64話 サトーイチロー
「そ、そういえば琴音」
「うん?どうしたの次郎?」
「そのポンチョは?なんでフードもずっと被ってるのかなー?と」
「え?ああ、えっと、、、」
「実は、凄く見られるの」
「えーと、誰に?イーシキハイ?」
「呼んだかい?」
呼んではねえ!
「い、いやこっちの話です」
「そうかい?いつでも呼んでくれたまえ。コトネ様がお呼びとあらば、例え人類領域の端から端でも飛んでまいりましょう!」
「あ、ハイ」
もうこいつは放置でいいか
「えーと、、、それで?」
ちょっとだけ小声で聞く
「街とか、街道でもすれ違う度に、、、その、、、男の人から、、、」
あーうん。なるほど。なるほど。
美人だもんね琴音
「嫌って訳じゃないんだけど、、、その、、、」
「あーいや、ごめん、俺もそこまで気が回らなかったよ」
「うん、フード被ってな」
「ふふ、被ってて欲しい?」
お、おう、、、
そして、行軍を開始してから最初の街、オオソデの北の街に着いた
「ショル陛下ー!」
「オオソデ万歳!」
うん、ここでも大歓迎だなー
やっぱり、ショルって慕われてるんだな
いや、恩寵士が、なのかもしれないけど
どっちもか
そして、街の中ほどに差し掛かった時ーー
「おーい」
「おーい、ジロー!コトネー!」
街の大通りを挟む群衆から、俺たちを呼ぶ声がする
「うん?俺たちを呼んでるのか?」
「あ!あそこ!」
琴音の指差すほうをみると、
緑っぽい髪の少女が目一杯手を振って叫んでいる
「あれは、、、シィル?」
「シィルちゃんだ!」
アンスにきて初めて出会った、第一村人のシィルじゃん
「あ、あの知り合いなのですが、、、」
「知り合い?ジロー達にか?」
「ほら、ラングレンさんに初めて出会うちょっと前にあったって」
「ああ、そういえば言っていたな」
「ふむ、、、まぁ良いだろう行ってきなさい。泊まる場所は覚えているな?」
「は、はい、大丈夫です」
たぶん、、、
そう言って俺たちはパレードの列から外れて
シィルの元へ
ま、俺は恩寵士とはいえ、顔も名前も知られていないだろうし大丈夫だろ
それにーー
こいつには聞かなきゃならん、何故日本語を喋れるのか
「やっほー、ジロー、コトネ」
「街には、無事に辿り着けたみたいだね」
シィルはニコニコしながら話しかけてくる
「そんな事より!」
「な、なに?」
シィルはちょっとタジタジだ
「「なんで日本語喋れるんだ?の?」」
「、、、なーんだそんな事か」
「ふふふーそれはねー」
ご、ゴクリっ
「ナイショ」
「ソォイ!」
シィルの頭に軽くチョップする
「わわっ!なにするんだい!乙女の頭に!」
「あ、す、すまんつい、、、」
「もーしょうがないなぁ、、、教えてあげるよ」
「えっとねーボク、昔一緒に旅してたんだ」
「誰と?」
「サトーイチローって人と」
間違いなく日本人だ
サトーイチロー
佐藤一郎さんだろうな
「い、いつ?ど、どこで?」
「わわわ!ちょっとそんなグイグイこないでよー」
「次郎落ち着いて」
琴音にたしなめられる
うん、まぁ絵面だけみたら少女に詰め寄るおっさん、、、案件だな
「ねぇ、シィルちゃん、その、、、佐藤さんとはいつ知り合ったの?」
「コトネやさしいーすきー」
「あ、ありがとう、、、それで?」
「えっとねー、、、ご、5年前ぐらい?」
あ、会えるのか?琴音以外の日本人と、、、
「えっと、、、その人は今?」
琴音がそう言うと、、、
シィルの目には涙がーー
「死んじゃった」
「あ、その、シィルちゃんごめん、本当にごめんなさい」
「え?あ、アレ?あれあれ?おかしいなアレ?」
あぁ、、、そっか、シィルにとって大切な人だったんだな
俺たちは、それからしばらくの間、シィルが泣き止むのを待った
琴音はその間、ずっとシィルの背中をさすっていた
「大丈夫?落ち着いた?しんどかったりするなら今日はもうこのまま」
「え?あ、うん大丈夫だよー」
本当に聞いてもいいのかな?
