35.今後の方針
あたしが…多重人格?
………………………わからん…。
こうやって言われるまで、考えたことすらなかった。
「えっと…わかんないです。」
「…何か思い当たることはないのか?」
「いやまあ…あるにはありますけど、自分じゃわかんないんですよ…」
「そういうものなのか?…まあ俺も詳しくないからなんともいえないな。」
「んー仮にあたしがそうだったとしても、今のところ困ることあります?」
「いやあるだろ。」
「え?どんなことですか?」
「向こうは記憶は共通してるみたいだが、お前は覚えてないだろ?」
「あーそれは困りますね…ってなんで向こうは覚えてるってわかるんですか?」
「…俺を助けて、普通に会話したからな。」
普通に会話できるなら変な性格ではないってことかな…
よかった!小説とかだと、多重人格の人って悪役が多いからちょっと不安になってた…!
んーけど、向こうだけ全部知ってるのはずるいな…
それと、もう1人のあたしが好き勝手やった結果、あたしが傷だらけで動けなくなるとかは勘弁してほしい。
でも…もう1人のあたしって戦闘に関してはあたしよりも断然上なんだよね…
まあ、そのおかげで今回も助かったから、悪い印象は持ってない。
あたしの知らないあたし…できれば一度話してみたい。せめてお礼くらいは言いたいから。
「前に出てきた時はどんな状況だったんだ?」
「……一緒にいた人が殺された時です…」
「…悪い」
「いえ…状況的には今回みたいに、死の危険があった時ですね。」
「そうなると、普段話すのは難しそうだな。」
「そうですね…まあ、普段はあたしが頑張りますから!痛っ?!」
「………不安だ…」
「ひとまずお前の人格に関しては置いておくとして、これからどうするか決めるか…」
「そうですね…今は…AM3:12…もしかしてあたし結構寝てました?」
「ああ、5時間ぐらいな。ぐっすりだったぞ?」
そんなに寝てたのあたし?
…その間ずっと見張りしてくれてんだ。悪いことしたなぁ…
「起こしてくれればよかったのに…」
「お前な…そんな怪我してるやつを起こせるかよ…」
いい人だな真壁さん。
自分も疲れてるはずなのに、こういう気遣いはできるんだよねぇ〜。
「それに治療してる時に、結構触ったけど起きなかったぞ?」
前言撤回、気遣いできないわー。
せめて言い方…
「…変なとこ触ってないですよね?」
「……………触って…ない…です…」
「あっそこの拳銃とってもらえますか?」
「待て待て?!わざとじゃない!治療してる時に寝返りをうったから…その…胸…」
「ふーーーーーん?そーーですか。」
「…………えっと…柔らかかったぞ?」
「死にたいんですねわかりましたその銃よこせ」
「いや?!今のは口が滑って!その褒めたつもりだったんだ!」
どこの世界にセクハラした相手に感想を言ったら、褒め言葉になるんですかねぇ?
…というか、あたし真壁さんにいろんなとこ触られたり、見られたりしすぎ…
「……次やったら、わかってますね?」
「はい…」
「で、話を戻しますけどどうします?」
「お前…その怪我でどうしますって聞くか?」
「あ〜なんか慣れてきました…」
「はあ?!」
まだ痛みは続いているけど、もう動ける。
血も…多分止まってる。乾く前にタオル変えないと、絶対痛いだろうなぁ…
「…お前…普段でもやばいやつだな…」
「やめて?」
「だが、ここで待機していた方がいい。…もしものことがあるかも知れない。」
「その時は守ってくれるんでしょう?」
「……正直自信がない…」
「そうなんですか?てっきり任せておけ!って言うかと思って」
「…お前が狼と戦ってる時、俺は何もできなかった。もしまたあんなやつが出たら…」
「…………普通のことでしょう?あんな怪物に向かって行ける方が異常なだけですよ。」
そう…あたしは異常だ。分かってる。
普段のあたしでも、人型を除いて怪物と戦うことを当たり前に行なっている。
普通の人間が持っている倫理観から外れてきている。人殺しだってしてきた…
「…かもな。だがそれじゃあダメだ。お前にはそれが分かってるだろ?」
「ええ…いざって時に動けないと、周りの人が死ぬことになりますから…」
「周りか…。お前、もう少し自分を大事にしろよ?」
「ん〜…善処します。」
「…はは!本当に面白えやつだなお前!…いいさ、お前が周りを守るなら…俺がお前を守ってやる。」
「ふふ…プロポーズみたいですね?」
「茶化すなよ…。だがもう決めたことだ。お前は俺が守ってやる。」
「うん、よろしくね!」
…あの真壁さん、言った後に照れるのやめてもらえますか?
こっちまで恥ずかしくなってきたよ…
「それじゃあ奥に行くってことでいいんだな?」
「はい。それでお願いします。」
「はぁ…正直今でも反対なんだが…」
「いえ、無理してでも行く必要があるんです。」
「そうなのか?」
「ええ、だってもう一度同じことしろって言われて…できます?」
結局のところそうだ。今逃げたところでまた同じことをしなくちゃいけない。
その時に今よりも状況がいいとは限らない。もっと悪い可能性だってあるかもしれない。
…それにあたしの怪我が良くなるとは思えない。だから今行く必要がある。
「…そうだな。別の日にしたところで、別のやばいやつが出てくる可能性もある。それなら今行くべきか。」
「ええ、動ける今のうちにさっさと確認しておくべきです。」
「何もないって可能性もあるんだが…」
「…その時は…今後ルールを守りましょうってことで…」
「…よく考えたら俺相当無謀なことしてたんだな…」
「ええ、アホなことしてますよ?アホですね。」
「…直球の悪口どうも!」
…けど流石に何もないってことはないはずだ。
1階にいたはずの狼が3階にいた。あの巨体でエレベーターを使うのは不可能。
エスカレーターもそうだ。飛んできたとも考えたけど……あの足、状態でそれはない。
なら、何かあるはずだ。そうであってほしいと願うばかりだ…
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