ふと、誰かがあたし言った気がした…
自分が一番恐怖を抱く存在になれば、もう苦しむことはない…と…
あたしが一番…怖い存在…それは…あの人型の………?!
「がぁああ!!…ぐう!…い、痛い!……?…!う、腕が……!」
粘土をこねるヨウニ腕の形が変わっテイく…
あたしの左腕が……あたしの一番怖いと思った怪物ノものに変異しようトシていた…
「い、いやあああああ!!!!!いや、いやああああ!!!」
正気…正気正気正気しょうきショウキ正気正気…狂ったら…怪物になる…!
シャワー室の扉を蹴破り、中に入る。
あたしは、服を着たまま冷水のシャワーを頭から被った。
「あたしは怪物じゃない…人間…人間人間人間人間人間人間………」
狂ったプレーヤーのように同じ言葉を呟き続け、床に座り込んだ…
冷たい水が体の熱を覚ましてくれる……けど冷静になった頭が、すぐ近くの狂気を理解してしまう…
だから目を塞いだ…何も見えないように…膝を抱え込んで、全てを否定した…
キーンコーンカーココーン…
…チャイムの音がする……。あたしは何をしてたっけ…?
ゆっくりと目を開けて、辺りを確認する。
辺りはカーテンで仕切られていて、白いベッドで寝ていたみたいだ。
…あたしなんでここで寝てるんだっけ?
「ん、目が覚めたのかな?」
「?!だ、誰?!」
声と同時に、カーテンが開かれる。
そこには白衣を着た若い女性がいた。…ここは保健室?
窓の外では生徒が遊んでいるのが見え、廊下からは生徒の話声が聞こえてくる。
「?どうしたの、そんなに慌てて?怖い夢でも見たの?」
「え…夢?」
あたしは…夢を見ていた?
そっか…そうだよね!あんな怪物が出てくるなんて、しかも自分がそうなるなんて夢に決まってる。
あれ?そうなるとなんでここで寝てたんだろう…
「えっと…あたしはどうしてここに?」
「ん?覚えてない?男子生徒がサッカーをしていて、そのボールが頭に当たったんだよ。」
「そう…ですか。…覚えてないですね。」
「まあ、軽い脳震盪みたいだから安静にしてなさい。…と噂をすれば、当人が来たみたいよ。」
先生がそう言うと、扉が開かれる。
そこにはいたのは…
「…おう神代…その元気か?」
「おい、怪我させたのだからまずは謝罪すべきだ。」
「チッ!わーってるよ!…その…なんだ…悪かった!」
「すまなかった…夢中になって周りが見えていなかった。………?神代?惚けた顔をしてどうしたんだ?」
麻倉君と、石塚君だった…
「それじゃあ、先生は少しはずすわね?神代さんは午後の授業は休みなさい。2人は戻るのよ?」
「はい、先生。」
「あー…わーかりましたー。」
「……………」
そう言って先生は保健室を出て行った。
………この2人が生きている…そんなの当たり前じゃん…。さっきまであたしが見ていたのは夢なんだから…
…そうだ…夢………夢のはずだ……何、この違和感は…
「おい神代?お前大丈夫か?」
「え?あっうん…大丈夫?かな〜」
「なぜ疑問系なんだ?やはり一度病院に行った方が…」
「え?!いや大丈夫!ほらなんともないでしょ?」
立ち上がり、体を動かして何もないことを示す。
ギシギシとベットが軋む音が聞こえる。…あたし重くないよね…それとなんで2人とも目を逸らしてるの?
「そ、そうみたいだな。それとベッド上に立つのは感心しないぞ。」
「ああ、ごめん。」
「…スカートでベッドに立つなっつーの…」
「ん?何言った?」
「な、なんでもねーよ?!見てねーし!」
「?なんの話?」
キーンコーンカーンコーン…
チャイムの音だ…それを聞いて石塚君が戻る準備を始める。
「時間だ、麻倉戻ろう。神代、後でまた来る。」
「じゃあな!ああ…あーっと…ちゃんと寝てろよ?」
あたしの心配をしながら2人は出て行く。
夢のせいで2人の背中を見送るのが辛かった。
…待って…いかないで……
「?今何か言ったか?神代。」
「あ…えっと……ちょっと嫌な夢を見ちゃって…それで怖くなっちゃって…あはは…」
「ふーん?なあ神代その夢ってよぉー」
麻倉君が近づいてくる。なんだろう?
