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 私が不器用なのはひとまず置いておいてもらって、さて、次は、と思っていたら、王宮からテオが戻ってきた。アルフォンスが

「すまなかったな、テオ」

 と、声をかけると

「いえ大丈夫です。伝言ですが、陛下がすでにストリア子爵を呼び出しました。多分すぐに王宮に来るとは思いますが、陛下が全て対応するので心配するな、との事です。レーア嬢は心置きなく学んでくれ、婚姻の事も白紙に戻させるから大丈夫と」


 レーア様の動きが止まった。


「レーア様?」

 思わず声をかけると、ハッとなって

「…そ、そこまで、していただくなんて」

 と、涙を流し始めた。レミリアがハンカチを渡す。


「今までがおかしかったんですよ。タイミングが良かったのもあるけど、レーア様が頑張って一歩踏み出したからですよ」

 さあ、今までの分、取り返して頑張っていきましょう?と言うと涙を拭いて、微笑んで

「はい!」

 と大きな声が響いた。


 

「じゃあ心配事もなくなったし、一緒に帰る前に職場見学していこうか?」

 とヴァイツェン様が言うとライラ様も

「あらそれはいいですね。アルフォンス様、よろしいですか?」

「ああそうだね、ちょうどいいし見に行こうか。今なら午後の訓練中のはずだから」


 三人で話が進んでいく。レーア様が


「あ、でもそんな訓練中にお邪魔したら、大変なんじゃ」

 見学の許可とか、と心配していると、ヴァイツェン様が

「レーア嬢、ここにいる人が誰か知ってる?」

「え?あ、アルフォンス王弟殿下……?」

 そうだね、あとまだ肩書があってね、と。


「あ、魔道士部門の……」

「そうトップで軍の副総帥だ。彼が良いって言ってるんだから、許可が下りたと言う事だよ」

 と笑って仰っている。


 その通りだ。これ以上の許可はないだろう。その許可を出したアルフォンスが


「じゃあ行こうか。レーツェルも来る?見たことないでしょ?」

 魔道士部門については自分にしたら軍の中で一番遠い存在だ。確かに見たことはない。

「いいんですか?見てみたいですけど……」

「んじゃあ一緒に行こう。エルゼ、レミリアすまないけど行ってもいいかな?」

「はい、大丈夫です。お気をつけて。ごゆっくりどうぞ」

 と送り出してくれた。




 レーア様とヴァイツェン様、ライラ様、アルフォンスとテオと私の六人で奥庭を抜けて王宮内に入る。


 訓練場自体は兵士や騎士部門の訓練場の近くにあるので場所はわかってはいるが、立ち入るのは初めてだ。


 他の部門とはまた違った雰囲気がただよっている。

確かに精霊達も他の場所より多いような気がする。魔道士達についてきているのか。


 訓練場の入口まで来ると、ざわめきが聞こえたような気がした。


 確かにこのメンバーが来ると何事か?と思うだろう。そして中から駆けつけてくる男性が見えた。


 茶髪茶瞳の中肉中背の優しそうな感じの男性だ。どこかで見たことある、と思っていると


「アルフォンス殿下!父さんと母さんまで!何かありましたか?」


 ああそうだ、ヴァイツェン様の息子さんだ。弟さんの方でしたかね。


「ああ急にすまないね、オスカー。ちょっと見学だから気にしないで」

 とアルフォンスが言うと

「このメンバーで気にするなと言う方が無理でしょう?レーツェル様までって」


 ヴァイツェン様が

「ああ紹介するよ、私とライラの次男のオスカーだ。魔道士部門の部隊長をしている。レーツェルは会ったことあるよね?」

「はい、ヴァイツェン様のお宅で何度か。お久しぶりでございます、オスカー様」

「お久しぶりです、レーツェル様。で、こちらの何だか凄い方は?」


 オスカー様も部隊長だけあってかなりの魔力持ちである。多分視えてるのであろう。アルフォンスが


「視えるよね?すごいでしょ。今日から魔道士部門に入ったレーア嬢だ」

「レーア・ストリアと申します。よろしくお願いいたします」

 レーア様が慌てて挨拶する。

「魔道士部門第三部隊長のオスカーです。こちらこそよろしくお願いします」

 と握手をする。ヴァイツェン様が

「今日からしばらく我が家で預かるから」

「え?」

「レーアさん、生活基礎魔法しか習ってないのよ。もったいないでしょう?いきなりこちらの訓練だと慣れないことだらけになるから一ヶ月ほど我が家で訓練に慣れてもらうわね。ヴァイツェンと私で責任もつわ」

