↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
寿綾乃という女 第4部  作者: トモサン


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
213/225

寿綾乃という女 第4部 213

 私は、内心、仰天したが、さまありなん…


 こういうことかと、思った…


 こういうことと、いうのは、今、マミさんの隣に、団郁馬がいると、いう事実…


 つまりは、マミさんは、団郁馬の都合に合わせたわけだ…


 団郁馬の都合が、おそらく、今日、明日、空いていたのだろう…

 

 それに、合わせた…


 そういうことだろうと、思った…


 なにより、おそらくは、団郁馬の側に立ったということ…


 私ではなく、団郁馬の側に立ったということだ…


 私、寿綾乃ではなく、団郁馬を選んだと、いうことだ…


 しかしながら、私が、今、マミさんが、この団郁馬と並んで、私を出迎えても、驚かないのは、ナオキのおかげ…


 仮に、マミさんが、団郁馬の側に立ったとしても、驚かないのは、藤原ナオキのおかげ…


 私の事実上のパートナーである、藤原ナオキのおかげだ…


 昨日、このナオキが、マミさんを、あんまり、信用し過ぎない方が、いいと、私に忠告してくれたおかげだ…


 仮に、私と、五井のどっちを取るかと、マミさんは、聞かれれば、間違いなく、五井を取るからだ…


 選択の余地はないからだ…


 だから、私は、驚かなかった…


 マミさんが、団郁馬と、並んで、私を出迎えても、驚かなかった…


 二人は、同じ五井一族…


 たぶん、血の濃さは、他人並みに、薄いと、思うが、五井一族であることに、変わりは、ないからだ…


 つまりは、マミさんは、私ではなく、五井一族に、寄り添っていた…


 そうとも、言える…


 そして、おそらく、それは、私を騙していたとも言えるだろう…


 その証拠に、マミさんは、気まずそうな顔をしていた…


 私に対して、実に、気まずそうな顔をしていた…


 対照的に、団郁馬は、晴れやかだった…


 私が、近付くと、


 「…また、お会いしましたね…」


 と、晴れやかな表情で、言った…


 私は、そう言われて、思い出した…


 かつて、一度だけ、この団郁馬に会ったことを、思い出した…


 コンビニの外で、ただ、一度だけ、遭ったことを、思い出していた…


 普通ならば、覚えていることもない…


 失礼ながら、それほど、影の薄い人物だ…


 影の薄い=印象に残らない人物だ…


 それが、私の記憶に残ったのは、コンビニで、出会った直後に、この団郁馬の顔を知ったから…


 だから、覚えていた…


 忘れずに、覚えていた…


 普通なら、忘れてしまう…


 一度会っただけなら、忘れてしまう…


 それほど、平凡…


 記憶に残らない平凡な容姿の人物だからだ…


 私は、そう、考えながら、


 「…団郁馬さんですね?…いつぞやは、コンビニで、失礼しました…」


 と、団郁馬に、返した…


 それを、聞くと、団郁馬は、少し、驚いた様子で、


 「…こんな美人に、覚えていてもらって、光栄です…」


 と、わざと、大げさに、驚いたフリをして、笑みを浮かべた…


 対照的に、マミさんの顔は、強張ったままだった…


 きっと、私に対して、気まずいのだろう…


 私は、団郁馬に、挨拶した後、マミさんに、


 「…こんにちは…」


 と、声をかけた…


 マミさんは、


 「…ええ、こんにちは…」


 と、返したが、表情は、硬いままだった…


 正直、見ていられなかった…


 いつもの、マミさんでは、なかったからだ…


 だが、よかったのは、私の隣に、ナオキが、いたこと…


 ナオキが、クッション代わりになった…


 仮に、私とマミさんだけなら、滅茶苦茶、気まずくなるところだが、ナオキが、この場にいることで、クッション代わりになった…


 第三者のナオキが、いることで、場が、少しは、穏やかに、なった…


 私は、そう、思った…


 一方、その当人のナオキは、内心、どう思っているか、わからないが、マミさんに、対しては、


 「…お久しぶりです…」


 と、声をかけ、初対面の団郁馬に対しては、


 「…初めまして…」


 と、声をかけた…


 「…藤原ナオキと言います…」


 と、続けた…


 マミさんは、ナオキに対して、


 「…お久しぶりです…」


 と、声をかけたが、隣の団郁馬は、


 「…FK興産社長の藤原ナオキさんですよね…」


 と、返した…


 ナオキは、一瞬、驚いたようだが、すぐに、


 「…ハイ…その通りです…よくご存じですね…」


 と、答えた…


 団郁馬は、すかさず、


 「…それは、知っていますよ…一応、東都新聞のオーナーですから…」


 と、答えたので、ナオキが、絶句した…


 「…東都新聞のオーナー?…ですか?…」


 「…そうです……東都新聞と東都テレビ、東都ラジオの実質的なオーナーでも、あります…もちろん、この病院も…」


 団郁馬が、答える…


 ナオキは、驚いて、


 「…それは、それは…」


 と、だけ、言った…


 どう、返答していいか、わからなかったのだろう…


 その様子を隣で、見ていたマミさんが、


 「…この方は、団郁馬さん…私と同じ五井一族…五井一族の分家の五井北東家の当主…」


 と、簡単に、ナオキに紹介した…


