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EDEN  狂気と裏切りの楽園  作者: スルメ串 クロベ〜
21/126

21.生きる意志

目の前には蛇人間。

後ろには巨大な狼の怪物。

このままどっちに行ってもなぶり殺しにされる。

どうする?…考えろ。まだ諦めるわけにはいかない。

1人で死ぬならまだいい、けどあたしの背中には雪原さんがいる。彼女を死なせるわけにはいかない。


行くなら前しかない。だって後ろに戻ったところでできることはない、まだ前の蛇人間の方がどうにか出来そう。

けど、どうする?拳銃は鞄の中だ。鉈は手に持っているけど、雪原さんを支えててるから使えない。そもそも両手が塞がってるから使えない。

鞄の中に手榴弾はあるけど、手が使えないから取れない。

…なにも思いつかない…もう手はないのかな…

…………手はない?…!それなら!

あたしは全力で前に走る。


「か、神代さん?!ま、前に!」

「わかってる!しっかり捕まってて!」

「*****!!」


そのまま距離を詰める。向こうからも詰めてくる。…やっぱりそうくるよね。けど、狙い通りだ。

あたしは足元の瓦礫を蹴り上げる。色々な機械の破片が怪物めがけて飛んでいく。


「*****!」


あたしの動きを予想していなかった蛇人間は、顔を覆って瓦礫から身を守っている。

その横をあたしは走り抜ける。後ろを見ると、蛇人間はまだ横を抜けたことに気づいていない。

…そのさらに後方から巨大な怪物がこちらに迫っているのが見える。想像以上に速い…!

前を向き直り左を見る。

幸い、降りてきたエレベーターの方を見てみると怪物はいなかった。

けど、このまま行っても追いつかれる。もしくは扉を開けてる間に襲われる可能性が高い。

ならやることは一つだけだ。


「雪原さん!ごめん!少し痛いと思う!」

「え?」


あたしは雪原さんの腕を払い、そして。





エレベータの方に投げ飛ばす。


「…っ!神代さん?!何して!」

「先に行ってて!あたしは後で行くから!後これ持ってて!」


鉈を雪原さんの方に投げる。

あれに近づいてできることはない。なら持っててもしょうがない。

怪物達の方に向き直り、あたしは鞄の中から閃光手榴弾を取り出しピンを抜く。使い方は前に聞いたから大丈夫。

蛇人間のものであろう断末魔が聞こえる。敵はもうそこまで来ている…。

ぐちゃぐちゃと嫌な音が聞こえる。多分蛇人間が食べられてるのだろう。追いつかれたらあたしも同じ目にあうのかな…。

そんな想像で背筋が凍る…。…だめ考えるな!

後ろをみると雪原さんがまだ動けずにいる。なんでまだいるの!


「はやく行って!」

「で、でも…神代さんが…!」

「うるさい!!いいから早く行け!!邪魔だ!」

「っ!…ごめん…なさい…」


よろめきながらもエレベーターに向かっていく。

はぁ…やっと行ってくれた。ごめんね、雪原さん。後で必ず謝るから。

さて…あたしはどうやって逃げ切ろう。







何かを踏み砕く音と共に足音が近づいてくる。

あたしは手榴弾を構える。…そういえばこれってどのタイミングで破裂するの?

そう考えているあたしの視界にやつが現れる。

白い大きな顔、赤い瞳、大きな牙、全てがあたしを恐怖させる。

口からは怪物のものであろう血がこべり付いており、端から垂れている。

全身が震える。心臓が締め付けられる。上手く呼吸できない。


あたしはここで死ぬ。そいつを見た瞬間…そう確信できてしまう。

だけどまだ死ねない、死ぬわけにはいかない。拳を握りしめ、舌を噛み、自分の中の確信という恐怖をごまかす。

ゆっくりとこちらを見る怪物に向けて、あたしは…手榴弾を投げた。

放物線を描いて怪物に向かって行く。それを訝しげな目で見ている怪物。

そうだ、そのまま見てなさい。あたしは腕で目を塞ぐ。

瞬間、辺りは白に包まれる。


「グォ!?グガアァァ!!」


怪物が苦しみの声を上げる。この瞬間を逃すわけにはいかない。

後ろのエレベーター…だめ。さっき上に登ったばかりだから来るまで時間がかかる。他に上に上がるには…

そうだ…!広間のエレベーター!あれがあった!…ここから走って20分くらいか…

あたしは走り出した。






移動しながら鞄から拳銃と手榴弾を取り出す。

後ろをみるとまだ目が見えないのか苦しんでその場にいる。

今のうちに距離を稼がないと!

手榴弾は先にピンを抜いておく。レバーを握っている間は爆発しないらしいから、これですぐに投げれる。


「グォォオオオオオ!!!!!!!」

「!流石にそろそろ来るよね…!」


凄まじい轟音で空気が揺れる。あれ近くで聞いただけで死ぬかもしれない…

後ろをみるとこっちを見失ったのかあたりを探している。今のうちに進めるだけ進んでおこう。

…ってあいつ鼻を鳴らして何を…?!って見つかった!

もしかして匂いで?そうだ、一応狼だったね…!

そう思っているとものすごい速さでこちらに迫ってくる。


っ!速すぎる!あたしは手榴弾を投げる。

再び辺りが白になる。


「グォ!?グガアアアァァァ!!!」

「学習しないやつね!しばらくそこにいなさい!」


走りながら、手榴弾を取り出してピンを抜く。

…………まずい、このままじゃ辿り着けない!

まだ、一つ目の広間にすら辿り着いてないのに手榴弾は後ひとつ。


…走って逃げ切るのは無理だ。

どうする?いっそ戻って…ってあいつは匂いでこっちがわかるから横を抜けるのは無理。

かと言ってこのまま向かっても辿り着けない…!どうする…どうする…

そう思いながら走っていると一つ目の広間にたどり着く。

…ひょっとしてだけどここにもエレベーターがあるんじゃない?


「グォォォォオオオオオオ!!!!」

「っ!うるさ!」


迷ってる暇はない!ここは賭けよう!

あたしは広間に向かった。







瞬間あたしはその選択を後悔した。

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