36.探索前の準備
さて、これから最奥に向かうんだけど…その前に準備をしておかないと。
うーん狼と戦って思ったけど、あたしの拳銃やっぱり威力が足りない。
それに弾数も8発は心許ない、せめてもう一丁あればなぁ…弾倉も一個しかないから弾詰めも面倒なんだよね。
どこかにあったりとか……もしかして、
「ねえ真壁さん。拳銃って持ってたりしない?」
「ん?なんだ、それ壊れたのか?」
「いや壊れてはないんですけど、予備が欲しいなと思いまして。」
「あーそれなら…」
そう言って、ロッカーを開けると見たことがある鞄が入っていた。
少し待っていると、
「これなんかどうだ?今持っている奴よりは少し大きいが。」
「おお〜いい感じです!これ威力とか弾数は分かりますか?」
「威力に関してはわからないな。弾数は…ちょっと待ってろ。」
わざわざ、弾倉から弾を抜いて確認してくれた。
弾詰め、あたしより早いなぁ…やっぱり男の人の方がこういうの慣れてるのかな?
「12発だな。神代の持ってるやつは8発だったな、こっちを主に使ったらどうだ?」
「うん、そうさせてもらいます。…まあ今は、あんまり使いたくないですけど。」
「その腕じゃあなぁ…絶対片手で撃つなよ?」
「分かってますよ。また肩が外れるのも嫌ですから。」
今使っても弾が無駄になりそうだからあんまり使いたくない。
あたし右利きだから、左で構えると少しブレるんだよね…でも結構当てるの上手だと思うんだけど、もしかして才能あるのかな?
「他にはいいか?…っとそうだ、手榴弾は俺が持っておくよ。」
「?別にいいですけど、何かに使うんですか?」
「あのな…今のお前だと投げられないだろ?」
「あー…確かにそうですね。すみません。」
「…お前って本当に、自分の事に無頓着だよな。」
「あはは…ま、まあ真壁さんが守ってくれるからいいでしょ?」
「はぁ…そうだな。これからも無茶しないように見てないと…っとそろそろいくぞ?」
準備は…万全とは言わないけどできた。
拳銃は持ち慣れるためにも常に持っておこう。…何か忘れているような…って鞄!外じゃん!忘れてた!鉈も!回収しないと!
後は…何もないように祈っておかないと…
扉を開けて、外に出る。
瞬間、鉄っぽい匂いがする…原因はすぐに分かった。
「うげぇ……ひどい有様……」
至る所に、壊れた机と椅子。…そしてその上に何かの肉片と血。多分狼のだろう。
気持ちわる…元の姿を知ってるからか、視界に入るピンクの肉片がさらに気持ち悪く感じる…
それにこの体に感じる生暖かい空気と、匂いが吐き気を……うっぷ……
話は聞いてたけど、想像以上だ。これ1階よりも悲惨な有様じゃない?
正直どっちも酷い。あっちは腐った匂いが酷かったけど、こっちは血の匂いが強くてきつい…
それにしても、
「ねえ、これ本当にあたしがやったんですか?」
「ああ。俺も正直信じられないが、この目で見たしな…」
「今は暗いからそこまで目立たないですけど…明るくなったらやばいんじゃないですか?」
「…そうだな。知らないやつが見たら発狂しそうだ。」
「誰か片付けておいてくれるといいんだけど……そういえば…」
ちょっとした疑問が湧く。
「ん?なんだ?」
「殺された人とか、怪物の死骸ってあんまり見かけないと思って。ひょっとしてこの時間に片付けてるんじゃない?」
「どうだろうなぁ…俺は怪物が食ったと思っていたが?」
「…ああその可能性もあったね…」
そうだった…あいつら人間食べたわ…それに怪物同士で共食いもしてたからそっちの方が可能性がある。
まあ目の前のこれを食べてくれるなら、ありがたいからやってほしい。
目の前の有様に目を奪われていたが、改めて周囲を見渡す。
「…相変わらず静かだな。」
「そうですね。まあ、いないならいい事ですから今のうちに行きましょう。」
「ああそうだな。一応警戒はしろよ?」
「うん、分かってます。あっその前にちょっと失礼します。」
あたしは、血溜まりの中に歩いていき周りを探る。
歩くたびに、赤い液体が跳ねる。…時々何か柔らかいものを踏むんだけど…勘弁してぇ…
手当たり次第探して回る……見当たらない…。
…暗いのと、赤いランプのせいで分からない……やばい…鉈はいいけど、鞄はGフォンが入ってるから無くすとセーフルームが使えなくなる…
鞄…鞄…鞄…鞄…!どこだ!ああ、もう!こんな事なら、出会った時に真壁さんと連絡先を交換しておくんだった!
血で汚れるのを忘れて必死に探し回っていると、
「…神代何やってんだ?」
「あたしの鞄!あれにGフォンが入っているので見つけないと!」
「それならここにあるけど…」
「……………………」
そう言ってあたしのGフォンを渡してくる…わーい画面割れてないやーよかったー…
あたしは笑顔を作って近づく…そして、
「………スゥー……あのさぁ…なんでもっと早く言わないの?馬鹿なの?報連相って知ってる?君あたしより年上だよね?下手したら社会人だよね?とゆうかあたしが必死になって探してるのになんで手伝わないの?あたし怪我人だよね?優しくしようとか思わなの?その手はなんのためについてるの?セクハラする為だけに付いてんの?それとGフォン持ってるってことはあたしの鞄勝手に漁ってるよね?その時謝ってたよね?口だけなの?これ前にも言ったけど覚える気ないの?なら今言ったから覚えて、分かった?!」
思いの丈をぶちまけた。途中で笑顔を維持できなくなってたわ…
まあ……一応声の大きさには気をつけたから……全く……全く!
「はい…すみません…反省しております…」
「…ちなみにあたしの鞄と鉈は?」
「…鞄は血まみれでしたので中身を移しました…すみません…鉈は…見つけたんですが…」
そう言って、鞄を渡してくる…だから2つ背負ってたのか…
そして説教されて沈んでいる様子で、あたしを手招きをしてくる。それを追って血溜まりの中を歩いていく。
ボロボロの柱の下にあった。……何これ折れ曲がってるんだけど?
ええ?!これ結構分厚いから簡単には壊れないと思ってたのに!折り曲げようとしても曲げらんないよ!
「こんな状態だったから、使えないと思いまして…どんな力で投げたんだよ…」
「知らないよ!ああ…あたしの相棒が……麻倉君の遺品だったのに…」
「まあ…どんまい…また見つかるさ。」
「はぁぁぁ……真壁さん、今度もう1人のあたしが出てきたら文句言っといてください!」
「俺がかよ?!それにあっち側のお前なんか怖いからなぁ…まあ伝えといてはやるよ。」
ショックだわ…まあGフォンが無事だっただけでも良しとしておこう…はぁ………
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