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迷子のおじさん  作者: イオン
3章 恩寵と共にあれかし
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46話 アンスの基礎知識


人間の領域と地理について


人間が暮らす地域そのものはかなり広いらしい。

地形等の問題で途切れてはいるが、2500kmもの防壁の中は基本的に全て人間の領域で、領域内は、街道が整備されており、定期的に恩寵士が魔物を狩っているので、街と街の間に危険な地域はほとんどないらしい。


そして、いくつもの国家に分かれている。


その中でもこの人類領域北側の大半を領土とする最大の国家がハーク帝国。


その他にも一つ大国があり名前はキョーセイ王国、

その西側には小さな国家がいくつも存在しており、纏めて国家連合と呼ぶようだ。



ちなみに俺たちが居るユビキリはその中でももっとも西側にある。


ユビキリの領土は円に近く半径約30kmもあり、

全土の人口は約15万人、

それらの人が領土内各地に点在しているようだが、


なんとなんと!

領土内の街や村は全てユビキリと呼ぶそうだ


これはどこの国も似ているらしく


例えばこの街はユビキリから最も西の街と呼ぶ


なんだその名前と思ったんだが、



どうやら、全ては恩寵の保管場所が基準なのだそう



つまりは、恩寵が全ての基準で、恩寵の保管場所から円状に半径約30kmがその恩寵の領土なのだが、

隣接する領土と5kmほど領土の範囲が被っているそうだ、この被った領土には街がほぼ必ずあり


その街の名前は、例えば

ユビキリから最も東の街兼オオソデから最も西の街となる


領土内に住む人は自身をその恩寵の名前の民と名乗るのだそうだ


例えば、ユビキリに住む人は私はユビキリの民、なになにだと。

さっきの被っている領土の民はなんて自己紹介するんだろうか、、、



なお、俺たちが最初にいた森はもっと西にある事になる


帝国と他の国との関係は、完全に一方的な帝国からの侵攻らしく、ここ数百年ずっと戦争しているらしい。

まぁ、ここはユビキリで、ユビキリの主張しか俺には今はわからないが



ただ、魔物という共通の脅威があるため、戦争は小規模かつ、戦闘そのものの時間はごく短時間で終わるようだ



地図も存在するにはするらしいが

一般人が詳細な地図を持っているわけではない。


まぁ、地球でも、昔の国にとって自国の地図や地形ってのは重要な機密情報だったしな

GPSや正確な測量技術なんてないだろうし



一般人の生活


一般的な労働者の収入は、月に銀貨1枚程度。


食事は穀物や野菜、それに肉など。

畑や牧畜、狩猟等々を行い食料を確保しているらしい


魔玉は非常に高価で、一般人が簡単に手に入れられるものではない。

当然か。普通は倒せないもんな


魔玉は教会が買取を行なっているらしく

運良く手に入ったら、最寄りの教会に持って行けば換金してくれるそうだ

他にも恩寵士に直接売ったり、国家に売ったり買取先はあるが、一般人が選択できるのは教会一択だそうだ


そりゃそうか一般人が国家と交渉とか普通は無理だし。


魔玉を拾う事は宝くじに当たるようなものらしい

要するになくはないがほぼ有り得ない事と。



そして、魔物


おおよそだが、この街では2ヶ月に1体が発見されるらしい


ラングレンが毎日出かけているのはパトロール兼他の街の巡回らしい


本当に働き者だ



魔物と遭遇した一般人の対応は徹底していた。


魔物を見つけたら――逃げる。


戦うのではなく、逃げる。


逃げるという選択肢以外をとるのはダメだと幼い時から口酸っぱく言い聞かせるそうだ


絶対に止まるな、隠れてやり過ごすのも稀らしい、魔物は眠らず、決して諦めないからだと。


集団の場合は各々がバラバラの方向に逃げ、生き残る確率を上げるそうだ


