↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
寿綾乃という女 第4部  作者: トモサン


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
29/225

寿綾乃という女 第4部 29

 このユリコは、天敵…


 私、寿綾乃の天敵だった…


 ずっと、天敵だった…


 出会ったときから、天敵だった…


 初めて、出会ったのは、私が、まだ、高校生だったとき…


 ナオキが、まだ会社を作って、まもなくの頃…


 ナオキの妻として、出会ったのが、最初だった…


 当時、私が、まだ、高校生だったにも、かかわらず、結果的に、ナオキを寝取ったことになるのだが、それを抜きにしても、最初、出会ったときから、このユリコは、天敵…


 この寿綾乃…矢代綾子の天敵だった…


 この私を必ず、目の敵にした…


 なにか、私に仕掛けてくるわけではない…


 だが、その態度から、私を気に入らないのは、明らかだった…


 誰の目にも、明らかだった…


 私は、それが、なぜだか、わからなかった…


 最初、なぜ、初めて会ったばかりの私を、憎むのか、わからなかった…


 が、


 やがて、わかった…


 高校生の私にも、わかった…


 それは、嫉妬だった…


 美人に生まれた私に対する嫉妬だった…


 後で、わかったことだが、このユリコは、異常なまでの、面食い…


 ルックス重視の女だった(爆笑)…


 おそらくは、コンプレックス…


 自分の顔に対するコンプレックスなのだろう…


 ブスとまでは、言わないが、まったくの平凡な容姿…


 とりたてて、目立つものは、なにもない…


 しかしながら、頭脳は、明晰…


 一流大学卒で、学歴に瑕疵はない…


 瑕疵=キズはない…


 おそらく、それゆえに、余計に、自分のルックスが、平凡なことが、許せないのだろう…


 自分は、優れている…


 頭脳は、優れている…


 ただ、ルックスは、優れていない…


 まったくの平凡なルックス…


 それゆえ、美人が許せない…


 私が、許せない…


 自分より、ルックスが優れた私が許せない…


 そういうことだ…


 また、それゆえ、イケメンに憧れる…


 自分のルックスが、平凡ゆえに、イケメンに憧れる…


 自分が、持っていないものを、相手が持っているからだ…


 それゆえ、イケメンのナオキと結婚した…


 が、


 実は、それ以前に、他のイケメンと関係して、子供ができていた(苦笑)…


 それが、ジュン君だった…


 ナオキの子供と信じて、疑わなかったジュン君だった…


 ユリコは、ジュン君の父親に捨てられ、その父親と似たルックスのナオキと結婚した…


 ユリコを捨てた男が、ナオキと似ていたからだ…


 だから、もし、その男と、似た子供が生まれても、ナオキの子供と、言い張ることができると、考えた…


 後に、それが、わかった…


 実に、したたかな女だった…


 実に、自分勝手な女だった…


 私が、それを、FK興産の社長室で、ナオキの前で、暴露して以来、対立が、決定的になった…


 もはや、修復は、不可能…


 対立が決定的になった…


 また、たしかに、対立は、していたが、一時的に休戦していたときも、ある…


 一度だけ、ある…


 それは、ジュン君の裁判…


 私をクルマで、轢き殺そうとしたジュン君は、当然、逮捕され、裁判にかけられた…


 が、


 そのときに、私に一言、言って、もらいたい…


 ジュン君を宥恕(ゆうじょ)すると、言って、もらいたい…


 宥恕(ゆうじょ)は、裁判用語…


 一般人が、日常生活では、使わない…


 宥恕(ゆうじょ)する=許すといって、もらいたい…


 被害者が、加害者に宥恕(ゆうじょ)すると、言えば、当然、刑が減刑される…


 減刑=軽くなる…


 ユリコは、それを、狙ったのだ…


 それゆえ、ジュン君の裁判が、終わるまでは、決して、私に牙を剥かなかった…


 私に対して、信じられないくらい、低姿勢でいた…


 私に対して、信じられないぐらい、腰が、低かった…


 が、


 今は、そのジュン君の裁判も、終わった…


 だから、このユリコが、私に対して、頭を下げる必要は、なくなった…


 元に戻った…


 が、


 それが、嫌ではない…


 むしろ、その方がいい…


 ユリコが、私に対して、激しく敵対するのが、いい…


 それこそ、ユリコ…


 ユリコだからだ…


 これが、いつものユリコだからだ…


 つまりは、ユリコが、平常運転に戻ったとうことだ…


 私は、思った…


 私は、考えた…


 が、


 いくら、考えても、このユリコが、なぜ、長谷川センセイと、いっしょにいるのかが、わからない…


 いや、


 そもそも、このユリコは、長谷川センセイを以前から、知っていたのだろうか?


 考えた…


 すると、たしか、以前、私が、ジュン君にクルマで、轢かれて、五井記念病院に入院していたときに、ユリコが、見舞いに来た…


 そのとき、知り合ったのでは、ないか?