 と、ライラ様が説明する。アルフォンスも付け加えて、

「慣れたらこちらと合流させる。適性は万能型(オールラウンダー)だから第三部隊だな。その時はよろしく頼むね、オスカー」

 と。ヴァイツェン様も

「レーア嬢、オスカーも視えるし同じ万能型(オールラウンダー)だ。もしこちらでわからない事があったら彼に聞いてね」

 ちなみに、とアルフォンスが補足する

「第一部隊が攻撃系、第二が回復系。第三が万能型に別れてる。各部隊長の下に何班かに別れてるけど万能型はそんなにいないからオスカーの下につくと思ってて」

「あ、はい、わかりました。よろしくお願いいたします」


 じゃあちょっと案内するね、とアルフォンスとヴァイツェン様を先頭に連なって歩く。


 周りからの視線が痛いけど、私は慣れているのでどおってことはないが、レーア様は緊張しているのがわかる。仕方ない。


 こっちが第二の訓練場と、説明してくれる。


 私も初めて入る場所なのでキョロキョロしてしまった。ここがアルフォンスの職場か。


「こっちが第一の訓練場。攻撃の訓練が主になるから入る時は気をつけてね。練習の巻き添えくらわないようにね」

 アルフォンスが明るく笑って言う。


 巻き添えって…って私とレーア様が不安げな顔をしていると、アルフォンスが

「まあ、新人には必ず先輩がついてるからよっぽどじゃない限り大丈夫だけどね」


 こっちに来てくれる?と訓練場の端の方を案内される。


 よく見ると兵士部門の弓部隊の訓練場とよく似ていて、10メートルほど離れた場所に的が置いてある。魔法での攻撃を当てる訓練場らしいのがわかる。

 何人かの若手が先輩について練習しているようだ。

 また声がかかる。


「アルフォンス殿下!ヴァイツェン様、ライラ様も。お二人がこちらに来られるのは久しぶりじゃないですか?そちらの方々は……ってレーツェル様?」


「紹介しておくね。第一部隊長のビットだ。ビット、こちらは今日から魔道士部門に入門したレーア嬢だ。一ヶ月程ヴァイツェンの元で訓練してからこちらに通う予定だ。よろしく頼む。こちらは、言わなくてもわかるか、私の契約主レーツェルだ、初めましてかな」

 アルフォンスが二人を紹介する。こちらも挨拶をする。


「魔道士部門第一部隊長ビットです。よろしくお願いいたします。ってこの子達は、レーツェル様についてきてるんですか?でもレーア嬢にも、かな?」

「ビットも視えてるんだ」

 ヴァイツェン様が説明する。

「これだけ集まるのも凄いですね、珍しい。ってことはレーア嬢は第三ですか?」

「そのつもりだ。ちょっと確認したいからそこ一つ使うぞ」

「はい、どうぞ」

 と、隊員に指示して先ほどの的を一つ空けてくれた。


 ヴァイツェン様が

「できれば皆、少し離れていた方がいいかも」

 と、的で練習していた魔道士達を離れさせた。一体何が始まるのかと思っていたらヴァイツェン様がレーア様に


「レーア嬢、ちょっと我が家で訓練する前に一つだけ確認しておきたいので、こちらに」

 来てくれるか、と言われ、レーア様が移動する。


「レーツェルはこっちに。私の横から離れないでね。防御するから」

「え?何があるんですか?」

 慌てて確認する。

「レーア嬢の攻撃力を測りたくてね。他の皆は各々個々で防御してね」

 と、軽く言っている。確かにこの中で私だけ自分で防御できないんでした。


 さて、何が始まるのか、わからないまま、レーア様が的に向かって立つのが見えた。










本日も更新できました!

読んでくださる皆様のおかげです!


明日も更新予定です。


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よろしくお願いいたします。

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