悪戯成功
ノア視点です。
目があった、と奴が言うとミラベルの様子がおかしくなった。
崩れ落ちたと思ったら、アイナを突き飛ばしたのだ。
目を合わせないように気を付けながら、アレンが何をしたと詰め寄るが、答える気は無さそうである。
「大丈夫。野郎には興味ないし。」
あっそう。
僕も野郎には興味ない。
二人の取っ組み合いを止めようとするが、バチッと青い小さな火花が散る。
「いったっ……雷魔法か。」
あまり威力はなかったようでよかった。
強ければ、生爪が剥がれるところだった。
流石にこちらから危害を加えるのは憚られる。
アレンが奴の相手をしている間に何とかした方が、と思っていると、急にアイナが暴れ、ミラベルと位置を入れ換える。
「……すごいですねー。そんなことする女の子、はじめてみました。」
不本意だが、全くの同感である。
全く、何をしているんだか。
誰かに助けを求めるより先に、なんでも一人で何とかしようとするアイナに何時も通り過ぎて苦笑いである。
それと同時にいつの間にか剣を抜いていたアレンにびっくりする。
「……彼女を戻して。」
「流石に君の頼みでも無理です。事前準備なしで発動しましたから。まぁ、準備してあっても無理ですが。」
「意味のわかるように話せ。」
意味不明なことを口走る占い師にアレンが説明を求めるがいまいちわからない。
ふざけやがって!
タイミングをみて、アレンに加勢しようとしたときだった。
占い師が変な行動にでたのだ。
ゆっくりと手を持ちあげると、パチン、と指を鳴らした。
「?」
なんだ?と真意を探ろうとして、今まで見ていた景色と違うことに気づく。
「え?瞬間移動?」
「うわっ。」
いつの間にか位置が入れ替わっていて首元の剣に気づき、一気に汗が吹き出す。
それと同時にミラベルが暴れだし、アイナと再び揉み合いになる。
アレンと視線を交わし、どうする?と視線だけで相談をする。
しかし、結論を出す前にアイナがミラベルに引っ張られている。
まずい。
急いで駆け寄ろうとするが、アイナかミラベルの耳元で何かを囁いた。
「―――、――――――――――――。」
「わーーーーーーー!!」
何を言ったのか急に悲鳴をあげながら、アイナを突飛ばし、スカートを押さえている。
「?」
何がどうした?とアレンと顔を見合わせると、アイナはまるで悪戯に成功したこどものように破顔したのだった。