もしかして似たような夢を見たとかかな?
そう思っていたあたしの顔に、生暖かい液体がかかった…
「こうゆうのじゃなかったか?」
「あ…え……あ……ああ…」
その液体は、麻倉君の胸の辺りにできた穴から噴き出ていた…
向こうが見える大きさの穴が、彼の胸に開いていた。
そこにあるであろう、内臓や骨が穴に沿って無造作にちぎられており、地面に落ちている。
そっと自分の顔にふれ、液体を確認する。
それは…真っ赤で……夢で……よく見た…
「はっ!…はっ!…はっ!うっ、おげえええええ!!!」
「おいおい汚ねえな。これはお前のせいでできた穴だぜ?もっとよく見ろよ!」
「い、いや!来ないで!触らないで!」
ベッドから飛び降り、窓へ向かう。
…さっきまで青空だったはずの空は、血のように真っ赤になっており…太陽が不気味に辺りを照らしている…
窓から見えるところにいた生徒は、長い体と腕を垂らして辺りを彷徨っている。
…顔についた一つ目がこちらを監視するように見続けていて…
「あ…ああ…ああ…ああああ!!」
「おい、神代さっきからどうしたんだ?」
石塚君の声が聞こえ振り返る。
冷静な声であたしのことを呼んでいる。
………全身から血を流しながら……
「ひぃ…!い、石塚君?……それは…」
「?何を言ってるんだ?君がやったんじゃないか。ほら穴が空いて血が出ているだろう?」
そう言って傷口に無造作に指を入れ、広げる。
ミチミチッ…と肉を引きちぎる音がする…広げられた傷口からは、ポタポタと血が滴り続けている…
なんで…そんななんでもない顔をしてるの?
………嫌だ……いや!いやいやいや!やめて!あたしの傷を広げないで!
これは夢…!…そう夢…お願い覚めて!覚めてよぉ!こんなのあたしの現実じゃない!
あれ…じゃああたしの現実ってどこ?
2人が詰め寄ってきて、あたしは窓際に追い詰められる…
窓の外には逃げられない…ドアの窓ガラスには、何かの手形が見える…
もう逃げ場はない…
「おい神代、お前に逃げる場所なんてねえよ。こっちだろうと向こうだろうと、お前は逃げられない。こうやって殺したやつに付き纏われ続ける。」
「ああそうだ。…この頭の傷、痛かったぞ?なんでお前はこの苦しみを味合わないんだ?……同じ怪物なのに」
「え……あたし…も怪物?」
「ああ、そうだろう?鏡を見てみるといい。自分が何者かわかるだろう?」
血まみれの2人があたしの腕をひき、入り口付近に設置されている姿鏡の前に引きずっていく…
「いや!いや!!離して!離してよぉ!」
「おいおい泣くなよ…ただ見るだけだろ?」
いや…いや!見せないで!あたしは人間!怪物じゃない!だから!
「ほら目を開けてよく見てみろよ!お前の本当の姿を!」
そこに写っていたのは……
「いやあああああああ!!!はっ!…はっ…はっ…はっ…ここは…」
冷たい水が頭の上から降り注ぎ続けている。
…そっか……さっきのは夢だよね…
これも夢であって欲しかった……あたしは今……どんな姿をしているんだろう…
「鏡で見てみたらどうだ?」
「?!なん…で!ここに!」
目の前には、死んだはずの石塚君が見える。
でもその顔はあたしがみたことのない、下賎な笑みを浮かべている。
上手く呼吸できない…心臓が握りつぶされているように苦しい…
……落ち着け…これは幻覚だ……龍之介も言ってた…死んだひとが見えたって。
ならこの石塚君はあたしが作り出した幻だ。相手にするな…
「おい、無視なんて酷いじゃないか?ああ人を殺せるようなやつだから仕方がないか!ははははは!!」
「っ!」
「その通りだろう?あの時俺を撃ち殺さず、足止めするだけでも良かったはずだろ?」
「………」
「それなのに、わざわざ殺したんだ。どうしてだと思う?」
「…あなたがあれ以上狂っていくのが耐えられなかったから、それに舞を守るために…」
「おいおい、そんな建前なんて必要ないだろう?ほら俺も言ったじゃないか、笑っているって!人殺しが楽しかったんだろう?」
「ふざけないで!そんなわけない!!」
それだけは絶対にない!