ある程度の犠牲者が出ると魔物は去っていくとも聞いた

つまりは誰かがその度に死んでいる



魔物の事をリアスに聞くと


『産まれたての魔物は獣と変わらぬ、腹が減ったか減ってないかだけだ』


「腹が減るって……人間みたいに食事が必要ってこと?」


『違う』


『魔物が求めているのは肉ではない』


『存在力だ』


「あーリアスが名前をつけたっていう?」


『そうだ』


『魔物は生命を殺すことで、その生命が持つ存在力を奪う』


『産まれたばかりの魔物は存在が不安定だ。だから、常に存在力を求める』


『人間は持っている存在力が少ない。ゆえに、一人殺した程度では足りぬ』


「だから……何人も殺すのか」


『そうだ』


「じゃあ、食べなくてもいい?」


『肉体など、どうでもよい』


『殺すことそのものに意味がある』


なるほど、、、



殺すことそのものが、魔物にとっての「食事」なのか。



これが、アンスの現実で、日常なんだな


そして、運良く生き残ったら、恩寵士に知らせる。

なお、魔物の出現時の情報伝達は狼煙や旗でやるらしい。

状況に応じて細かく設定されていて、旗師なる仕事もあるんだとか。


だから、雨の日や夜間なんかだとどうしても被害は増えるそうだ、、、



恩寵士


神から恩寵を授かった者。


そして、魔物を討伐する者。


何人もの人に聞いてみたが、反応は大体

尊敬、崇拝、そして畏怖


どうも人間とはどこか別の存在のように考えているのを、言葉の節々に感じた


んーー現人神的なやつだろうか?



そりゃそうだ魔物を狩れるのは恩寵士だけなんだから。

尊敬されたり時には信仰されたり、あるいは恐れられたりは自然か、、、


まあ、実際にラングレンの戦いを見れば、納得できる。

俺だって、あれを見た時は化け物だと思ったし。



リアス教


リアスを神として崇拝する宗教。


教義の中心にあるのは、

リアスは慈悲深い神であり、人々に恩寵を与えた。


というもの。


この教えは教会が定期的に説法?を行なっているらしく、この街の教会にも牧師はいるそうだ


聖典と呼ばれ、地球でいうなら聖書があり


これまで存在した数々の英雄的な恩寵士のエピソードなんかが書いてあるらしい


聖典を見せてもらおうと思ったのだが、まだまだ紙は高価なものらしく、一般人が触れる事はできず、聖典を読んで勉強した牧師の説法が教会の布教活動では一般的らしい


ちなみ聖典は今の俺の全財産でも、買えないぐらいだったので諦めた


リアス自身のエピソードは神話のみで聖典には書かれていないそうだ


要するに、聖典はリアスが去った後の、恩寵の記録だな、うん。




ちなみにラングレンは説法は行わないそうだ

その時間も全て魔物討伐に使い、街にいない事も多いそうだ



ただ、


リアスではなく、恩寵だけを信仰する者もいるらしい。


教会としては、あまり好ましいことではないようだ。



まあ、ラングレンも、グレーゾーン信仰だったしな。



戦争


そして、オオソデ防衛戦争。


現在進行形で数百年以上に渡って定期的に行われている、人間同士の戦争。


、、、と言っても、俺が想像していた戦争とはかなり違った。


一般人も参加する。募集の張り紙もあったしな。


ただし、実際には戦闘員というより観客に近い。

一般兵はいわゆる国威発揚兼国家からの民への施しに近いらしい。

だから大人気で募集は毎回抽選なのだそう。



戦うのは恩寵士数人のみで、


一般兵は遠くからそれを眺める。

一般兵以外にも抽選漏れしたものや、戦場近くの住人なんかも集まってくるらしい。


また、出店や演劇まであるらしい。


つまり、この世界の人間にとっての戦争は、戦争であると同時に、ある種の祭りでもあるらしい。


現時点ではちょっと想像がつかないな。



二週間調べてわかったのは、大体こんなところだった。


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