 ふと、気付いた…


 息子のジュン君が、私をクルマで、轢き殺そうとしたことで、このユリコは、私の見舞いにやって来た…


 さすがに、見舞いにやって来なければ、ジュン君の減刑はできない…


 私の口から、


 「…ジュン君を許します…」


 と、いう言葉を言って、もらわなければ、ならない…


 だから、見舞いに来た…


 私が、入院している、五井記念病院に、見舞いに来た…


 そして、五井記念病院で、この長谷川センセイに会った…


 そこまでは、わかる…


 そこまでは、容易に想像できる…


 が、


 なぜ、今、ここで、ユリコが、長谷川センセイといっしょにいるのかが、わからない…


 たしかに、長谷川センセイは、イケメン…


 長身のイケメンだ…


 白衣の似合う、長身のイケメンだ…


 しかしながら、だからといって、ユリコが、長谷川センセイに安易に手を出したとも、考えにくい…


 なにより、長谷川センセイが、ユリコを相手にするだろうか?


 それが、疑問…


 おおいに、疑問だ(爆笑)…


 何度も言うように、長谷川センセイは、長身のイケメン…


 おまけに、外科医だ…


 付き合う女など、星の数ほど、いるに違いない…


 女の私から、見ても、間違いなく、モテ男…


 そんな長谷川センセイが、ユリコを相手にするだろうか?


 甚だ、疑問だ…


 おおいに、疑問だ…


 が、


 はたと、気付いた…


 長谷川センセイの趣味嗜好…


 長谷川センセイが、どんな女が好みか、わからない…


 男なら、誰もが、美人が、好きだと、思うが、さにあらず…


 学歴が、高い、頭のいい女が、好きだったり、あるいは、お金がある女が、好きだったりする場合もある…


 そして、そう、考えれば、当てはまる…


 ユリコは、当てはまる…


 何度も言うように、ユリコは、高学歴…


 頭脳明晰だ…


 仕事もできる…


 以前は、投資ファンドの代表を務めていた…


そして、たぶん、今も投資ファンドの代表をしているはずだ…


 だから、当然、お金もあるだろう…


 長谷川センセイが、ユリコのその点に惹かれた可能性も十分ある…


 なにより、長谷川センセイは、野心家…


 長谷川センセイは、五井西家の血を引いている…


 が、


 あくまで、西家の血を引いているだけ…


 現在は、五井とは、なんの関係もないらしい…


 これは、以前、本人から、聞いた…


 長谷川センセイ本人から、聞いた…


 しかしながら、長谷川センセイは、それが、気に入らないらしい…


 というのは、長谷川センセイの悲願は、五井西家に認められたい…


 せっかく、五井西家の血を引いているのだから、西家に認められたい…


 それゆえ、私は、この長谷川センセイが、野心家だと、思った…


 思ったのだ…


 なぜなら、この長谷川センセイは、私の目から見ても、十分恵まれている…


 長身で、イケメン…


 おまけに、外科医…


 ルックスも、職業も、他人様よりも、上…


 にもかかわらず、そこで、満足することなく、上を目指す…


 名門の五井西家の血を引いていることを、五井家の人間に、認めてもらいたい…


 つまりは、自分の出自を認めてもらうことで、さらに、上を目指す…


 豊臣秀吉ではないが、地位も権力も欲しい…


 そんな気がした…


 そんな気がしたのだ…


 そこまで、考えると、もしかしたら、この二人は、気が合うのかも?


 とも、気付いた…


 二人とも、上昇志向が、強い…


 二人とも、上昇志向の塊(かたまり)…


 それゆえ、二人は、気が合う…


 そうも、思った…


 思ったのだ…


 そして、私が、そんなことを、考えていると、長谷川センセイが、


 「…そんなことより、寿さん…体調は、どうなんですか?…」


 と、聞いた…


 実に、医者らしい…


 医者らしい質問だった…


 やはり、真っ先に、私の体調が、気になるらしい…


 「…ハイ…おかげさまで、この通り、大丈夫です…」


 と、答えた…


 本当は、決して、大丈夫ではない…


 大丈夫では、ないから、自宅に籠城していたのだ…


 マミさんと、いっしょに、大量の食糧を買い込み、自宅から、一歩も出ない生活を、送っていたのだ…


 しかしながら、それを、伝えることは、できない…


 なぜなら、隣に、ユリコが、いるからだ…


 だから、できない…


 天敵のユリコの前で、弱みを見せることは、できない…


 そして、私が、そう言うと、


 「…それは、良かった…」


 と、長谷川センセイが、すぐに、答えた…


 「…寿さん、他にも、病気を抱えているから…これ以上、悪化したら…」


 長谷川センセイが、言いかけて、途中で、止めた…


 しまったと、いう顔をして、止めた…


 きっと、それは、隣にユリコがいるから…


 隣に、他人のユリコがいるから…


 だから、私の個人情報を他人の前で、伝えるのは、マズい…


 そう、判断したに、違いなかった…


 が、


 そんな長谷川センセイの気遣いは、不要だった…


 すぐに、ユリコは、その後、


 「…寿さん…そんなに、お美しいのに、まるで、病気のデパートね…」


 と、言ったからだ…


 私の感情を逆なでることを、言った…


 まるで、私は、アナタのすべてを、知っているとでも、言うようだった…


 思わず、私の中で、なにかが、はじけた…


 これまで、抑えていた感情のボルテージが上がった…


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。