37.道中の発見
外出禁止時間が終わるまで後3時間、それまでに何か見つけないと。
このままだと怪我をしただけでまた、訳も分からずに怪物から逃げる事になる。
それに施設内の物資ももう少ない。…映像で言ってた通り、数に限りがあるのなら早く脱出する手掛かりを掴まないと。
真壁さんと一緒に主通路に出て南側最奥を目指す。
「…これって…」
通路に出てすぐに目についたのは、人型の怪物…の残骸。
何かに引き裂かれて、バラバラになった死体があった。少し先にも同じものが見える。
もしかしなくてもやったのは狼だと思う。ということは狼もこっち側から来た確率が高い。
…あたしが怯えていた怪物をこうも簡単に倒せる…それなのに、もう1人のあたしはよくあの狼を倒せたよ…
「ひでえな…まあこの感じなら、怪物は少ないかもしれないな。」
「ですね。けど、警戒はしておこうね。」
「ああ、そうだな。俺も今回は足を引っ張らないようにする。…後口調はそのままでいいぞ?」
「?っあ敬語!年上だから…けどあたしもこっちの方がいいかな。」
「気にすんな、こうやって死線を潜った仲だ。もう少し信用してくれ。」
そう言って大きな銃をいつでも撃てるように構える。
あれはショットガンって言ってたかな。前に出ると危ないからあたしは後ろからついて行こう。
敬語、年上に馴れ馴れしいかと思ってたけど、気にしすぎたかな。
これからは普通に話すようにしよ。
…腕の痛みには慣れてきたけど、拳銃を撃つ衝撃に耐えられるかは不安だ。
彼には悪いけど、あたしは危なくなるまでは下がっておこう。少し頼らせてもらうからね?
警戒しながら、通路を進む。
見通しがいいおかげで、敵がいてもすぐにわかる。…店内を除いて。
人型の怪物の死体はあるけど、生きている怪物とは遭遇はしてない。
ほとんどはあの狼がやったんだと思う、不幸中の幸いだ。
…それにしても、
「ねえ、思ったんだけど…怪物が人型のやつしかいなくない?」
「ああ、俺も思っていた。昼間には、蛇頭のやつとか蜘蛛のやつがいたんはずだが…全くいない。」
「…まあいないに越したことはないけど…」
「だな。いないなら今のうちに奥に行くぞ。」
「うん…こほ、けほ…」
確かに、今考えても分からない。
今は奥に行くことに集中しないと…なんか体がだるい…疲れが出てきたかな…
「…少し休むか?」
「いや、大丈夫。怪物がいないうちに進めるだけ進んでおきたい。」
「分かった。だが、キツくなる前に言ってくれ。」
「真壁さんと違って言うよ?」
「ふっ、そう言えるなら大丈夫だな。」
あたしの物言いに安心したのか、前を向き直す。
倒れるなら後でいい今は…気合を入れ直して、最奥を目指して歩き出した。
ふと、ある店で立ち止まる。
「どうした?疲れたか?」
「ううん違う、ただこの店にちょっと思うことがあって…」
机と椅子何もない店内、前に来た…保険屋。
昨日のことなのに、もう随分前のように感じる。
あの時あたしは、横の小物店を雪原さんと一緒に探索したっけ…
…そういえば、あの店の従業員室の鍵って…
気になって小物店に入って、従業員室の扉に向かう。…鍵は刺さってない。
ドアノブを回してみる。…鍵がかかってる。あの後誰かが、鍵を持っていったのかな…
「神代、何かあったか?ん、悪いがそこの鍵は持ってないぞ?」
「ん、大丈夫。…ここ前に開けたことがあったんだけど、鍵がかかってるから。多分誰かが持って行ったんだと思う。」
「そうなのか?なら中にはもう何もないな、覚えておこう。」
「うん、ごめんね。さっ行こ。」
ふたりで通路に戻り再び奥を目指す。
?…今何か聞こえたような…気のせいかな…
「どうした?」
「あっごめん、なんでもないよ。」
20分ぐらい歩いたかな…暗いなか、周りを警戒してるせいか前よりも時間がかかる。
…相変わらず人型の死体は転がっている…どれだけ殺して回ったんだ…
まあさっきから見かける死体は、細身が多いからそこまで強くないのかもしれない。そんなのにビビるあたしって…
…さっきよりも体がだるい。それに頭がぼーっとするし、熱もある…
「こほ…けほ…ごほ!ごほ!…っうー…」
「おい、大丈夫か?少し休んだほうがいいぞ?」
「…座ると動けなくなりそうだからいい…倒れたら置いていってくれていいから。」
「冗談でもそういうことは言うな。いいな?」
「ごめん…」
本当にどうしたんだろう…目が覚めた時はなんともなかったのに…
早いところ確認して、休んだほうが良さそう。うぅ…寒…
…ん?
「ねえ、何か聞こえない?」
「?そうか?……いや聞こえないが…」
「……何か…機械音?かな…」
警戒しながら、進んでいくと…音の正体が分かった。
見つからないように店に入り、半身乗り出して確認。
大きなカプセルを背負った機械が、ライトをつけてゆっくりと走っている。
運んでいる機械はあたしの背丈の半分ぐらいしかないないのに、倍以上の大きさのものを運んでいる。
力持ちだなぁ…見たかぎり武器とかはなさそう。近づいても大丈夫かな?
近づこうとしたら、真壁さんに止められた。
「おい、近づくのはやめとけ。変形して襲ってくるかもしれない。」
「そうなの?………っえ?変形?」
「ああ、俺の知識の中にそういう奴がいた覚えがある…気がする。」
「……それって映画とかじゃ…まあ今の状況ならそういうこともあるかもね…」
けどあのカプセル何が入っているんだろう。暗くて中が見えない…
…2メートルぐらいあるけど…怪物かな…
けど、放し飼いしてるし…………もしかして人間?
「…こほ…ねえ、あれ何が入ってると思う?」
「あの大きさだ、怪物か…人間だと思う。」
「やっぱりそうだよね…死んだ人が多いから補充しに来たってとこかな…」
今後もああやって人が連れて来られるのかな…それは嫌。
早くここから出て、なんとかしないと犠牲になる人が増える。
…あたしに何が出来るかは分からないけど、何もせずに周りの人が犠牲になるのは嫌だ……あたしがなんとかしないと…
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