49話 削られた神話
えっと、俺も旅でそこそこ疲れてるし、明日じゃダメか?
『すぐに済む』
うーん、まぁ、いいか
「じゃあ、行くか!場所はわかるのか」
『無論だ』
そりゃ設置したの自分だしな当然か
そうして、琴音に出かけてくる旨を告げたが、
琴音もついてこようとする
「すぐに帰ってくるし、旅はまだまだ長いんだからしっかり休んでくれ」
と言って、宿を後にする
琴音は最後まで不満そうだったが、疲れが勝ったのか最後は折れてくれた
それで?場所は?
『あっちだ』
リアスに言われるがまま俺は歩く
歩くにつれてどうにも人が増えているように感じる
そしてーー
あーあれか、うん教会だ。ラングレンの本拠地だしね
それにしても人が多いな
中に入ろうとすると、、、
中は想像以上に人が多い
それぞれがおもいおもいの場所でひざまづいて祈りを捧げて?いる
教会の中央は円形のステージ?のようになっており、そこにはポツンと一枚の石板だけが置かれており、人々はその周りまでしか進めないようになっている
『やはりな』
えーと?なにが?
『削られている』
えっと、、、神話?
『そうだ』
石板を遠目からよく見る
うん、文字はどう見ても日本語じゃないが、なぜか読めるなやっぱり
えーと、、、
むかし、まだ人の世が小さかったころ。
ひとりの神が、世界を歩いていた。
そのころの人は脆く、
森には人を喰らうものが棲み、
山には人の及ばぬものが棲み、
夜の闇には、名を呼ぶことさえ憚られるものがいたという。
人は逃げた。
人は隠れた。
人は、ただ朝が来るのを待った。
神は悲しそうだった。
そして神は、自らの身を分けた。
ひとつを与えた。
「恩寵と共にあれかし」
神の身は、ひとつ欠けた。
またひとつを与えた。
「恩寵と共にあれかし」
神の身は、またひとつ欠けた。
腕を与えた。
足を与えた。
神が与えるたび、
人は強くなり、
神は弱くなった。
ひとつ。
またひとつ。
神は与え続けた。
やがて人は、獣に立ち向かえるようになった。
火を囲み、
家を建て、
村を築いた。
やがて村は町となり、
町は国となった。
神から与えられたものは、
父から子へ。
子から孫へ。
幾代もの人の手を渡り、
受け継がれていった。
それでも神の悲しみは癒えなかった。
何を悲しんでいたのか。
何を求めていたのか。
それを知る者はいない。
ただ、神は最後まで与え続けた。
「恩寵と共にあれかし」
そして最後のひとつを与えたとき、
神は、血と肉と臓腑だけの皮袋となった。
その姿を、人々は慈しみと呼んだ。
弱き人々を憐れみ与えた慈悲を。
最後に神は、
「恩寵は失われず、子々孫々恩寵と共にあれかし」
そして、
そう言い残して神は、消えた。
天へ帰ったともいう。
大地へ還ったともいう。
ただ、人々の手には神から与えられたものが残った。