人殺しを楽しむなんて、人間のすることじゃない…
「そう…人間なら人殺しを楽しむことはないさ。けどお前は、怪物だろう?」
「黙れ!」
目の前のクソ野郎に殴りかかる。
けどするりと躱されてしまい、あたしは地面に倒れ込む…
…洗面台にある鏡が目に入る…
あたしは……まだ人間の形をしていた……でも…
瞳が真っ赤に染まり…口角が上がり、三日月のような形をしていた…
まるで笑顔のように…
「ああああああ!!!違う!違う!違う!」
鏡を叩きわり、シャワー室を出る。
…Gフォンから音が聞こえる。メールだ…
『人殺しは楽しいか?
麻倉』
うるさい!うるさい!うるさい!黙れ!死人が出てくるな!
あたしは楽しくなんてない!人間だから楽しんでない!
耳を塞ぎ、地面に塞ぎこむ…これで何も目に入らない…
「おいおい、そろそろ認めたらどうだ?自分が怪物だと。」
「黙れ!黙れ!喋るな!お前の声なんて聞こえない!あたしは今1人なんだ!誰もいない!」
「はぁ…強情なやつだ…だが、お前の本心はどうだろうな?」
「聞こえない!あたしは聞いてない!」
「怖いんだろう?怪物が。」
「やめろ!あたしの心を勝手に代弁するな!あたしは怖くない!」
「お前は怖いんだろう?自分が無力なせいで、他人が死ぬことになるのが!僕や麻倉の時のように!」
「!ぐううううぅぅぅぅぅ…………」
そう…それが一番怖い……
あたしにもっと力があれば…誰も死なずに済んだ…もっと力が…
「そうだろう?それが手に入るぞ、怪物になれば。みんなを守れるんだ。」
「守れる…あたしが怪物になれば……みんなを…」
「ああそうだ……簡単だ、ただ受け入れればいい。そうすれば全てが守れる力が手に入る…僕みたいな犠牲を出さずに済むんだ…」
「………そっか……ああ…そんな簡単な方法でみんな守れるんだ…はは…嬉しいな……」
それならもう迷う必要なんてないよね……
あたしは……怪
?Gフォンが光っている…またメール?
なんなの?…もう少しでみんなを守れるようになるのに〜…
『結体調は大丈夫か?連絡ないが生きているよな?
こっちは全員無事だ。
これも全部お前のおかげだ。
だからもし必要なものがあったら遠慮なく言ってくれ。
必ず力になるから。
龍之介』
…………
またGフォンが光る…
『結さん体調はどうですか?龍之介さんが連絡ないって心配していたので
起きたらすぐに連絡してあげてください。
わたし、少しですけど自信が出てきたんです。これから必ず結さんの役に
立ちますので早く良くなってください。待ってます。
舞 』
…………
また光る…
『結怪我したって聞いたわよ…全く相変わらず無茶するのね。
それと!いきなりあなたの友人を向かわせるんじゃないの!
前もって連絡して欲しかったわ!…まあ2人ともいい人だし、
私も助かったから、許してあげる。
あなたには何度も助けてもらった。まだそのお礼をしていない
のだから早く怪我を治して合流して!待ってるから。
静華』
………………そうだ…必要なのは力だけじゃない…
あたしが怪物になったら、みんなが悲しむ…それにこんな関係にもなれなかった。
この先、自分が無力だと思い知らされることがあるかもしれない…
この選択をしておけば良かったと思うかもしれない…
けど、みんながあたしのことを思ってくれるこの関係を否定したりなんかしない!
だから…あたしは…………人間であり続けるんだ!
「それが君の答えか…わかった。」
「え?…ぐぅ…!がぁ……ああ……」
痛みで意識が遠くなる…
意識がなくなる直前、ふと左腕をみてみると………人間の形をしていた…
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