帰り道
そうして私たちはパスタを平らげ店を出た。
「鷹咲ありがとね!ご馳走様です!」
「喜んでくれたなら良かったよ。」
「このあとは各自解散でいいの?」
「そうだね。あ、鷹咲は天ちゃんを送ってあげて。」
「了解。篠原は1人で帰るのか?」
「うん。迎え呼んでるから。」
「そうか。じゃあまた明日。」
「また明日〜。あ。」
そういって歌乃ちゃんは鷹咲君に近づき、耳元でヒソヒソと何かを言った。そのとき、
「は!?そんなことしねぇから!」
「wwからかっただけだよ〜。じゃあね!」
そう言って鷹咲君は顔を赤くして立ち尽くし、歌乃ちゃんは迎えが来ているであろう方向に走っていった。
「鷹咲君、歌乃ちゃんになんて言われたの?」
「あー。いや、何でもないよ。」
「鷹咲君があんなに驚いたのに何でもない訳ないでしょ?もしかして…。」
「そんな大したことじゃないから!早く行くぞ!」
鷹咲君はそう言って私の手を取って歩き出した。
「え?」
普通に私の手を取ったけど、え?手を取った?え?
私は普通に理解が追いつかず、頭が真っ白になった。
そんな私に気付いたのか、鷹咲君は私の顔を見た。
「どうしたんだ?何かぼーっとしてるけど。」
「へ!?いや、なんでもないよ!」
「そ、そうか?ならいいか。」
危なかった…。これで私が手を繋いでることについて言及したら、間違いなく気まずい雰囲気になっちゃう。それだけは避けたい。
と思っていると、急に手が離れた。
「な、なあ涼風…。」
「ど、どうしたの?」
「あのさ…手繋いじゃってごめんな。」
今!?今言うの!?絶対気まずくなるのに!?今!?
「謝るほどのことじゃないし…それに、わざとじゃないでしょ?」
「いや、恋人みたいだったからいやな思いさせたかもって。」
「いや、本当に気にしなくて大丈夫だから。」
私は少し慌てている鷹咲君を落ち着かせるために色々フォローしておいた。
でも、
「……。」
「……。」
気まずい。あまりにも気まずすぎる。
過去、このような気まずさがあっただろうか?
否、無い。
こういう時に話しかけるの気まずいよね?
そうして無言のまま5分くらい経過した頃、
「涼風。」
「な、なに?」
「今日は楽しかったか?」
「え?」
「いや、普通に楽しかったのかな?って。」
「ああ、うん。楽しかったよ。」
「なら良かった。俺、お前に酷いことをしてからずっと心配でさ、気になって仕方なかったんだ。」
「あれは私にも非があるから、あんまり気にしないでよ。それに、デートの約束もしたでしょ?」
「そういえば、今度デートするだったな。って、これゲーセンのときも話さなかったか?」
「そうだっけ?w忘れちゃった。悲しいことがあっても、楽しいことでそれを忘れられるなら、それで良いと思っちゃう。たとえそれが甘い考えだとしても。おっと、もう私家に着いちゃうから続きはまた明日だね。」
「そうか。また明日、ゆっくり話そうな。」
「うん、また明日。おやすみ。」
「おやすみ。」
そうして長い長い1日が終わるのだった。
「鷹咲君、かっこよかったな…。明日もまた話そう。」
「涼風、可愛いかったな…。明日からまた頑張ろう。」
家の中でも2人の感情は、まだ揺れ続けるのでした…。
こういう終わり方も良いかな〜って。




