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穴があったら入りたい

ミラベル視点です。

 アイナが横で上げた何とも言えない雰囲気の声につられて顔を上げると向こうから男性が二人歩いてくるのが見えた。

 男性たちは、騎士だということが着ている制服ですぐに察しがつく。


 まさか、私の不審な行動で通報された?


 どうしたらよいのだろうかと慌てる私を他所にふわふわと笑顔を浮かべた方に声をかけられる。


「女の子二人で盛り上がっているところ、ごめんね。」


 ふわふわな彼は、何を思ったのかアイナの隣に着席する。

 その瞬間、アイナが小さく舌打ちした。


 え?舌打ち?

 私、舌打ちする人はじめてみたかも。


「こんにちは。」


 しかし、彼はなにも気にせず、それどころかアイナを挟んで私に話かけてくる。


「こ、こんにちは。」

「なんです?」


 おっかなびっくり挨拶を返す私と違い、いやそうな顔で用件を訊ねる。


 態度!

 騎士が嫌いなの?もうちょっと柔らかい態度じゃないと、もしかしたらひどい目にあうかもしれないよ。

 騎士の人のなかには横暴な人もいるって話を聞いたことがあるし。

 しかも、頭からフードを被っているから明らかに怪しい子だ。

 はっ。もしや、私の代わりに疑われてる?

 私、頭に被っていたハンカチを取ってしまったから。


「違うんです!!」


 私のせいで濡れ衣を着せられそうになっているアイナを助けようと私は席を立って大声で牽制をはかる。


「違うんです。この子は違います!えーっと、何が違うかと言いますと……」


 あたふたと説明をしようとする私を席に座っている二人がキョトンとした顔でみている。

 被っているフードがずれて黒い瞳と目が合う。


 パニックになる私の思考は、小柄なアイナが見上げてくるのが可愛いと場違いな感想が浮かぶ。

 歳を聞いていなければ、妹とはこんな感じかと勘違いをするところだった。


 って、そんなことを考えている場合じゃなかった。


 あわてて首を振って、気持ちを切り替える。


「と、とにかく違うんです!!」

「えーっと、なにが?」


 意味がわからないと困った顔をするイケメンさん。


「え?あれ?不審者情報がはいって現場に駆けつけたのでは?」


 キョロキョロと回りを見れば、もう一人のイケメンさんもなんの話?みたいな顔をしている。


「まさか、私、勝手に勘違いを……」


 勘違い。

 その言葉に頬が朱くなる感じがする。

思わず頬を両手で触れるが、そんなことをしても朱くなっているかどうかなどわかるはずもなく。


 もういやだ。穴があったら入りたい。

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