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「さて、レーア嬢、気を楽にして聞いて欲しい」

 ヴァイツェン様が話しかける。


「まず確認なんだけど、さっきアルフォンスが精霊達の色によって適性があると言っただろう?」

「はい」

「ビットを見てもらうとわかりやすいんだけど、彼の周りにいる子達の色視える?」

 レーア様と一緒に私もビット様を視る。レーア様が

「赤色の子が五人、ですか?」

 確かに私にもそう視える。ヴァイツェン様がにっこり笑って

「正解。赤色の子は攻撃系に特化している。なのでビットは完全に攻撃系。そして君についてくれている子達の中にも赤い子が二人いるから攻撃はその子らが中心となる。ただ」


 ただ?と思っているとヴァイツェン様が続けて

「わからないのがその子」

 と、一人の精霊を指し示す。レーア様も


「やっぱりその子ですよね……」

 と、同意する。私も思っていた。アルフォンスもそうなんだよね、と言っている。オスカー様とビット様も苦笑いしている。


 一人だけ、色がコロコロ変わる子がいるのだ。赤色に視えたと思ったら青だったり、緑だったり。虹色のように。

 

 私がアルフォンスに

「あの子って何色系になるんですか?」

 と、聞くとアルフォンスが

「……何色系…なんだろうね」

「え?」

「実は初めて視る」

「「え?」」


 私とレーア様の声が被った。


「じゃあヴァイツェン様は」

 と私が尋ねると


「実は私も初めて視る」


「………え?お二人が視たことないって言うのは、もしかして、あの子、凄く珍しいっていうか貴重?」

 と私がもう一度尋ねると、今度はレーア様が


「え、でもあの子、小さい時からいつも近くにいてくれて……ずっとそばに」


「なるほど。君の守護精霊か。会話はできる?」

 ヴァイツェン様が聞くと

「い、いえ会話はできません。表情とかでなんとなくは」

 わかりますけど、と。


「じゃあレーツェルの出番かな」

 アルフォンスが声をかける。

「そうだね、レーツェルなら他の人の守護精霊だろうが関係ないだろうし。アルフォンスはレーツェルが頼まないと無理だろうね」


 私?へ?何を?と思っているとアルフォンスが


「レーツェル、あの虹色の子呼べる?来てくれるとは思うけど」

「あ、はい」

 やってみます、とその子の方を向いて手を伸ばして


「ちょっとだけ、こっちに来てくれる?」


 その子が気づいてフワッとこちらに飛んできてくれた。

 両手の手の平を合わせた上にちょこんと乗ってくれた。


「ありがとう。ちょっと聞いてもいいかしら?」


『なあに』


 可愛らしい声が聞こえた。


「あなたはレーア様の事、大好きなんだよね?ずっとそばにいてくれたの?」


『うん、だいすき!うまれたときから そばにいる』

 

