死にたがり
腕をかくしてしまった後に墓穴を掘った感が恥ずかしくて下を向く。
「本当に面白いねぇ。」
この場にいないはずの人の声がしてばっと顔を上げる。
いつの間にか占い師がいた。
「どこからっ!」
入り口にいた人たちの慌てっぷりからするとどうやら普通にはいったようではなさそうだ。
急に起こった予想外と私以上に慌てる人がいると冷静になれた。
「どこって?普通にはいってきたよ。」
絶対普通じゃないな。
「おい!どこから入ってきた!」
「何者だ!目的はなんだ!!」
入り口にいた人たちがバタバタとやってきて質問責めにする。
「通りすがりの者ですよ。怪しい者ではありません。」
「いや、明らかに怪しいから。」
リアムの突っ込みにウンウンと頷く。
「そう?」
「逆にどこを見たら普通だと思ったんだ。」
「そんなこと言ったら、そこの彼女も普通じゃないでしょ?」
「失礼な。」
「んー。でもさ、自殺願望者でしょ。」
さも当然みたいな顔で占い師がいってくる。
死にたがりに関しては当たっているが、自殺願望者ではない。
ってか、視線がいたい。特に凛さん。
とりあえず否定しとくか。
「違います。」
「え?だって、死にたいって思ってるでしょ。」
「……違います。」
「そこは即答しないんすか!!」
あー。自分に忠実に返事をしてしまった。
「そんなことないよ。ってか、自殺なら派手に死にたいし、自殺じゃないなら事故的な感じがいい。」
「派手な自殺ってなに?」
「そんなこと聞いてない。」
占い師そっちのけで説教タイムが始まりそうになってしまった。
「僕ならそのお願い、叶えてあげられるよ。」
「はい?」
「自分の理想な夢を見ている間に死ねるなんて最高じゃない?」
とても楽しそうにはしゃぐ占い師。
その場の全員の頭の上にはてなが浮かぶ。
「僕の仕事も楽に終わるからWin-Winだよ!」
「仕事?」
人の命を刈り取る仕事って、死神か悪魔か?
「もしやお前は悪魔か!」
「あったりー!」
うわぉ!ファンタジーはなんでもありだな。
「僕はさ、優しい悪魔だから。夢を見ている間に全てを終わらせてあげるよ。」
「それって優しいって言うの?」
凛が不思議そうな顔をして私に耳打ちする。
「人間誰しも死ぬから死に方が選べるとか苦しまないとかの観点で言えば。」
「人によりけりってこと?」
「まぁ、私は寿命じゃないなら、私のタイミングで死にたいけど。」
「それはみんなそうじゃない?」
そりゃそうだ。
「夢の中でがいやなら現実でもできるよ。最後に逢いたいって言う人にも逢わせてあげられる。」
その言葉が終わると同時に占い師、もとい悪魔の姿が揺らいだかと思うとさっきまでとは違う姿の人が立っていた。




