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豹変

「えー。ほらほら。僕の顔をよく見てよぉ!」


 そんなこと言われたって、私には無理だ。

 顔を見て喋っているようで口元とかおでことか見るならいいけど、合わせているようで、実際はそんなに合ってないのだ。

 慣れた人とか一瞬ならいいんだけど。


 この人は無理。


「あの!知らないって言ってるじゃないですか!女性に対して失礼ではないですか?」


 ミラベルが抗議をする。

 占い師をキッと睨んでいる。


 こちらの世界の女性に対する貴族内での常識がよくわからないため、何がどう失礼なのかがわからない。


 よくわからないので、そんなに声を荒らげなくてもと押し止めようとする。

 繋いだ手が小刻みに震えている。

 怖いならやらなきゃいいのに。私なんかのために。


 その瞬間に占い師が笑い声をあげる。


「ふふふふふっ。やっと目があった♪」

「は?」


 何が、と言い掛けるが、それは叶わなかった。

 急にミラベルがガクリとその場に倒れこんだのだ。


「え?ちょっ、急にどうした?」


 繋いでいた手がするりと抜けていく。

 慌ててミラベルを抱き起こそうとするが、それより早く突き飛ばされた。


「っった!」

「アイナちゃん!」

「貴様、何をした!!」

「なんでしょう?」


 ミラベルの豹変ぶりにアレンか占い師を問い詰めるが、笑うばかりで答える気は無さそうである。


 それに、私はそれどころではなくなっていた。


 バランスを崩して尻餅をついたところにミラベルがつかみかかって来たのである。


「ちょっ、おい!」


 取っ組み合いの喧嘩など経験がないのだけど。


 急にどうした、と声にだそうとして、言葉をのみこむ。


 ミラベルの目の焦点が合っていない。


「離れなさい!」


 ノアがミラベルを私から引きはなそうとしてくれるが、バチッと静電気が起きたような音がして、ノアが二、三歩後ずさる。


「いったっ……雷魔法か。」


 ミラベルさん、好戦的ですね。

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