「そ、その、佐藤一郎さんとは、、、そのどういう関係だったの?」
「え?友達かな」
うん、親友とかだったんだろうな、、、
5年前か、、、佐藤さんがシィルと会う前いつからこのアンスにいたのかはわからないが、、、
短いな
「おじいさんだったの?」
「ん?若かったよ、会った時は21歳、ダイガクセイ?っていってたよ」
、、、マジかー
そんな歳で、異世界で、、、
「その、、、なんで亡くなっちゃったの?」
「なんでって?」
「その、、、どう亡くなったのか、あ!本当に辛いようなら言わなくて大丈夫だからね!」
「眠るように、、、かな」
病気かな?どちらにせよ苦しまずに死ねたなら、、、
いや、わからないなそれは
「そう、、、なのね、その、、、最後に何か言ってたりはしなかった?」
「手を握ってくれって、俺と同じ日本人が困ってたら助けてやってくれって、あとは手洗いうがいは毎日しろって、、、後は、、、愛してるって」
ブフゥッ
マジかー佐藤一郎
シィルはどう見ても13歳とかだぞ?
そして、5年前なら、、、
マジなのか佐藤一郎
い、いや、あ、あれか?妹的なやつか?
俺は信じているぞ佐藤一郎!
だが、琴音は胸に手を当ててキラッキラの目で
「シィルちゃん、ちょっといいかな?」
「ん?なにー?」
そう言って琴音はコソコソ話をシィルと始める
まぁ、聞かない方がいいよな
琴音side
「その、聞いてもいいかな?辛かったりしたら本当に答えなくていいからね?」
「え?うんいいよ」
「その、やっぱりシィルちゃんもその人の事好きだったの?」
「え?うん大好きだったよ」
「やっぱりそうだったのね!愛し合ってたんだね!」
「え?愛?」
「そう、そうよ!シィルちゃんもその人の事を愛してたんだよ」
「そ、そうなのかな?」
「当たり前だよ!」
「で、でも、ボクとイチローは歳の差があったし、、、」
「愛に歳なんて関係ないよ!愛してるかどうかだけだよ」
「そ、そうなの?」
「そうよ!だからシィルちゃんは、、、そのさっきだって、、、その泣いてたじゃない」
「あぁ、本当にごめんなさい、私ったらなんて酷い事を」
「え?なにが?」
「だって、その、もう亡くなってしまったイチローさんの事をその、、、聞いたりして、辛かったよねごめんなさい」
「あぁ、それは良いんだよ、イチローの事話すと、、、そのポカポカしてくるし」
「シィルちゃん!」
あ、なんか琴音がシィル抱きしめてる
「私も頑張るからね!シィルちゃんも、、、その、、、嗚呼、、、」
あ、なんか琴音が泣き出した
「ちょ、ちょっとコトネ」
「ご、ごめん!つい」
そういって、琴音はシィルから離れた
「ジロー達もイチローと同じ所から来たんでしょ?」
「ああ、そうだ」
「いいなー行ってみたいなー」
「うん、俺もだ」
「ねぇねぇ、ボクも聞いていい?」
「ん?ああ、なんだ?」
「これから、どこに行くの?」
「ああ、戦争だよ。オオソデ防衛戦争、知らないのか?」
「あーうん、この街に着いたばかりで、そっかーせんそーか」
「面白いのかな?」
「いや、面白くは無いと思うぞ?」
「そーなんだ」
なんか、やっぱりシィルって変だよな
独特というか、アンスの中でも浮いてる気がする
あ、
「その、、、シィル、佐藤一郎さんは地球では西暦何年から来たって言ってた?」
「えーと、確かね、、、セイレキ2010年だったよ」
にせん、、、じゅうねんだと、、、?
佐藤一郎がシィルと出会ったのが5年前という事しかも、佐藤一郎はシィルと出会った時21歳、、、
つまり、どんなに前に来ていたとしても
アンスの10年前程度だろう
いや、このアンスは過酷だ
現実的にはやはり5年前か?
地球が2010年で、、、アンスは5年前、、、
俺たちは2027年だ、、、
これは、どういう事だ???
「時間軸がめちゃくちゃだね」
「そうだな、、、」
んーこれはわからん、
俺はもし帰れたとしても一体その時は何年なのだろうか、、、
「そういえば、シィルって何歳なんだ?」
「エエー乙女にそんな事きいちゃうの?」
「んーそうだなーじゃあボクを笑わせてくれたら教えてあげる」
わ、笑わせる?
ま、まあ、いいか
うん、よし
「琴音、任せろ」
「次郎いけるの?」
「勿論だ」
「いくぞ、シィル」
「うん」
「ふとんがふっとんだ」
「「ナニソレ?」」




