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迷子のおじさん  作者: イオン
3章 恩寵と共にあれかし
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41話 それぞれの生き方

琴音の部屋のドアをノックする


「琴音いるか?」


気配はするが、返事はない



「えーとその、勝手に喋るから聞いて欲しい」



「あの日俺は子供の誕生日プレゼントと妻のおつかいを買いに出かけたんだ」



「そして、琴音とぶつかりかけてこのアンス転移した」



「転移した先で運良くなのか、たまたまリアスと会ってね」



「それで、お互い生き残る為に協力して魔物を狩りながら人間の領域を目指してたんだ」



「そして」



「君と出会った」


少しだけ気配が強くなる



「本当に驚いたよ、まさか異世界でスーツきてる女の子と出会うなんて」



「いきなり死にかけたし、その後も何度も悲鳴あげて、吐いたり、慣れない森を歩き詰めで、、、とんでもないストレスだったと思う」



「なのに、俺みたいなおっさん信じて、泣き言もいわずについてきてくれて、本当にありがとう」



「その、、、」



「琴音の事は好きだ。素直で良い子で、良く泣いたり笑ったり、本当に素敵な子だと思っている」



「でも」



「俺には家族がいて」



「どうしても家族のところに帰りたいんだ」




ガチャ



ドアノブが動く




「琴音」



さっきまで泣いていたのだろう

腫れた目だ



「中に入ってください」



「あ、ああ」



言われるまま中に入る、なんてことない、狭い1人部屋だ



「ベッド、使ってください」



頷いてベッドに腰を下ろし、琴音は椅子へ




「私」




「良い子なんです」



え?あーうん

それはそうだね


「うん」



「日本に居た頃から、ううん、子供の時からずーっと良い子だったんです」



うん?



「でも」



「それは、他人から見た良い子なんです」


「お父さんもお母さんも、言う事を良く聞いて、琴音は本当に素直で良い子だねーって」


「小学校の先生も、白川さんは本当に面倒見が良くて、優しい子だねって」


「中学校の頃には、私にはどうしたら友達が喜んでくれるのかなんとなくわかるようになって、ちょっと嫌な事とかあったりしても、ニコニコして、そうしよう、努力しようって」


「高校、大学、大人になってからも、誰からも好かれる白川琴音でいなきゃって」



「だから、私はずっと、ずーっとその、他人から見たら良い子の白川琴音として生きてました」



ああ、そういうことか



「うん」



「それで、あの日は会社の上司の昇進祝いを買いに」



「うん」



「でも、私その上司大っ嫌いなんですよね」



へ?



「はーいえた」


「ふふっちょっとすっきり」



「、、、うん」




「山田次郎さん」



「あ、はい」




「好きです」



、、、、、、

、、、



「うん」



「初めて会った時は好きとかそんなんじゃなかったです」



「ただただ、怖かったです」



「えーと、、、それは俺も?」



「ふふっちょっぴり」



「だって、大きなゴリラを一発でやっつけちゃうし、それもなんでもないような顔で」



あーまあ、そうか

やべー奴だわな

生殺与奪握られてるのと同じか


「それで、僕についてきてくださいって」



え?まさかそれで?



「あ、その時は、何が起こったのかよくわからなかったし、でもこの人についていかないと、その、危険だなってのと、それに信用できそうだなって」



「それで、少し歩いたら魔物は襲ってくるし、私はただただ怖くて震えてて、でも次郎は簡単にやっつけちゃうし」



「それで、次郎がおんぶして歩いてくれた時」



「すっごく安心した」



「あーこの背中に掴まってるだけで私は助かるんだーって」



「やえいの時も、それとなくずっと私を見てくれて、ああ、この人にとって私は守らなきゃならない存在なんだなーって」



「それはとても心地よくて」


「それは今もずーっとそうで、、、」



「魔玉も凄く嬉しかった、森で不安そうな私を見て気を遣ってお守りだって」



うんまあ、気休めになればいいかなって



「それを売れとか言うし」



「ご、ごめん」




「ふふふ」



「ラングレンさんが怒り出した時も、一瞬私をみて必死に謝ってくれて」


あーあったな



「その後もなんでもないよって顔して」



「その時には私はもう、、、」





「でも」



「次郎にとってはそうじゃなかった」



「そ、それは」



「ううん、そうじゃないの」



「私は次郎にとって、守らなきゃならないだけの存在って事、あの森でも今でも」



「その事に全然気づかないで、、、これからの事とか言われて、1人で舞い上がって、、、」



「あーあ、すっごく恥ずかしい」



「でも」



「私はもう良い子の白川琴音は辞めようと思うんです」



はい?



「次郎に奥さんとお子さんが、居るのは、、、居るのは、、、」


あ、琴音泣きそう



「それでも、ここにはいない」



うんまあそうだな、俺もちょっと泣きそうになる



「だから私は次郎の隣にいます、これからもずっと」




「チャンスはあると思うんです」


ん?



「次郎は私の事好きなんですよね?」



「ひ、人としてね」



「ぶー」



「次郎が簡単に奥さんやお子さんの事諦められない気持ちはわかります、私だって日本にいる家族や友達の事が心配です」



「でも、今この時は、、、ううん、これからもきっと、私は次郎のそばにいます」


「いてもいいですか?」



あ、それはズリぃ



「とにかく!私は諦めません!これからもどうぞよろしくお願いします!!!」



「あ、はい」



そうして、俺は琴音の部屋を後にした。



琴音は確かに素直で良い子だ。


でもさー


素直すぎひん?俺には妻も子供も居るんだけど、、、


それに、良い子は辞めようとって、あれか、不倫に憧れる年頃的な




『愛とはそういうものだ』



うわーリアスがなんかフェードインしてきたよ



『ふん』



「まあでも、俺も琴音もリアスも」



「そうしたいように生きるって事か」



『、、、そうだ』



うんまあ、そうだな


自分が生きたいように生きるしかないか


確かに、自分の人生を、他人にとやかく言われたくはないな

琴音だってそれが嫌だった訳だし



俺は家族の元へ帰る為に


リアスは恩寵を集める為に


そして、琴音は、、、


琴音は俺のそばにいるって具体的にどうするつもりだ?これから?


『諦めない。良い言葉だ』


あーうん、はい。


耐えろ未来の俺

耐えれるかなー?


琴音めちゃくちゃ美人で良い子だしなー



んーーー

里美、翔太愛してるぞ!



よし!いける



『それもまた愛だな』



リアスはホント愛好きねー



『ふん』


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