08話
月曜日だ!登校日だ!
「さて、俺たちは行くのだが…」
玄関には、靴を履いた剛輝とホークの2人、そして見送りに来たレイナ、アオイ、ミーナ、マリア4人がいた。
時刻は8時半前、割とギリギリの時間である。
「アオイ、お前も着いて来い?」
「…はい?」
唐突に指定されたアオイはポカンとした顔をした。剛輝はその強面の顔で満面の笑みを浮かべた。それを見て、嫌な予感を感じ取り、どうやってそれを拒否しようと思考を巡らす。
「いや、ミーナお嬢様の護衛と他の仕事が…」
「ん?大丈夫だぞ?護衛は他の者を応援に呼ぶし、仕事の方は『まだ期限』があるから大丈夫だ」
「ですが…」
「お前の方があいつらについて詳しいだろ?それに現場にも行くから一緒に着いて来い」
「いや、先ほどレイナ様に勉強を教える約束したので…」
「アオイ、大丈夫ですよ。レイナ様の勉強なら私が面倒を見ますので」
「えぇ」
剛輝、ホーク、マリアの3人の大人たちよって逃げ道が閉ざされ、八方塞がりになったアオイは「はぁ」と溜め息をついて大人しく、靴を履いた。
「ん?荷物は良いのか?」
「装備はいつも身に着けているので問題ありません」
「なら良い。じゃ、レイナ行ってくる」
「うん、いってらっしゃい」
冴月親子の見送りと同時にミーナから「お父さん、アオイいってらっしゃーい!」とレイナのマネをして可愛らしく、見送りの言葉を送った。ホークはその可愛い娘に思わず抱きつこうとしたが、アオイとマリアの2人が止め、「早く行かないと遅れますよ」と言われ、ホークを引き摺るアオイと剛輝は家の外に既に待機していたホークが用意した黒いリムジンに乗った。
リムジンに乗った3人は各々の顔が見れるように座った。なお、リムジンに乗るのが始めての剛輝はそわそわとしていた。ホークは慣れたように足を組みながら座っており、アオイは緊急時にはすぐに動き出せるような位置に待機する。
「おいおい剛輝、これくらいでそわそわするな。貧乏人みたいだぞ?」
「うるさいな、こちとら小市民なんだよ。こんな車なんて乗ることはないんだよ」
「まぁまぁ、暫くミーナがお世話になるんだ。その報酬でたまには豪遊でもするんだな」
「…今更なんだが、報酬が多くないか?むしろレイナを護って貰うんだからこっちが報酬を出さないといけないと思うんだが」
「良いんだよ、これは先行投資だ。恐らく、今後『この街』で様々な事が起こるだろう…まぁそもそもここは私の国で言う『例の街』だろ?」
「確かに、噂でしか聞いたことないが、例の街はヤバいらしいな」
「そう、ヤバいんだ。まぁ、良くアオイの奴が食糧確保の為に『漁村』に狩りに行ってるがな」
「は!?命知らずか!?」
「まぁ、大物にさえ出会わなければ問題ない。会ったとしても逃げ足が早いから大丈夫だ…『神格』でなければ状況によっては返り討ちもできるしな」
剛輝はそんなホークの言葉を聞き、アオイを凝視する。凝視されたアオイは何もリアクションを起こさず、その視線を無視していた。
溜め息をつきながら太ももに肘を置き、そのまま拳に顎を乗せた。
「こいつ、異常すぎないか?」
「私もそう思う。だからこそ『無垢の御子』を護るには最も適当なんだ…」
「なるほど、な」
思案顔をする剛輝は、良いことを思いついたのかニヤっと笑みを浮かべた。それに気が付いたホークをその剛輝の様子と考えていることに気が付いた。
「どうした剛輝?面白いことでも思いついたか?」
「そうだ、良いことだ。さっきもアオイを現場まで借りると言ったじゃないか?」
「ああ、その通りだ」
「なら荒事もやらしても問題ないだろ?」
「ほう」と漏らし、腕を組んで少し思案するホーク。だが、それは考えるフリであるのはその場にいる全員が理解しており、アオイに限っては諦めたように肩を落とした。
「良いだろう!こき使ってやってくれ!」
「それは助かる!残存とか居たり、他の奴らが居たとしたら相手して貰おうかな」
互いに笑いあう大人2人を見て、大の大人が共謀したら碌でもないことになると体感したアオイであった。しかし、荒事をするならするで、相応の用意が必要であり。先日、単身で襲撃を行ったが、その際は別口で日本に持ち込んみ、ホークの会社の日本支社に保管していたものを持ち出したのである。現状でもある程度の武装はあるが、デモンストレーションも兼ねて専用の武器を持ち出したと考えた。
「旦那様、それでしたら『半月』を持ち出したいです」
「ん?『半月』か…特に問題はないが、『キュマイラ』は使わなくて良いのか?」
「旦那様、お忘れでしょうが現在『キュマイラ』は来日前の戦闘で不具合を起こしていて、メンテナンスの最中です。それにあれは『半月』以上に目立ちます」
「あー、そういえばそうだったな。まだこっちに持ってきていなかったな。目立つ目立たないは似たようなものだと思うが、『半月』はいつも通りトランクルームに収納してある。好きに持っていくと良い」
「ありがとうございます」
2人の会話に置いてけぼりの剛輝は、武器の話をしているのは分かるが、どんな武器であるのか想像出来ず、首をかしげていた。
「ホーク、『半月』ってのはどんな武器なんだ?」
「まぁ、そうだなぁ…見れば分かるよ」
ニヤっと悪い笑みをホークは浮かべた。
次は来週月曜!




