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EDEN  狂気と裏切りの楽園  作者: スルメ串 クロベ〜
33/126

32.強襲

しばらく屈んだまま歩き続ける…この態勢結構しんどい…

真壁さんあんな大きな銃を2挺担いで歩き続けるなんて、体力あるな〜。


「ゼェ…ゼェ…ああ…重…」

「…………」


そうでもなかった。

それでも着実に進んできたおかげで、出口が見えてくる。

出口付近のフードコートは開けていて、かなり広い。これなら怪物が近くにいても気づける。

それにしても…


「か、神代…ゼェ…つ、ついたぞ…はぁ…」

「………そうですね…」


さっきまで頼りになるって思っていたのに…

い、いやまだ頼りになると思ってる。そうだ、きっとやる時はやるタイプだから。

彼に続いて、出口近くにあるお店に入る。真壁さんが鍵束を取り出して、従業員室の鍵を開ける。

…驚くほど静かだ。怪物の叫び声も聞こえない。


「はぁ…はぁ…よし開いた…待たせたな…」

「いえ…周りに怪物はいないみたいですね。」

「そうだな、思ったよりも数が少ない。」

「ただここから先は主通路を歩くから隠れる場所があまりないから、さっきよりも慎重に移動しないと。」

「そうですね。けど今はここで休みましょう。辛いんでしょう?」

「ああ…2丁も持って歩くもんじゃないな…」


扉を開けようとした時だった。

何か聞こえる…


「…ねえ、これなんの音かわかります?」

「いや…なんだ…」


ドタドタと何かが地面を蹴る音。

…聞き覚えがある…けどあいつは1階にいたはず…

音がさっきよりも大きくなって、地面の揺れを感じる…近づいてきてる…!


「ガァオオオオオオオオオ!!!」

「っ!うるさ!真壁さん!」

「ああ…!クソ!ここにきてボス戦かよ!」


大きな狼が血まみれでこちらを睨んでいた…














狼はこちらを睨んだまま、ゆっくりと近づいてくる…


「こいつ1階にいたはずなのになんで…」

「さあな!けどこうなった以上やるしかねえな!」


不思議な気分だ…妙に落ち着いている…

こいつは流石に無理…そう思う。

けれど同時になんとかなるんじゃないか…そう思っている自分がいる。


こちらを睨む狼は白い毛が赤く染まり、体から赤い肉が露出している。

脚も1本ちぎれてなくなっていて、動きずらそうにしている。

あのワニにお礼を言いたい気分だ。

けれど油断はできない…あの時と違って視界が悪いし、缶詰や閃光手榴弾もない。


「真壁さん、作戦とかあります?」

「いや、ねえな。とにかく撃ちまくってなんとかするぐらいだ。」

「…それならあたしが引きつけますから、確実に当ててください。」

「おいおい!そんな役目任せられるかよ!」

「いえ…どうもあいつ、あたしが狙いみたいですから…」


さっきからこっちしか見てない…どれだけあたしのこと嫌いなのこいつ…

あたしは鞄を下ろして、鉈と銃を構える。


「…みたいだな…わかった、任せる。すぐに始末してやるからな!」

「ええ、頼みます!」


そう言ってあたしは、狼の方へ駆け出した。









…こいつを相手にするのに、馬鹿正直に正面から行っても危険だ。

だから、奴を中心に周りを走って引きつける作戦でいこう。

幸いここは広い。机や椅子が多いから素早くこっちには近づいてこれない。

だから一定の距離を保って戦えれば、多分なんとかなる。

狼と平行に走りだす、やっぱりずっとこっちを見ている…これなら…

拳銃を構えて2発撃つ。

?今…背中に当たった…よね?


「ガォオオオオオオオ!!!」

「つぅ〜!うるさいって!」


もう一度2発撃つ。…当たってはいるけど、効いてない?

撃った後怪物の後ろで火花が見えた…もしかして毛で弾丸が滑ってる?

…けど本命は真壁さんだ、だからあたしは気を引くだけでいい。

真壁さんは、


「クソ!こっち来んな!神代悪い!もう少し耐えてくれ!」

「!あいつら!わかった!そっちも気をつけて!」


真壁さんの方に、人型の怪物が向かっているのが見える。

これだけ音を立てれば気づかれるか…援護…いや真壁さんを信じてあたしは自分のやるべきことをする。

狼を向こうに向かわせないそれがあたしの役目。このままの状態を保ち続けないと…。

それに逃げ回ってわかったことがある。今の狼は前ほどの速さがない、あたしでも十分逃げ続けられる。

これなら…?立ち止まって何を…


「ガァアアアア!!!」

「?!」


大きな体を振り回して、机や椅子を撒き散らし始めた。

かろうじて、近くの柱に隠れてやり過ごす。…柱に色々な破片が刺さってる。あたしに当たったら貫通するよ…

また同じことをするつもりなのか、机や椅子があるところに移動している。さっき隠れた柱は崩れそうだから使えない、移動しないと。

…早く倒さないと、そのうち当たる。真壁さん早くこいつをって…



………あれ?



真壁さんが…………いない……



















あれ…なんで…さっきまでそこにいたはず……。

狼に注意しつつ、彼がさっきまでいた場所を探す。

…いた…狼が飛ばした机の下、人の足が見える…嘘…まさか…


「ワォオオオオオ!!!!」

「?!まず…」


狼から視線を外しすぎた…あたしに向かって破片が飛んでくる…

柱は…だめ、遠すぎる…一かバッチか!

地面に伏せて、頭を抱える。頭上を大きな塊が通り抜けていく…細かい破片があたしに向かって降り注いだ。


「っつう…!」


拳ほどの大きさの破片が何度もあたしの体を打ちつける…右腕が切り裂かれて、痛い…

頭を上げて狼を見ると、こちらに近づいて来ているのが見えた。


…どうする…どうやってこいつを倒す……

拳銃は効果が薄い。鉈は…あたしの力じゃ意味がない…もっと強い武器…

真壁さんの銃は…瓦礫の下だからすぐには使えない…他に何か…何か…

…ある。あれならこいつを倒せる…問題はどうやってそれを拾って、使うか…あたしにできるの…?


落ち着いて…体はまだ動く。狼も怪我でそこまで早くは追ってこない。

ならできるはず。いやできるかじゃない…やるだけ…

そうだ…私ならできる。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 前話で急にビクビクしてたのが和らいで比較的冷静に立ち回れるようになったら真壁さんがやられてソロで戦わざるを得なくなった負傷済み結ちゃん 人型もいるだろう状況で果たしてどう切り抜けるのやら……
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