 へぇと隣から声がする。アルフォンスもどうやら聞こえるようだ。


「じゃあもう一つ質問。あなたは何が得意なの?炎?水?風?」


 しばらく考えていて、他の子と相談しているみたいに視える。難しかったかしら?と思っていると


『ほかのこ たすけるの とくい』


 他の子助けるとは?わからなくてアルフォンスの方を向くと彼も不思議な顔をしている。どうやらわからないらしい。


「ヴァイツェン、『他の子を助けるのが得意』ってどういうことだと思う?」

 アルフォンスがヴァイツェン様に尋ねている。


「他の子を助ける?そう言っているの?」

「ああ」


 レーア様もだが、オスカー様やビット様もレーツェルが精霊と会話していると言う事にまず驚いている。


「さすがですね、視えるだけでなく会話できるとは」

 オスカーがビットと話している。

「本当に。桁が違う。アルフォンス殿下も凄いけど、さらに凄いな。っていうか、二人揃うと凄すぎないか

……」

 と、驚嘆の眼差しである。



 ライラ様が

「他の子助けるって、その子以外の精霊が力使う時に増幅させる、みたいな事ですかね?」


「そういう事だと思う。まあ試すのが一番手っ取り早いかな」

 ヴァイツェンがレーア様に向き直す。


「レーア嬢、一回やってみようか。何、簡単だから心配しないで」

「はい」

 ヴァイツェン様が指示をする。

「生活魔法はわかるよね?」

 頷いたレーア様に

「じゃあ薪に火をつけるイメージで。指先に灯せる?」

「はい、できます」

 と、人差し指を上に向けると指先にフワッと炎が小さく灯る。


「じゃあまず赤色の子一人呼んでみて」

 レーア様が声を掛けると確かに一人だけ腕の所にやってきた。

「そしたらあの的に向かって、『炎の矢』って唱えながら指先を振ってみて」

 わかりました、と頷いたレーア様が唱える。


『炎の矢』


 レーア様が指先を振ったと同時に的に向かって炎が走っていく。

 軽く的に当たって炎が拡散する。


「うん、いい感じだ。一回で成功するなんて流石だね」


 凄い、と思って見ているとアルフォンスが、

「あの的には防御がかかっているから、炎が拡散してあんな感じになるけど、実戦だったら相手に火がつくからね」

 と説明してくれた。確かに訓練で的が一回一回燃えてたら大変だ。


「じゃあ次。今度は同じ事を赤い子二人呼んでやってみて」

「わかりました」


 レーア様の周りに赤い子が二人やってきた。それを確認してまた唱えた。


『炎の矢』


 今度は先ほどの炎の大きさよりかなり大きくなって的に向かって走って行って拡散した。飛び散る炎も量が多い。倍以上だ。


 唱えたレーア様が一番驚いている。


「……え?」


「大丈夫、それで正解。同じ色の精霊が集まって同じ魔法を同時に使うと1足す1は2、じゃなくて人数分の力が倍になるんだ。今だと2×2で一人の時より四倍になる」

 三人いたら九倍ね、と説明してくれた。納得。


「で、本題で次は赤い子二人と虹色の子よんでやってみてくれる?」

「あ、はい」


 レーア様が虹色の子を呼ぶ。嬉しそうに飛んでいく。



 アルフォンスが

「レーツェルちょっと」

 と、肩を抱いて引き寄せる。

「?アル?」

「何が起こるか予想つかないからね、防御するね」

 なるほど。


 ヴァイツェン様も

「ちょっと皆、大丈夫だとはおもうけど、防御してね。自信ない人は離れて」

 と、指示を出す。レーア様がえ?と言う顔をしているが、アルフォンスが

「念には念を入れてね。大丈夫、私とヴァイツェンで守るから」



 レーア様が的に向かって構える。周りに三人の精霊が視える。何だか楽しそうだ。レーア様の役に立てるのが嬉しいのか。



  『炎の矢!』



 レーア様が唱えたと同時に今までに見たことのないような大きさ炎の塊が現れ、的に向かって飛んでいく。


「え!」

 唱えて撃ち込んだレーア様本人が目を見開いて叫んでいる。



 炎の矢と言うよりも塊が的に向かって飛んでいき、塊があたった的は炎が拡散すると同時に割れて破片が飛び散る。そして熱風が巻き起こり、まわり一体に風が広がっていった。


 アルフォンスが防御魔法を唱えたからか少しの範囲だけの影響で終わったが、これはかなりのものではないだろうか。

 何せ的が粉々に砕けて跡形もない。


 熱風がおさまった所で皆の顔を見渡すと、周りにいた誰もが呆然としているのがわかった。


 レーツェルはこの感じどこかで、と考えて思い出した。


 三年前に自分が騎士部門と兵士部門に行って倒しまくった時の周りの表情と一緒だ。


 ああ、そういう事かと思わず納得してしまった。

 




 






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