 「…五井北東家の当主? アナタが?…」


 ナオキが、驚いた顔で、聞く…


 が、


 団郁馬は、笑みを浮かべ、


 「…そんな顔をしないで下さい…ボクだって、嫌なんです…」


 と、答えた…


 「…いや? どうして、嫌なんですか?…」


 「…だって、名家の子孫と言えば、眉目秀麗とまでは、言いませんが、誰しも、ルックスのよい人間を期待するじゃないですか? 藤原さんのように…」


 団郁馬が、そう言うと、ナオキは、困った顔をした…


 が、


 すぐに、


 「…ありがとうございます…」


 と、言って、頭を下げた…


 「…ボクなんか、見た目だけです…」


 と、ナオキが、謙遜して、言った…


 が、


 団郁馬は、


 「…いえ、見た目がいいのが、一番です…」


 と、返した…


 「…どんなに、お金を、持っていても、権力を持っていても、外見は、変えられません…」


 と、力を入れた…


 「…ボクは、アナタが、羨ましい…」


 と、さらに、ナオキを褒める…


 同時に、それは、自分のコンプレックスを吐露することに、他ならなかった…


 この団郁馬が、藤原ナオキ同様、長身のイケメンならば、いい…


 しかしながら、この団郁馬の外見は、貧相とまでは、言わないものの、目立たない…


 一言で言えば、目立たない、箸にも棒にも掛からぬ男…


 それゆえ、本家に対抗しようとした…


 それを、思った…


 いわゆる、ないものねだり…


 しかしながら、それを、子供が、望むのは、いい…


 まだ、右も左もわからない、子供が、望むのは、いい…


 だが、それを、望むのが、大人…


 しかも、名家のはしくれなのだから、余計に、たちが悪い…


 つまりは、名家のはしくれではなく、名家の中央にいたい…


 センターで、一番、目立ちたい(苦笑)…


 それが、願望…


 それゆえ、たちが悪い…


 言葉は、悪いが、アイドルグループの中で、ルックスも歌唱力もイマイチなのに、自分は、センターになりたい…


 そんな願望と似ているからだ…


 私が、そう、思っていると、ナオキが、


 「…団さんは、綾乃さんを、知っているんですね?…」


 と、聞いた…


 さっきの会話で、わかったのだろう…


 「…ええ、一度、お会いして…」


 「…一度だけ…ですか? それでも、綾乃さんを覚えていたんですか?…」


 と、驚いて、聞く…


 団郁馬は、動ぜずに、


 「…美人ですから、覚えていますよ…」


 と、返した…


 私は、それを聞いて、


 「…ありがとうございます…」


 と、慌てて、頭を下げた…


 私のことを、褒めてくれたからだ…


 その真意は、さておき、褒めてくれたからだ…


 でも、その続きがあった…


 団郁馬には、その続きがあった…


 「…ですが、失礼ですが、寿さんは、美人ですが、仕事柄、一般のひとより、ひとに多く会うので、寿さんと、似たタイプの美人は、何人も会ったことがありますよ…」


 と、続けた…


 私は、そう、言った、団郁馬の真意がわからなかった…


 なぜ、今、美人と私を持ち上げていて、それから、一転して、私を下げるような言葉を言うのか、わからなかった…


 そして、それは、マミさんにも、伝わった…


 「…ちょっと、失礼よ、叔父様…」


 と、マミさんが、団郁馬に、言った…


 「…いくらなんでも、寿さんに、失礼よ…」


 と、マミさんが、続けた…


 が、


 等の団郁馬は、どこ吹く風だった…


 「…たしかに、失礼ですが、事実ですよ…」


 と、悪びれることなく、言った…


 続けて、


 「…それは、伸明クンも、言っています…」


 と、仰天の言葉を言った…


 私は、つい、


 「…伸明さんも…ですか?…」


 と、言って、しまった…


 恥ずかしながら、言ってしまった…


 言ってしまってから、これは、まずかったと、思った…


 が、


 言ってしまったものは、仕方がない…


 事実、世の中には、私と同じような、タイプの美人は、それなりにいる…


 私が、この世の中で、一番の美人なわけはない(爆笑)…


 もっと、言えば、私以上の美人だって、この世の中には、たくさんいる…


 ただ、普通のひとは、滅多に、そんな美人に会わないだけだ…


 しかしながら、今、この団郁馬が言ったように、大勢のひとに会う仕事でも、していれば、美人と会う確率も高いだろう…


 当たり前のことだ…


 だが、なぜ、それを、わざわざ、言ったのか、わからない…


 なぜ、わざと、口にしたのか、わからない…


 単なる、皮肉だろうか?


 それとも、なにか、意味があるのだろうか?


 考えた…


 が、


 その直後だった…


 この団郁馬が、仰天の言葉を、口にした…


 「…伸明クンの羨望と嫉妬の対象である、寿綾乃さん…」


 と、言ったからだ…


 正直、意味がわからなかった…


 僭越ながら、羨望の対象というのは、わかる…


 自分で、言うのも、なんだが、私は、美人だからだ…


 だが、嫉妬の対象というのは、わからない…


 さっぱり、わからない…


 意味がわからない…


 これは、ウソ?


 それとも、わざと、私を騙すため?


 さまざまな思いが、浮かんだ…


 一瞬にして、脳裏に、浮かんだ…


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。